新たな週も開けたことだし、先週の「ローカルフード探検レポート」は早々に書き残しておきたいと思う。
ローカルフード探検隊の主旨に、「胃袋から、南インドの生活に触れる。庶民が訪れるローカルな店が対象。」との一文を盛り込んだ。
今回、目的地のある未踏のエリアに足を踏み込んだとき、これは店だけでなく、普段訪れない地区に身を置くことで、新たな発見があるに違いないと、肌に感じていた。
それもあって、早めに訪れ、街の様子を撮影しておいたのだった。
インドのライフスタイルを、日本へ伝える仕事をしている。しかしそれは、「ある一部の」であり「氷山の一角」に過ぎない。
訪れたことのない土地、訪れたことのない場所、かかわり合ったことのない文化、習慣は無数にある。
インドとは、知れば知るほど奥深く、謙虚な初心を忘れてはならないし、忘れることもできないと、考えている。
そのことを、身を以て突きつけられるような、金曜の出来事だった。ともあれ、能動的に動くことの大切さを痛感している。
その店は、バンガロール市街西部の「Balepete」という地域にあった。
インターネットでバンガロールの「評判の高いドサ」情報を調べていて、見つけた。
創業は1902年。Balepete Circleと呼ばれる場所の小さな店が起源らしい。
その後、1926年に現在の場所に移動した。
Udupi Sri Krishna Bhavan。
通称、USKB。
先日、植物園見学の帰りに寄った「MTR」ほか、非常に有名な店の名は耳にしたことがあったが、この店のことは知らなかった。
というわけで、この老舗を初回探検のターゲットに決めたのだった。
喧噪の街路をくぐり抜け、たどりついたこの店。探検隊の名にふさわしいロケーションだ。
早めに到着していたので、隊員たちが来るまで、街の写真を撮影したり、店頭や店内の様子を探る。菓子類もまた、おいしそうだ。
店はメインのダイニングのほか、入り口の右脇にスペシャルルーム、そして左脇に立ち食いコーナーがある。
スペシャルルームといえば、インドの場合、エアコンが入っている部屋であることが多いのだが、ここは単に、囲われているだけ。
しかも、1ルピーの追加料金を払わねばならない。スペシャルルームの方が、サーヴィスが行き渡っているのだろうか。
ところで、南インドの国民的軽食(本来は朝食)であるところのドサの存在感、そしてドサを出す食堂情報。これは、日本における、ラーメン屋のようなものだな、とあちこちのサイトのレヴューを見て思った。
「**のドサは、バンガロールで一番」
「ここのマサラドサは、世界一」
「この店のドサを食べずして、ドサを語るな」
「南インドで生まれ育ったわたしの一押し」
「君は**のドサを食べたことはないのか? あれを食べたら、この店が一番とは言えなくなるぞ」
といった「熱い思い」が、随所にちりばめられている。味覚は十人十色。それぞれが、それぞれの旨さを提供しているのだということを知り、やはり「試してみずには」いられない。
そんな次第で、今日はともかく、ドサを! と思って店を訪れたのだが……。
ランチタイム(11時半〜2時半)はミールス(定食)中心で、ドサはやっていないとのこと。ランチタイムを除く午前中と午後のみだとのこと。
ローカルになればなるほど、このドサのタイミングが難しい。我が家の近所のKOMALAという食堂も、一日に何度か休憩やらドサのない時間があるのだ。
ちなみに、ドサについてはこれまでも幾度となく記してきたが、米の粉と豆の粉を混ぜて発酵させたものを、ギーなどの油脂でクレープ状に焼いたスナックだ。
パリパリ香ばしいもの、しっとりもちっとしたもの、薄いもの、厚いもの、大きいもの、小さいもの、筒のように丸められたもの、三角形に折り曲げれたもの、三角帽子(円錐)のように立体的なもの……とさまざまだ。
隊員一同、残念に思いつつも、ミールスのほか、定番のイディリ(IDLI)、ワダ(VADA)、そして、PAKAKO隊員がお勧めの、チャウチャウ・バス(CHAW CHAW BATH)という料理を頼むことにした。
店の一隅には、甘み炸裂シロップ漬けのグラブジャムンも見られる。デザートも、少しは味わってみたいものだ。
わたしとPAKAKO隊員はBADAMI(アーモンド)のジュースを。
アーモンドに、多分、牛乳やターメリックか何かが入っているのだろうか。
風味のよい、甘いドリンクだ。
U-KO隊員はフレッシュライムソーダを注文。
レモンの絞り汁に炭酸水を加えたフレッシュライムソーダは、インドで一般的な飲み物。
これにシロップを加える「スウィート」と、塩を加える「ソルト」の2種類がある。ラッシーと同じ感覚だ。ラッシーの場合、塩に加え、スパイスが入ることもあるが。
揚げられているのがワダ、蒸したものがイディリ。バターが載ったイディリを見るのは初めてだ。まずは好物のワダを。
香ばしく揚がっていて、なかなかに美味。どことなくガンモドキ。ウラド豆の粉の風味がいい。
イディリはかなり「もちっ」としている。が、このバター。この揚げ物。お察しの通り、ローカルフードはハイカロリー食。
