モンスーンの頃。時折の雨で、空気は冷たく、空が薄い雲に覆われる夜。食後、一息ついた後、外の空気を吸おうと庭に出れば、開いている、月下美人!
生まれて初めて見るその花。風にゆらゆら揺れながら、あの葉、あの蕾の有り様からはほど遠い、気高い白い花弁が麗しく、その、微かな匂いもまた芳しく、自分の家の庭なのに、どこか違う世界へ紛れ込んだかのような。
夫を呼び、キャンドルを用意し、カメラを携え、再び庭に出て、花を照らす。もう一日早く咲いてくれたなら、ロメイシュ・パパにもウマにも見せられたのに、残念だ。
一年に一度、あるいは二度。一晩だけ咲くこの花。開花に立ち会えて、本当によかった。
風に揺れる夜の花を捉えるのは難しい。もう少し、ちゃんとしたカメラがあれば、きれいに撮れたかもしれないけれど……。ともあれ、一夜の花の麗しさを、あなたにもお裾分け。写真をクリックすると、鮮明な画像が現れます。
勧君金屈卮
満酌不須辞
花発多風雨
人生別離足
君に勧む、金屈卮(きんつくし)
満酌(まんしゃく)、辞するを須(もち)いず
花発(ひら)けば、風雨多く
人生、別離足(おお)し
コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
サヨナラダケガ人生ダ(井伏鱒二訳)