昨年バンガロールで開催された、シルクマークフェアでの1枚。パトラ織りのサリーだ。パトラ織りとは、究極の職人技が反映された絣(かすり)のこと。
ダブル・イカット(経緯絣/たてよこがすり)という高度な技術を要する絣で、グジャラート州のパタンがその故郷。日本の絣の起源はまた、ここインドでもある。
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の両方に模様をつけて染める、極めて高度な技術を要するこの技法を今に残しているのは3カ国だけだ。
起源の地であるインドは、グジャラート州、オリッサ州、そしてアンドラプラデーシュ州の3カ所。インドネシアのバリ島トゥガナン(テンガナン)村、そして日本だ。日本では、奄美大島の大島紬や福岡の久留米絣をはじめ、各地で絣が織られ続けている。
パトラ織のクオリティは幅広いが、専門店などで販売されている最高品質のものは、現在、ごく少数となった熟練の職人が長い歳月をかけて織り上げる。約5メートルの布に映し出された、まさしく「芸術品」だ。
このパトラ織に限らず、インドには無数の伝統的な手工芸によるテキスタイルが息づいていて、それはマハトマ・ガンディが英国統治から独立した際のスローガン「スワデシ・スワラジ(国産品愛用/自主独立)」、ひいては現在の「MAKE IN INDIA」にも連なる。
インドには、全国津々浦々に、独自の伝統的で魅惑的なテキスタイルが鏤められている。絹や綿など布の種類にはじまり、織り、 染め、 刺繍、紋様など、産地や品質によって無限とも思える選択肢があるサリーは、インドの多様性を象徴する。
さらには、古(いにしえ)からの日本との交流を偲ばせるものも、少なくない。サリーとは、「伝統的な女性の衣装」にはとどまらぬ、さまざまなストーリーを湛える存在なのだ。
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