今年もまた、アーユルヴェーダグラムで「肉なし、酒なし、宴なし」という環境のもと、一年を締めくくる。2009年からほぼ毎年、年末年始の約1週間を、ここで過ごして来た。今回で9回目、10年目となる。
ある年、この繰り返しを退屈に思い、クールグのリゾートへ赴いたが、やはり1年をアーユルヴェーダグラムで締めくくるのは大切だと実感し、翌年から再開したのだった。
従来は、旅行に出かけるなどしていた年末年始、アーユルヴェーダグラム滞在を決めたのにはいくつかの理由があった。2008年から2年に亘るムンバイとの二都市生活を終え、ムンバイのアパートメントを引き払ってバンガロールに戻った直後。休暇の過ごし方を考える余裕もなく、ただ当時は夫婦揃って、心身ともに疲弊していたこともあり、バンガロールでゆっくりと過ごそうと決めたのだった。
無論、アーユルヴェーダグラムに滞在することに対しては、当初、夫は渋った。アーユルヴェーダのトリートメントは、同性から受けることが前提だが、夫が男性からオイルマッサージを受けるのを嫌がったのだ。もちろん、ヴェジタリアン料理だけで、お酒も飲めない地味な年末を送ることにも抵抗があった。ゆえに、滞在前に、まずは1日滞在を経験した。
ドクター・マンモハンのコンサルテーションを受け、自分の心身が「潜在的に」滞在を欲していることを自覚したうえで、1週間の滞在を決めたのだった。
滞在中のプログラムは、のんびりとしているようで、実はあれこれとやることがあり、退屈する暇はない。
朝、まだ日が昇らぬ6時ごろに起床し、緑豊かな庭を歩く。そしてヨガのクラス。朝食後、食事が消化したころに朝のオイル・トリートメント受ける。昼、呼吸法(プラナヤマ)のクラスを受けたあと、ランチ。午後は読書や書き物などをして過ごしたあと、瞑想(メディテーション)のクラスを受け、その後、夕方のトリートメント。7時ごろに夕食をとり、午後10時ごろまでには就寝というサイクルだ。
日々、ヘルシーなヴェジタリアン料理を食べていれば、自ずと体重が減るだろうと思いきや、それは誤算であった。ブッフェスタイルで供されるヴァラエティ豊かな料理は、どれもおいしい。ゆえに、ついつい食べ過ぎてしまうのだ。
毎年、痩せるどころか太ってしまうのが悩ましくもあった。一方、身体の代謝は年々悪くなる。増量が気になり始めたので、昨年は「マイルドなダイエットコース」を選択した。無論それは、ブッフェではなく、サーヴィングは1回きり、というだけで、空腹感を覚えるものではない。体重は増えはしなかったものの「据え置き」であった。
じわじわと数キロ太った今年は、少し気合いを入れてみようと、9回目にして初めて、「そこそこ本気なダイエットコース」を選択することにした。おいしいヴェジタリアン料理を味わえないのは残念だが、今ここで胃袋を小さめにしておかなければ、更に、確実に、太り続けるお年頃である。
というわけで、チェックインの直後、コンサルテーションを受けたあとの初ランチは、野菜スープとこのフルーツ盛り合わせである。視覚的に楽しめるよう、カラフルに盛りつけられているものの、寂しい。
そんなわたしの目の前に座る夫。わたしがダイエットコースを選ぶと知っていて、なぜそのTシャツを選ぶかな。
ともあれ、心身ともに、一年の終わりを締めくくり、新たな年への準備を整える1週間。貴重な「一時停止」の時間。本を読み、文章を書き、今年を振り返り、来年を計画する。
慈しみながら、過ごそう。