メリークリスマス・イヴ!!
今年は例年以上に朝晩が冷え込む感じのバンガロール。風邪をひいている人も少なくない。寒い時期でも「半袖、もしくは袖無しの寝間着」でOKだったはずだが、数日前、目が覚めたら肩が冷えていて、のどが痛かった。
昨日、OWCのコーヒーモーニング帰りに、Anokhiで長袖の寝間着を数枚まとめ買いして、緊急対策。
更には寝る前に、「体調不良時の栄養補給に好適!」なホットドリンクを作る。
温めた牛乳(ビニル袋入りの煮沸殺菌消毒が必要な新鮮濃厚牛乳)にハチミツとターメリックをいれたもの。風邪の初期にも好適なのだ。
飲んだ後、首にガーゼなどの手ぬぐい系のものを巻いて寝る。これは首周りを冷やさないため。
そして翌朝。幸いにも熱はない。しかし身体がだるく、喉が痛い。従っては、一度起きたものの、二度寝。こういうときは、ひたすら寝るに限る。
メイドはクリスマス休暇で、今日と明日は休み。家が静かなので寝やすい。もっとも夫がいるので、いつまでも寝ているわけにもいかないのだが。
夕べから計算して12時間ほども寝たら、「もう、寝れん!」な気分となり、起き上がる。喉は痛いが、まあ、これくらいなら大丈夫。
夕べの残りの味噌汁とごはんでおかゆをつくり、がっつりと食べて一日をはじめた。
■日本人会の年末パーティでオディッシーダンスに惚れる
年に2回、盛大に開かれる日本人会総会(パーティー)。先週の日曜日に開催されたのだった。
バンガロール在住の人々が一堂に会するこのイヴェント。同時に女性たちの仮装大会、いや、インド衣裳体験披露大会でもある。
これがまた、楽しい。
美容院でサリーの着付けだけでなくヘアメイクをしてもらう人もいて、その「情熱」が楽しい。気合いの入りすぎた人を見つけて、つい「ワハハハ」と笑ったりして、顰蹙を買うわたしではある。
かく言うわたしも、夫に反対されながらも、若者向けな「レンガチョリー」を着用。これはサリーではない。ロングスカートとブラウスとストールの三点セットだ。
これを着られるのももう、あと数年というところだろう。っていうか、「もう着るなと」いう話かもしれん。
「お腹を出さないで! みっともないから!」
と、夫に散々言われておきながらも、ついつい露出。インドの小錦サイズなご婦人方の段々腹を見慣れた目には、自分の胴回りなど、かぼそいもの。気にしなくなっている自分が怖い。
「足が長く見えるよう、下の方からなめるように撮って!」
夫に指示する妻。写真撮影ひとつをとっても、大騒ぎである。
さて、今回のパーティのハイライトは、日本人女性によるインド伝統舞踊、オディッシーダンスの披露であった。彼女、小野雅子さんは、15年前に来印。
現在はオリッサ州を拠点に、世界各地で公演、活動していらっしゃるとのこと。
インドの伝統的な舞踊には、フラメンコの起源ともいわれる「カタック」や、インド古来の正統舞踊「バラタナティヤム」、歌舞伎や京劇の起源とも言われるケララ州の「カタカリ」などがある。
わたし自身、いずれのダンスもしっかりと観賞したことがないため、決して「目が肥えている」わけではないのだが、しかし、彼女の踊りには、目を奪われた。
3つの踊りを披露してくださったのだが、最初は、なんの説明もなく、踊りが始まった。それはそれで、十分にその動きの艶やかさや正確さ、そして揺らぎのない安定感に感嘆させられた。
そもそもインド舞踊とは、神と人間との交流手段、媒介として発達してきたという。日本で言う巫女舞にも似たものなのかもしれない。
2つめのダンスが始まる前に、踊りの持つ意味についての説明がなされた。それを聞くことによって、その後の踊りを、より興味深く見られた。
そのダンスは、クリシュナ神とその恋人との愛を巡っての4つの詩から構成されているとのこと。
一つ一つの動きが、彼らのやりとりを表す「パントマイム」のようになっているのである。たとえば、女が、
「クリシュナ、あなたがわたしの顔にキスをするので、眉墨とアイラインがとれてしまったわ。弓のような眉、そしてハチの群れのように真っ黒なアイラインをひいてちょうだい」
といいながら弓を引くような仕草、ハチの群れを表すような仕草をする。
そのあとクリシュナによる、眉やアイラインをひくような仕草が続く。
また、女が「わたしの長い髪がほどけてしまったわ。束ねてくださいな」
と言えば、クリシュナが、長い長い髪を両手でかき集めて束ね、野に咲く花を一輪摘んで、髪に飾る仕草をする。
