先週末より、猛暑デリーを離れ、バンガロールを訪れている義理の両親。過去幾度か記してきたが、夫の実母は他界しており、現在の義父ロメイシュの妻であるウマは再婚者だ。
二人は、わたしとアルヴィンドが出会ったのと同じ1996年に出会い、わたしたちが結婚したのと同じ2001年に結婚をした。奇妙なご縁である。
アルヴィンドが大学生のとき、慢性白血病で他界した実母アンジナのことは、出会って以来、夫だけでなく、いろいろな縁者から耳にしており、また彼女の手記を幾度となく目にしたこともあり、一度お会いしたかったと思う。
とはいえ、「家族親戚付き合いが超濃厚」なインドにあって、付かず離れず、自由に嫁をやれているのは……などと書き始めると話しが長くなるのでこのへんにしておこう。
さて、最初の数日を義姉スジャータ宅、その後バンガロール・クラブに滞在していた二人が、今夜から3泊、我が家に滞在する。
従っては、嫁はごちそうを準備しておいたのだった。
クラブの滞在中、友人らとビールばかり飲んでいたので、今日はワインがいいというロメイシュ・パパのリクエストに応えて、白ワインを開ける。
みなで飲みつつ、語りつつ、夕飯もおいしく楽しく、なにやら平和である。そりゃ、詳細を書くまでもなく、人生いろいろあるけれど、家族や親戚の、目立った諍いがほとんどないというのは、ありがたいことである。
さて、本日は、バンガロールに昔からある商店街、コマーシャルストリートへと赴いた。車を降りるや否や、いつもとは違う、通りの雰囲気。
マクドナルドがオープンしたらしい。それも、KFCの真向かい。なにもわざわざ、そんな真ん前に攻め入らなくても、というくらいの真向かいだ。もはやKFCが新規開店と勘違いされそうな勢いだ。
視察を兼ねて、店内に入ってみる。お客よりも、従業員ほか、関係者が多いようで、ざわめいている。インドのマクドナルドのメニューは、世界中のマクドナルドの中で最も「独自メニュー」が多いことで知られている。
そんな話はさておき、従業員。キャップを被れないシク教徒が「赤いターバン」を巻いているところがキュートだ。これも会社から支給されるのだろうか。それとも自前?
さてわたしはといえば、そんなマクドナルドをよそに、お向かいのKFCへ。久々に、お気に入りのジンガーバーガー(Zinger burger)のセットを注文。
半年に一度ほど、このセットを食べたくなる。この間食べたのは、1月年始の視察旅行アテンドで、クライアントと共に、北ムンバイのモールで、だった。
店によって味わいが異なるが、いずれもそれなりに、いける。ちなみにこの店のバンズは妙に甘い。甘いがチキンと妙に合う。わたしの舌がインド的になってしまったのかもしれない。
ちなみに今日は、友人2人とここで待ち合わせていた。彼女らにも「ジンガーバーガーはなかなかおいしいよ」と勧めたのだった。勧めるほどのものでもないといえばないのだが。
ランチのあと、いくつかの店舗を訪れる。例の『仰天ライフ』でも放送されたサリー店へも訪れる。わたしは購入するつもりはなかったが、日本人の友人に見せたく立ち寄った。昔ながらの店で、お値段も「良心価格」なのだ。
わたしは買う予定はないものの、一応、華美なサルワールカミーズなどを試着してみる。お直しなしでぴったりサイズ、である。
狭い店内の、狭い試着室前で、3人で入れ替わり立ち替わり、試着してみる。自分が着るのもいいが、人が着ているのを見て、ああでもない、こうでもないと品評し合うのも、なかなかに楽しい。
それにしても、だ。日本人のお二人の。そのスリムなボディ。ウエストの、細さ。試着しても、余る部分が多すぎて、お直し必須状態。余った布がもったいないくらいだ。自分が同じ日本人とは思えない。
一方、狭い試着室に割り込んでくるインドのお嬢さん方。顔は小さいが、ボディは豊満。どっしりと分厚い胴回り。わたし同様、お直し不要。たいそうな親近感。
同じ哺乳類。サル目ヒト科の人間なのに。同じ内臓が詰まっているはずなのに。どうしてこうも、サイズが違うんだろう。
と、何かの拍子で、友人の腕に触ったら、肌が妙に柔らかい!
「うわ、柔らかいね〜!」といいながら、もう一人の友人の腕に触れたら、そっちも柔らかい! え? なんで? 日本人の女性って、みんなこんなに柔らかいの?
一方、友人がわたしの腕に触れて、言う。
「硬い! イルカみたい!!」
イ、イルカかよ!
最早、人間ではない。
つい数日前、ドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』の件について思いを巡らせていたところだが、急激にイルカが身近になった気分だ。
っていうか、イルカかよ!!
それから気になって、自分の腕をなでなでしてみるのだが、さほど鍛えているというわけでもないのに、みっちりと筋肉が詰まっている気がする。益々、自分がイルカ似に思えてくる。夢に見そうだ。
そんな、どうにもくだらん話はさておき、その後、久しぶりに「個性的なブティック集合体」のある店舗へ足を運んだ。
ここには、海外のカジュアルブランドの、工場流出品的アウトレットが、なにげなく、格安で売られたりしているのだ。
買ったことはないけれど。
しかし、壁掛けなどを衝動買いしたあと、友人と別れ、夕餉の買い出しに赴いたのだった。
ちょうど近場だったので、ラッセルマーケットへ立ち寄る。
相変わらずごちゃごちゃとした界隈だが、野菜は新鮮で豊富だし、悪くない。
野菜を適当に購入し、いつもの果物店で、フルーツを選ぶ。顔なじみの店の兄さんに、本日のお勧めマンゴーを尋ねる。名前を確かに聞いたのだが、情けないことにまた忘れた。もう、いや。
ハイダラバード産の、ヒマなんたらかんたらというもの。やっぱりもう、どんなときにもメモを取らねばならんなと思いつつ、このマンゴーはそれにしても大振りで、非常に美味なのであった。
わたしの好きな買い物風景の一こま。
「そのあたりの、10本ね」
などと指差しながら、切ってもらう。
こうして買うバナナは、なんだかおいしさが際立つ気がするのだ。
さて、ラッセルマーケットを離れ、帰路、近所のスーパーマーケットへ。
市街のあちこちで見られる工事の風景は、相変わらず前時代的で。
高度経済成長によって、どんなにライフスタイルが急変しようとも、たとえばこのような土木工事の、インフラストラクチャーの一部を築く人々の、労働環境が劣悪であるということを、いったい誰が真摯に受け止めて、改善するのだろう。
素手で、素足で、どろどろになって、これでは百年前と、千年前と、きっと同じ様子である。
超低賃金で働く、このような、まさに「末端」の人々の労働のもとに、わたしたちの生活が機能しているということを、意識しておくべきだろう。
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