本日、インドの独立記念日。1947年の今日、英国統治より独立した。
今朝、8時15分ごろ、近所から流れて来る「国歌」に起こされた。国歌が流れた途端、熟睡していたはずの夫が、ベッドから飛び起きて屹立。
決して愛国心が強いとはいえない夫だが、遺伝子の中に国歌を敬う心が刻み込まれているのだろう。
音楽が終わるや、再びベッドに倒れ込むが、更に5分もしないうちに、別のコミュニティから、国歌が流れて来て、再び飛び起きる夫。今度はわたしも起き上がり、ともに歌う。
休日だということもあって、のんびりとしていたのだが、仕方なく8時半に起床。夫は今日からテニスを習うということで、9時には外に出て行った。
アパートメントビルディングにはジムやテニスコートもあり、頼めばインストラクターが来てくれるのだ。
わたしたちは自宅でヨガをしたり、庭を散歩したりの、マイペースなエクササイズをしてきたが、熱量消費には遠い。特に夫は、わたしよりも太りやすいので、テニスでもやろうということになった次第。
わたしもインドに来て腰痛がすっかり治ったので、様子を見て挑戦してみようと思う。
さて、本日の写真は、今日のTIMES OF INDIA紙の一部。
1947年8月15日の新聞の一部が、復刻版として印刷、折り込まれていた。
非常に、興味深い。
65年前のインド。
パキスタンとインドが、その宗教の差異から「パーティション」、即ち分割されての独立だった。
以来、イスラム教国家のパキスタンと、ヒンドゥー教国家のインドとは、三度の戦争が起こっている。
そして周知の通り、テロによる攻撃も受け続けている。独立当時の、いやその後も続いて来た混乱、困難の歴史の断片に、触れる思いだ。
下の写真は、当時のインド地図。小さな3つの地図は、更に時を遡ったもの。
当時は藩王国だったインド。南インドのこの辺りは、マドラス藩王国。マイソールがその中心地だった。
ムンバイのあるマハラシュトラ州のあたりは、ボンベイ藩王国。アンドラプラデシュ州はハイダラバード藩王国……。
今とはかなり、異なる地図の様子。こうして見ると、各都市の宮殿や遺跡の有り様が、当然ながら、過去に栄えた都市と密接に関わっていて、理解しやすい。
独立に際し、それが彼の思い通りの結果ではなかったとはいえ、尽力し続けたマハトマ・ガンディー。
しかし彼の記事は、冒頭の数ページにはあまり見当たらない。
1面に、小さく、彼が14日より24時間の断食をしているという記事。
詳細が記されているらしき、続きのページは印刷されていないので、何が記されていたのかは、わからない。
彼の伝記によれば、彼は最後の最後まで、分離独立を回避すべく、イスラムの指導者との話し合いを続けていたという。結局は拒絶され、ひとつのインドとしての独立は実現しなかったのではあるが。
日本に関する記事も見られた。日本をしてJAPと呼ぶのは、このころからなのか。インドではたまに、未だに、悪気なく、日本をJAPと表現する人がいる。蔑称とは思っていないようだ。
あれ、そういえば、ここ数年は見なくなったし、聞かなくなったな。
この新聞はボンベイの地方版であることから、映画情報の欄には、ボンベイの映画館の名前が。
今でも当時のアールデコ建築と共に、映画館として営業を続けているEROSやREGALといった劇場の名が見られる。
"EROS RESTAURANT: USUAL DANCE Saturday & Sunday From 7:30 to 10:30 pm"
どんなレストランで、どんな料理を出し、どんな「いつものダンス」が開かれていたのだろう。当時の様子をのぞいてみたいものだ。
新聞広告も興味深い。コピーや内容が、意外に「オープンな感じ」なのが印象的だ。
左上。チェコ(当時はチェコスロバキア)のブランド、BATAのシューズは、当時からインドでも人気だったようだ。
BATAに関する話は、かつて「足の専門家」について記した(←Click!) 時に、その歴史の一端を紹介している。
英国風のドレスが、インドテイストと混ざって、独自のデザインセンスを育んできたのだろう。
思えばわたしが子どものころも、こんなデザインのワンピース、流行ってたな。
提灯袖で、ひらひらレース。
そして黒や赤のエナメルの靴……。
下の写真は、まさに、本日の新聞。インド国歌、JANA GANA MANAの歌詞が、ヒンディー語で書かれている。
インドの偉大なる詩人、ラビンドラナート・タゴールの作詞作曲による歌だ。旋律が非常に美しく、とても好きな曲だ。
映画館などで上映前に流れるたび、「覚えて、みなと歌いたい」と思っていたが、ずっと覚えずじまいだった。
そもそも、ヒンディー語、しゃべれないし。
だが、今年は急に思い立ち、2、3日前に「国歌を覚えよう!」と決めた。
独立60周年の際に発売された、インドの有名な歌い手たちによる曲をiTuneStoreで購入。
何度か繰り返し聞くが、当然、すんなりと覚えられず。紙に、片仮名で歌詞を書き出す。書きながら、(コンピュータに入力した方が早いのに)と思いつつ、なぜかアナログな気分。
それを読みつつ、歌いながら練習。インド的に「くねくね」とした発声を真似してみたりして。ってか、購入したオーケストラが「叙情的にスロー」なので、テンポを合わせるのが、なかなかに難しい。
歌いながら、今度は自分の歌いっぷりを聴いてみたく、Macに入っているGarage Bandというアプリケーションを使って、レコーディング。
夫が階下でクリケットの試合を見ている間、わたしは「インド国歌漬け」となっていた。
だんだん間違わずに歌えるようになり、いい気分で熱唱していたところ、突然、夫が書斎のドアをあけた。
「ミホ、何度も何度もうるさい! いい加減にして!!」
どうやらわが声が、階下にも聞こえていたらしい。
国歌にうんざりさせられたんじゃ、こりゃ申し訳ない。やむなく中途半端だが中止した。
昨日、夫に、録音したものを聴いてもらったら、
「発音が、変。」
と、そっけない。せっかく妻が張り切って覚えようとしているのに、冷たいものだ。が、負けじとFaceBookにはアップロード。
照れるが、ここにも音声のリンクを。
「ヒンディーを知らない人には、それなりにいい感じに聞こえるインド国歌」をお聴きになりたい方、この文字をクリックしていただければと思う。
歌手でもないのに歌をアップロードするとは、ずいぶん厚かましい気がしないでもない。
が、このごろはもう、人の迷惑にならぬ程度で、やりたいこと、好きなことを、今まで以上に、臆せずやっていこうと思うのだ。
※なお、インドの偉大なる歌い手たちによる「正しい国歌」は、下記の動画でお楽しみいただけます。