「わたしのこの胸と、豊かな腰にサリーを巻き付けてくださいな」
「腕や足首にジュエリーをつけてくださいな」
といった具合にストーリーは進む。その背景をわかって見ていると、ああ、あれはそういう仕草なんだということが理解でき、動きがよりいっそう艶やかに、妖しく、美しく見えてくる。
実に、見惚れた。
ダンスの披露の後は、会場に声をかけて、数名の人に登壇してもらっての、簡単な踊りの指導。
基本の足の動き、腰の動作(重心の置き方)、そして腕指の仕草などを真似る。
春の訪れを意味する動き、親指から順に人差し指、中指と広げたり閉じたり……を真似する。
この踊りを学ぶことにより、踊りを通して、普段の仕草さえも、美しくなるような気がした。
習ってみたくなった(毎度、安易な発想……)。
会合から帰って来てのち、鏡の前に立って、ひとりでくねくねと真似をして踊りつつ、夫に踊りの意味を解説。日本語での説明だったため、夫はもちろん理解できていなかったのだ。
と、夫。
「え〜、そんな意味だったの? それってなんだか、セクシーじゃない? 日本の男の人たち、だから興奮して、舞台に駆け上がってたんじゃないの?」
そ、そうなんでしょうか?
12月23日。昨日は、今年の仕事納めであった。原稿執筆、ラジオの収録などである。まあ、たいして立て込んでいるわけでもなく、適宜(力一杯)遊びつつの日々ではあるが、それはそれである。
さて、26日(日)のクリスマスパーティ。本来なら前日に買い出しなどの準備をしたいところだが、実は我が家のメイドプレシラも、ドライヴァーのアンソニーも、「本気クリスチャン」である。
仏教徒&ヒンドゥー教徒な我々夫婦のクリスマスパーティ準備のために、休みを返上させるわけにはいかぬ。メイドは24日、25日と休みが欲しいという。ドライヴァーは24日の夕方から25日にかけて休みたいという。
従っては早めに買い物をすませようと、数日前に食品以外のものを調達に出かけた。
わざわざ遠出をして買いに行くほどでもないとも思いつつも、出かけたのは市街西部のマレシュワラム地区。義姉スジャータがパーティのときに使用している使い捨ての皿を買いに行ったのだ。
左がその「乾燥した葉で作られた皿」であり、右が「バナナの葉」である。バナナの葉は日持ちしないのでこの日の購入は断念したが、南インド料理よろしく、料理を盛りつけるのに使える。
これら以外の買い物をするために、敢えてマレシュワラムを訪れたのだが、エコロジカルな皿を求めにガソリン燃焼させて赴くというのもいかがなものか、と思いつつ。
■インドで起業な青年たちと昼間から「飲みつつ」の会食
火曜日のランチは、UBシティにて。バンガロールにて「起業」している青年たちと食事をしつつ、昼間から飲みつつ、語り合う。
すでに面識のあるT青年。わたしが2年前に『世界に嫁いだ日本人女性』という番組に出演した際、取材のコーディネーションを請け負っていた会社に勤めていたのだった。
見た目、青年ではない感じの方は、日本から一時的に渡印されているT青年の父君であるところの「指揮官」。
何が感動したかと言えば、T青年より我が著書『街の灯』を借り、お会いする当日、早起きをして読破して、ランチ会見にのぞんでくださったこと。
会合前に、相手のことを知ろうとしてくださるところに、ぐっとくる。ぐっときて、昼間からワインも進む。
若い日本人の男性たちが、こうして異国で一旗揚げようとしている様子を目の当たりにするのは、なにかとうれしいもの。
とはいえ、盛り上がってしゃべりまくっていたのは、指揮官とわたしばかりだったような気がしないでもないが。
彼らが今後、わたしにもできることがあれば、協力していきたいと思う。
■クリスマスシーズンに見るインド小売り市場の断片
年々クリスマス商戦が派手になりつつある印象を受けるインド。ヒンドゥー教徒の新年であるディワリ前がもっとも盛んだったかと思っていたが、このごろはクリスマスも賑やかだ。
明後日のパーティ用の買い出しに、いつも利用している昔ながらのTHOM'S BAKERY (SUPER MARKET)へと赴いた。
と、店内は大勢のお客でごった返している。明日のクリスマスに向けて、家族連れで大賑わいだ。
5年前の移住当初は、この店やNIRGILI'S、あるいはラッセルマーケットといったところで食料品を買い出していた。
ここ数年のうち、数々の先進国型スーパーマーケットがオープンし、買い物の場の選択肢は格段に増えた。特にスーパーマーケットは新興都市であるバンガロールに多い。
