あらゆる事象の栄枯盛衰を、否応なく目の当たりにする昨今のインド。それは店舗にしても然り。この5年半の間にも、いったいどれほどの店が、生まれては消え、生まれては消え、してきただろう。
ここで詳細を紹介したところで、なくなってしまうこともあるし、レストランにせよ、店にせよ、クオリティが一定していないから、人に勧めるにも問題がある。
その一方で、息の長い店もあり、紹介したい場所も少なくない。
さて、現在、鋭意製作中のmuseindia.info。ここでは、過去のブログの記事とのリンクをはりつつ、さまざまな側面から、インド生活を紹介している。
こうすることで、過去の記事が生き返るのは、自分としても、「書き捨てているわけではない」と納得できるので、気分が楽だ。
そんな次第で、久しぶりに、新しい店の紹介をしたいと思う。
インディラナガールというエリアの、住宅街の一隅に、2010年末にオープンしたばかりの店、THE ORANGE BICYCLE。各方面から噂を聞いていたが、訪れたのは初めてのこと。
個人的には、「欲しい!」と思えるものはあまりなかったのだが、しかし、インテリア雑貨や衣類、小物などがあれこれと、所狭しと並んでいる店内には、心躍らされる。お土産やギフトを探すにも好適だ。
店のマネージャーにウェブサイトで紹介する旨を伝え、軽く取材した。ここにある商品の9割以上が、インド製なのだとか。
住宅を改装して造られた店内には、インド各地の90を超えるデザイナーや職人たちの商品が集められているとのこと。ファンキー&カジュアルなファッションがメインだが、オーガニックコットンのTシャツなども扱っている。
マネージャー曰く、自分たちが買い付けに行かずとも、facebookやホームページなど、インターネットを通して、商品を生産する側が、売り込みのメールを送って来るケースが多いのだという。
昨今の個人経営のブティック。経営する側の行動力の方向性も、かつてとはまったく異なるのかもしれないと、今更ながら気づく。
右上の子供服。チャイのグラスとムンバイのタクシー。インドらしいモチーフが利いていて、おしゃれだった。
自分の好きなものを集めたブティック、そして小さなカフェ。そういう店を運営するのも楽しいだろうな、と思う。売り上げよりも、趣味が優先されてしまいそうだが……。
それは60歳を過ぎたあたりからの愉しみとして、とっておこう。
毎週恒例の、アーユルヴェーダ診療所へ夫と共に赴く。全身オイルマッサージを受け、スチームバスでオイルを体内に吸収させた後、シャワーを浴びる。かなりリラックスする。
そのあとSUNNY'Sでランチを食べ、夫がTHE LEELA PALACE(ホテル)に併設されたモールの中にあるヘアサロンへ行くと言うので、付き合う。
少々早めに到着したので、久しぶりに二人で、ホテルの庭を散策した。
ここの緑は丹念に手入れが施されていて、本当に美しい。それにしても……以前、歩いた時よりも、あらゆる樹木が成長している気がする。
我が家のヤシの木が、5年のうちに5倍ほども大きくなったのだから、ここのヤシの木が大きくなっても不思議ではない。
……というわけで、5年前の写真を探し出してみた。以下の写真がそれだ。
わたしの魔女のごとき不思議ファッションについてはさておき、支柱の間からのぞく、背後のヤシの木の高さを見ていただきたい。
せいぜい4、5メートルといったところであろう。
それが今や、こんなである。こんな、とは左下の写真である。下に小さく写っているのはマイハニー。
「ねえ、ミホ。このヤシの木、うちの庭のと似てない? うちのも、こんなになるのかなあ」
まさか! と思いつつ、しみじみ眺めるに、酷似している。どうするよ、こんなにどでかくなってしまったら。まあ、特に困ることも、ないといえばないけど、なんというか、でかすぎるぞ。
我が家のコンプレックスは5階建てだが、間違いなく、ビルディングより高くなるだろう。なにしろ、引越当初はわたしの背より少し高いくらいだったのが、今や4階以上まで伸びているのだから。
右上の我が愛すべき、旅人の木。TRAVELERS PALM。これもまた、茎の部分がぐんぐん伸びて、背が高くなっている。
扇状の葉が、ずいぶんと高い所に行ってしまった。
引越当初、
「この木がそんなに好きなら、庭に植えれば?」
と夫が提案してくれたのだが、植えなくてよかったという話しだ。庭中、ヤシの木だらけになってしまう。
それにしても、樹木の成長に目を見張る。昔日、ガーデンシティと呼ばれていたバンガロール。緑が豊かな高原都市。
このごろは、樹木が伐採され、緑が損なわれていることばかりが取沙汰されているが、守られた場所で、ぐんぐんと成長している緑もあるということを目の当たりにするにつけ、わずかながらも安心させられる。