それでなくても、代謝の悪い昨今の隊長。ローカルフード探検隊結成を機に、エクササイズ強化を始めている。などという話はさておいて。
これが噂のチャウチャウ・バス。左の赤い液体は、サンバルと呼ばれる「南インドの味噌汁」のようなもの。具は少なめで、スープ的。
イディリなどは、ココナツのチャトゥネやこのサンバルに浸して食べるのだ。
で、右側のふたつ。KARA BATHとKESARI BATHが二つセットになってCHAW CHAW BATHらしい。自分で書いておきながら、なにがなんだかわからない。
どっちがどっちかわからんが、左側は甘く、右はソルティ。素材は何なのか。そのあたり、まだ詰めていない。後日、調べて追記する。
いずれにしても、後日ホームページに「インド料理ガイド」のようなものを作る予定だ。などと言っているが、いつになるかわからん。
わからんが、宣言だけはしておこう。
そしてこちらがミールス。定食だ。全体に、「甘い」のが特徴。ムンバイでよく食べていたグジャラティ・ターリーもまた、ジャガリがきいた甘さと、チリの辛さが濃厚だったが、こちらは、辛みは控えめで甘い。
南インドでこの甘さは、初めての経験。ユニークな味わいだ。
食事中、インドについて語り合う。いや、語り合うというよりは、隊長が主に、語っていた。というのも、前日に、インド進出を計画している某日本企業に勤める方から、電話があったからだ。
その業界における、インドの実情をお知りになりたいとのこと。数名で構成されているそのチーム。誰もまだ、インドへ来たことがないという。
書籍やネットなどで情報を収集し、進出プランを立てられているとの話を聞いた。多分その上で、出張されるのだろう。
が、いつも思うのだ。インドは、まず、来てみなければわからない。インドを知ろうと思うのは、欧州全体を知ろうとするのと変わらぬほどの広がりだ。
その広がりに加え、貧富の差。宗教の差。価値観の差。言語の差。あまりにも、異なりすぎる複数の世界の共存。
インドの一般は語れない。
どんなに本を読んでも、映像を見ても、来てみなければわからない。来た上で、然るべき情報を得、それから戦略を立てる。その方が遥かに効率がよいとのことを、告げた。
その際に、きちんとしたコーディネータ(案内人)を付けることも肝要だということも。それはまあ、暗に「わたしに依頼してください」と告げているのだが。
インドに暮らしている、あるいは訪れたことのある人ならば、わたしの言わんとすることは理解していただけるであろう。PAKAKOさんもU-KOさんも、そのあたり、同感してくれる。
住んでいても、わからないことばかりだもんね。
新しい発見が、あるものね。
現地では別の友人らと待ち合わせをしているので、急ぎコーヒーを頼む。
そしてコーヒーが届き、一口、二口を飲んだところで……。
通りから、祭りの太鼓の音が聞こえて来て……あの衝撃の出来事に遭遇したのだった。
あのような祭りに「偶然」遭遇することはまた、稀なことである。
過激な祭りがあるから見に行こう!
と心構えをして出かけるのならまだしも、「偶然」だもの。
あれはランチが消化不良を起こして逆流してもおかしくないくらいの強烈さだったと、改めて思う。あれは、肌身に感じてみなければわからない、独特の空気だ。
そんな次第で、どこかしら中途半端なローカルフード探検レポートとなったが、ともあれ、隊員の感想も下記にそえ、一旦、しめたいと思う。
【隊員1号PAKAKOさん】お店に一歩、入った瞬間に、昔ながらのインドが残る店内にすっかり魅了! 壁に書かれたメニューには南インド全般で食されているものはもちろんだが、"Set Dosa" "Bisibele Bath" "Chow Chow Bath"など、カルナタカ州ならではのメニューがズラリ!
メニューを見ているだけで興奮。
残念ながらDosaなどはランチタイムには出さないとのことで、食べることは出来なかったが、オーダーしたミールスは、今までにバンガロールでは食べたことのない、全体的に甘辛い味付けでとても美味しかった。
中でもコクのあるサンバルが最高に気に入った。
次回は午前中に来てぜひMasala DosaやSet Dosa や Rava Idliを食べてみたい! でもこうやってレポートを書きながらも、あの体中に穴の開いた彼らのことが、頭から離れない(@@;)
ここのドーサが、ランチタイムは食べられず残念でしたが、代わりにいただいたミールス(定食)が好みの甘辛味で良いランチでした(穴行列まではね)。
特にニンジンの炒め物がしっかり濃いめで白いご飯が進む進む。添え野菜の豆モヤシをほとんど食べちゃってごめんね、PAKAちゃん。
ワダもフカフカ、チャウチャウ何とかも手がベタベタになるまで摘まみ続け、満足満足ランチだった・・・・のに。
それから注文したライムソーダは「ソルトorスイート?」と尋ねられた挙げ句、只の炭酸水でした。私の言語力の無さに依るものです。カンナダ語頑張って覚えます。
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■Udupi Sri Krishna Bhavan (←CLICK!) やたらと洗練されたホームページに違和感。