日本由来のそのことばが、これでもか、というくらいに、日本を象徴する言葉となってしまった。
土曜日の新聞。家に届く各紙、いずれも日本の地震がトップだ。ざっと目を通すも、ため息がでるばかり。
……と、ある記事を読んだ夫が、
「なんてバカな記事だ! だからTIMES OF INDIAは、だめなんだ!」
と、憤慨している。右上の記事がそれだ。
津波は人間にとっては不幸だが、魚など海の生物にとっては歓迎される事態であるといった主旨の記事である。
生物生態とか体系学とかいった視点から見れば、そら、漁業も久しく中断されるだろうし、捕獲を逃れて魚たちも大喜びやろう。
だからって、まだまだ被害の規模もわからぬ、予断を許さぬ状況である。今ここで、敢えて魚の視点を持つことはなかろう。人間優先のレポートが望まれるところだ。
この記事を書いた人は、ヴェジタリアンに違いない。
実は数日前、九州電力グループの社内報に掲載予定の原稿を、書き上げたばかりだった。
インドの基本情報や経済、日本企業の進出の度合い、生活基盤のインフラストラクチャー、電力などのエネルギー事情などについてを記した。
電力事情については、折しも夫がパワー関連の投資に関わっていたことから、資料を山ほど貸してもらえた。記事のために用いたデータはごくごく一部だが、それは非常に興味深いものだった。
世界各国の電力事情と比較してのインド。その圧倒的な「雲泥の差」。
主流となっている石炭を燃焼させての火力発電をはじめ、水力発電、風力発電、太陽熱発電、そして原子力発電……。
その資料を見て、改めて驚かされたのは、先進国の恐るべき電力の消費量について、であった。
この災害時に、皆が節電をしているときに、書くべきことではないとは理解している。
しかし敢えて書けば、日本に限らず、電力をあまりにも贅沢に浪費している先進国は、そのライフスタイルを見直すべきではなかろうかと痛感していた矢先であった。
この件についてはまた、少し気分が落ち着いてから、冷静に記そうと思う。
インターネットのお陰で、ライヴの情報を見ることができる。もう、インターネットの接続を切りたいと思うのだが、気になる。
今日も引き続き、インドの友人知人、夫の仕事関係者から電話が入る。みな、家族や友人を気遣ってくれる。ドライヴァーのアンソニーも、日本の母を案じてくれる。
「お母さんの面倒は、誰がみているのですか?」
彼は聞く。インドでは、老齢の母の一人暮らしなど、あり得ない事態だ。家族や親戚が共に支え合い、暮らすのが普通である。突っ込まれるのが目に見えていたので「妹夫婦と暮らしている」と言った。
ところで夫はといえば、現在、他の大勢のインド人の例に漏れず、クリケットのワールドカップに夢中である。午前中、アーユルヴェーダのクリニックに行った後、午後はテレビに釘付け状態だ。
試合中、CMの間に、CNNやBBC NEWSを見て、日本の情報を入手している模様。
わたしはといえば、この週末に仕上げる予定の原稿を書く気にならず、集中力が低下している上、気分も滅入っていた。
従っては、気分を変えるためにも、行く気を失っていたワインフェスティバルへ、取材に赴くことにした。
市内のパレスグラウンドにて、昨日から3日間に亘り、インターナショナル・ワインフェスティバルが行われているのだ。
結論からいうと、それは著しく期待はずれなものであった。そもそもインドにおけるワインの一大産地であるナシックのワインがほとんどない。SULAくらいだ。
そういえば、地元バンガロールのワイナリーであるGROVERのベンダーすら出ていなかった。気づかなかっただけかもしれんが。
確かにチリやオーストラリア(だったかな?)のワインも見られたが、それだけで「インターナショナル」と呼ぶのもまた、乱暴であろう。
キングフィッシャーのボヘミアは、中身はインド産ではないから、記事にしてもおもしろくない。
ムンバイで毎年開かれているフードショーのワイン部門の方が、遥かに充実していた。
これがインドワインの実力と思われてはあまりに寂しい。一応、過去のインドワイン記事のリンクをはっておく。
やっぱり、ナシックのワイナリー巡り、一度は体験してみなければと思わされる午後である。
ちなみにこれが会場の写真だ。バンケットルームよろしく、テーブルが用意されており、みなが腰かけて大画面を眺めている。
ワインのベンダーは、左右に並んでいるだけだ。
おまけに、猛烈な大音響ミュージックで、ベンダーの人たちから話すを聞くことすらできん。が、クリケットが映し出された途端、音楽はとまり、人々はクリケット観戦に夢中なのである。
どう考えても、「ワイン祭り」というよりは、「ワインを飲みながら、みんなでクリケットの試合、見ようぜ! 祭り」である。
外にはピクニックグラウンドがあって、スナックやらコーヒーのベンダーも出ている。
もはやご家族連れピクニック大歓迎なムード。
そもそも、こういう企画だったのだろうか。なんか、間違った期待をしていたのだろうか、わたしは。
帰宅すれば、夫はクリケットの試合を観戦中。以来、夕飯をはさみ、現在に至るまで、ずっと見ている。これから深夜にかけて、見続けるのであろう。
インドの人々の、このクリケットに対する「持久力満点の熱意」には、本当に感心する。が、試合の運びがインド優勢のときには、概ね「ご機嫌」なので、家庭内は平和である。
日本のニュースで滅入っている妻を、一応はなぐさめつつも、すぐにテレビに戻る夫。時に奇声を上げ、時に飛び跳ね、全身でクリケット観戦をしている夫。
ある意味、よかった。
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