汚職や腐敗にまみれた政界を追及すべく、全国の支持者らと大規模なハンストを計画していた社会活動家、アンナ・ハザレ氏(74歳)が、昨日逮捕された。
また、ハザレ氏を支持する女性活動家(35歳)が、自宅前で何者かに殺害されるなど、穏やかではないニュースが流れている。
インドは汚職天国、いや、汚職地獄である。日常的に、汚職はおこっている。
インド移住する6年前、夫が言った。
「インドの政治家は、ほとんどが犯罪者だから」
すなわち、贈収賄が、当たり前のように横行している世界。それは政界だけでなく、当然、ビジネスの世界とも関わり合っている。
夫は投資関係の仕事をしている。将来、有望な企業に投資をする仕事だが、役員らの履歴を調査することが必須だという。人々が、どんな過去を持っているかわからないから。
投資し、その企業が成長したあとに、過去の汚点が明るみに出たりすると、話にならない。が、そんなことを気にしていたのでは、投資先がない、と言えなくもないようだ。
つい先日、ここバンガロールのあるカルナータカ州の州知事が辞任した。大きなニュースとなって全国に報道された。
彼はこれまでにも数々の問題が取沙汰され、辞任を要求されていた。しかし、州知事の座に固執、数年間に亘り、目立った行動をしてきた。
しかし、今回は誰も看過できないほどのスケールであった。州知事が、とある鉱山に(無許可で)許可を与え、長年に亘り、違法に採掘させていた事実が明るみになったのだ。
州知事の家族が所有する財団に、この鉱業会社が多額の金を融通していたことも発覚。これは、お金の問題にとどまらず、環境汚染、密輸、劣悪な就労問題など、さまざまな問題をはらんでいる。
辞任に追い込まれて、当然であろう。
インドでは昨年だけでも、いくつかのダイナミックな汚職事件があった。
たとえば、去年の10月。コモンウェルスという、英国統治下にあった国々が参加するスポーツ競技大会が、デリーで開かれた。
開催にあたっては、大規模な工事が行われ、いわばオリンピック前のような状況だ。
この大会関係者が、取引業者との間で請求書のねつ造。水増し請求をすることで、私腹を肥やしていた。その額がまた、とてつもなく大きい。結局は、大会主催のトップが逮捕された。
携帯電話の周波数割り当てを巡る汚職も凄まじかった。
携帯電話市場が急激にのびている中、通信相(大臣)が、ライセンスを特定企業に廉価で融通。そのかわり、莫大な袖の下を融通。その額たるや、1兆円にも上るとされている。よくわからん。
インド独立後、最も派手だとされている汚職事件は、20数年前。時の首相、ラジブ・ガンジーが、スウェーデンの兵器メーカーから武器輸入に絡んで、賄賂を受ける事件があった。
ロッキード事件みたいなものだろう。
日常生活でも、小さな汚職、賄賂は日常茶飯事。
たとえば、交通違反をしたとする。
警察に見つかった場合に、2つの選択肢がある。一つは、たとえば正規の罰金、(仮に)5000円を払って、領収書をもらう。もうひとつは、(仮に)500円をその警官に渡して、見逃してもらう。
空港の税関や、移民局や、交通局や……それはもう、あちこちで、類似の汚職が横行している。
しかし、この状況をして、諦めている人ばかりではない。前述の通り、ハンガーストライキを実施する指導者たちもいる。
市民活動家も少なくない。
バンガロール発の、「I PAID A BRIBE わたしは賄賂を払いました」という告白サイトも誕生した。
このサイトについては、デリー在住ジャーナリスト、知人の田北さんが記事を書いているので、リンクを貼っておく。
■「私は賄賂を贈りました」告白サイト インド、昨年以来1万2000件突破
今日は、本当は「脂っこい話題」をお届けしようと思ったが、備忘録を兼ねて書き留めておきたく。
脂っこい話題は、明日にしようと思う。