本日午後8時ちょうど、新型コロナウイルス対策に関し、モディ首相の演説が行われた。
インド政府は、演説に先立ち、以下の声明を発表していた。
*3月22日から1週間、国際民間旅客航空便のインドへの着陸を停止する。
*65歳以上の高齢者、および10歳未満の児童は外出へ出ないように勧告。
さらにモディ首相は声明の中で下記に言及。
1. 3月22日は午前7時から午後9時まで、「JANATA(Public) CURFEW」即ち国民の外出を禁止する。
2. 警官や医療関係者、配達業、メディア、消防官など、必要不可欠な業務に従事する人たちは例外とする。
3. 国民を新型コロナウイルスから守るため、過去2カ月間に亘り、身を賭して働き続けている「2.」に該当する人たちへの感謝を表するべく、3月22日午後5時、国民は全員、自宅ドアの前やバルコニー、窓際に立ち、5分間、拍手をしたりベルを鳴らしたりして、労働を称える。また、
・現在、確固たる治療法がない。
・楽観視せず、健康管理に努めよ。
・社交を自粛し、人との距離を保て。
・衛生管理に努めなさい。
といったことにも言及。また、たとえ業務が滞っていても、極力「雇用者への支払い」をするようにと提案。「食料品の買いだめもしないでほしい」と勧告し、食料の流通網は断絶させないと明言した。
今回のモディ首相の声明には「宗教活動の自粛」を呼びかける意義も大きかったと察せられる。そもそも、各宗教の祝祭日がたっぷりのインド。来週も大きな宗教行事が予定されており、聖地に巡礼者が集うとのニュースもあった。また、日曜は教会の礼拝も行われることから、宗教関係者への注意喚起と、儀礼や礼拝の休止を求める目的もあったと察せられる。
ヒンディー語で、国民を諭すように、正面を向き、淀みなく、力強く語るモディ首相。2016年の高額紙幣廃止を思い起こさせた。賛否はあれど、個人的には、モディ首相の決断力と実行力、そしてリーダーシップに、またしても圧倒される。
13億人もの国民を抱える、世界最大の民主主義国家、インド。宗教、文化、言語、習慣、所得……あらゆる点において、平均値のないこの国。
日本の約9倍の国土に、約10倍の人々が暮らす。欧州連合全体よりも狭い国土に、2倍以上(もはや3倍近く?)もの人が暮らす。1947年の印パ分離独立時、誰もが統一インドの実現/維持を不可能だと予測した。しかしながら、今なお、一つの国家として存在している。奇跡のようなものだ。
このご時世、今後、どのような決定がなされるかは、見当がつかない。世界の趨勢を見ながらの、変則的な決定になることだろう。
明日が見えない日々ではあるが、屋根のある守られた場所で、水と食料を確保でき、こうして情報を得られ、安心して眠れる寝床があり、助け合える家族や友人がいることをありがたく思いたい。
ストレスをなるたけためず、「今だからこそできる前向きなこと」を模索しつつ、できるだけ笑って、過ごしたいものだ。