瞬く間に過ぎ行く日々。デスクワークもそこそこに、今週は外出の多い日々だった。バンガロールは夏の最中で、空を焦がすように火焔樹(グルモハル)の花が萌えている。
起伏の浅い季節の変わり目を、しかし確実に受け止めて花を咲かせる。夏と言えばマンゴーの時節でもあり。
木枯らしも雪もなく、衣替えも不要で、過去の記憶の区切り目をつけることの困難を、この風物詩を脳裏に刻むことで、むしろ感性を鋭敏にして、この地ならではの季節感を、全身で受け止めるかのように。
さて、先日。わが家にもセンサス(国勢調査)がやってきた。詳細は先日記した通りである。アパートメントの管理人のおじさんと、二人の調査員が来訪。
「妻の生年月日を言うのが、すごくいやだった」
インドでは、確かに年上妻は珍しく「タブー」の領域でもあるのだが、それにしても往生際の悪い男である。
結婚9年目。いい加減、諦めろというものである。
妻の両親の名前も訊かれているようだ。
「義父は、ヤスヒロ。YASUHIRO。義母は、義母は……スペルがちょっとわからないので、妻に聞いてきます」
階段を駆け上がってくる夫。声を潜めて尋ねる。
「ミホ! オカアサンの名前、なんだったっけ?」
こ、この男は……スペルを口実に……。
母の名前を忘れてやがる!!
ホウレンソウノオヒタシ、とか、チャワンムシ、とか、アゲダシドウフ、とか、チキンノタツタアゲ、とか、アマエビとかトロとかウニとかアナゴとかウナギとかブタノカクニとかトンカツとかヤキニクとか……∞
食べ物の単語はあっという間に覚えて、決して忘れないくせに。
「サチコ、でしょ、サチコ!」
「あ〜そうだった、ど忘れだよ、ど忘れ! お父さんの名前は、ちゃんと覚えてたでしょ。サチコサン、サチコサン」
つぶやきながら、再び階段を駆け下りてゆく。
そんなわけで、母。今年は8月から久しぶりにインド来訪、滞在の予定だが、しっかりと「義母の存在感」をアピールしてもらいたいものである。
話はセンサスに戻るが、思ったほど時間をかけて調査していなかった。国民の指紋をとってID管理をするとの話も聞いていたが、それもなかった。
ともあれ、近い将来、「総人口」と「年齢構成」くらいは、大ざっぱにでも、出るのであろう。統計とは、なんにおいても、「雰囲気」「ムード」である。一生懸命調査している人々には申し訳ないが、でも。多分。
先日、友人宅に招かれ、久々にバンガロール東部郊外のホワイトフィールドを訪れた。
一昔前までは「田舎」だったこの地区も、ショッピングモールやスーパーマーケットが瞬く間に増え、つい先日はHyperCityと呼ばれるハイパーマーケットが誕生していた。
ムンバイほか数都市にあるが、バンガロール店は初めてである。店内はムンバイ店のレイアウトによく似ているが、まだ品数が少なくガランとしている。満たされるまでには数カ月かかりそうであるが、それにしても、便利になりゆくものである。
インドの夏と言えば、マンゴーの夏だ。わが家も「マンゴー常備の季節」がやってきた。1日でも欠かそうものなら、
「ミホ、マンゴーがない! 忘れないで買ってきて!」
と、夫からのリクエストが来る。そんなに焦って食べんでも、と思うが、食べられる時期に食べておきたいらしい。先週、近所のスーパーマーケットで購入したバダミ種ほか2、3種を口にしたが、アルフォンソーマンゴーはまだだ。
来週は久しぶりにムンバイだ。アルフォンソーの産地に近いムンバイで、食べて、仕入れてこようと思う。
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