一方、南ムンバイのカフパレードに住んでいた2年間。
NATURE'S BASKETと呼ばれるGODREJ(財閥)経営の小型高級スーパーマーケットがある以外、ほとんどは小売りの商店や路傍のベンダー、あるいは籠を掲げてアパートメントにやってくる行商人から買い物をしていた。
昔ながらの富裕層が暮らすエリアは、むしろジョイントファミリー&使用人同居のライフスタイルが健在で、家庭での食生活は比較的封建的なところが多い。
海外在住経験のあるNRIをのぞいては、積極的に「新しい味覚」を取り入れる人が多いとも思えず、そのライフスタイルは興味深かった。
また話が長くなるのでこの辺にしておくが、ともあれ、THOM'S界隈にスーパーマーケットが次々に誕生したころには、この店の存続を勝手に危ぶんでいた。
しかし、自分自身がこの、使い勝手が悪い、しかし「インドの食生活に即した品揃えのよさ」から離れられず、スーパーマーケットよりも愛用しているという現実。
今日の熱く激しい繁昌ぶりに、辟易しながらも感嘆し、一人クリスマス気分が盛り上がるのだった。しかし、繁昌しすぎている結果、必要な卵が売り切れていて、仕方なくスーパーマーケットのSPENCER'Sへ。
閑古鳥が鳴きまくっている店内。
卵もたっぷり、在庫があった。
平時の売れ行きがどうなのか、双方の情報を知りたいものである。
★ ★
ちなみに、新しい店舗が、その地になじみ、親しまれるようになるまでには、時間がかかるものである。
またスーパーマーケットや大型家電店など、社員教育が重要だと思われるところは、サーヴィスの不徹底が原因で、一旦得た客が離れる可能性も高い。
大型家電店と言えば。
2005年の移住当初は、個人経営の家電店、あるいはメーカー直営店で、家電を調達した。テレビと冷蔵庫と洗濯機はサムソンで、電子レンジやオーブンなどはコマーシャルストリートの家電店で……といった具合に、あちこちの店を飛び回っての面倒な買い物だった。
しかし、2006年ごろから、E-ZONEなどの大型家電チェーン店が全国展開されはじめた。
CROMAというTATA系列の大型家電チェーン店は、2007年だかにムンバイ店に第一号店が開店して以来、続々と全国各都市に支店を増やし、現在はバンガロールにも数店舗ある。
家電をひとまとめに購入できることに驚き、感動した。
2008年にムンバイ生活を始める際に利用しようと思ったが、しかし社員の商品知識があまりにも乏しく、結局、ローカルの大型家電店を利用した。小売店にせよなんにせよ、古くからの店の方が、店員の商品知識が高いのだ。
その後、ムンバイのCROMAで、カスタマーサーヴィスの悪さ、社員教育の不徹底にやられたことが数回あったのだが、今回、久しぶりにバンガロールのインディラナガールのCROMAを利用して驚いた。
対応が、非常にいいのだ。
浄水器を買い求めたいと訪れたら「お宅の水質をチェックして、お勧めの機種を提案します」とのこと。
後日、水を持って行き、水の硬度を確認してもらい、商品を購入。
「2日以内にメーカーから取り付けに伺います。担当者から直接連絡をさせますから、そのときに時間を決めてください」
とのこと。
これは1週間はかかるな。そのうち電話でのやりとりは10回を超えるな。と覚悟を決めていたのだが……。
翌日、メーカーの担当者から電話がかかる。
「では、明日の朝9時に来てください」
「了解しました。ノープロブレムです!」
この速やかなやり取りに感嘆しつつも、まさか9時にはくるまい、せいぜい10時は過ぎるだろうと思って、油断していた。
と、朝9時5分にピンポ〜ンとベルが鳴るではないか! 驚愕!!
メーカーのお兄さんは速やかに設置し、軽やかに去って行ったのであった。購入後2日以内に、きちんと設置されるなんて!! 当たり前のことなのに、超感動である。
さらには! 翌日にCROMAの担当者から「メーカーから取り付け担当者はお伺いしましたでしょうか?」との確認の電話が入った。
アフターサーヴィスも万全である。
いやはや。日本はさておき、米国生活でも「劣悪なカスタマーサーヴィス」に慣れていた身としては、感動の域である。インド、あらゆる場面で「激変している」ということ感じるこのごろである。
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