「来年の3月には、バンガロールと成田の直行便が出るから、いつでも気軽においで」
「新居は空港に近いから、到着したら、まずは泊まりにおいで」
そんな会話を幾度となく交わした、1年前の今ごろ。
狐につままれたような気分の歳月は積み重なり、2020年は11月となりて。
今年の6月ごろには完成予定だった新居の工事もまた、滞ったままだった。
昨日、夫と二人、1年半ぶりに、見に行った。
前回よりは進化して、完成図を想像できる状況にはなっていた。
更地だったプロジェクトを購入して7年。このデヴェロッパーは遅れると聞いていたので、覚悟はしていた。
しかし、本当に、遅れた。
特に急ぐわけではないから……と思っていたが、思いがけないところで時間の経過の、苦味を味わった。
夏は暑く、冬は寒い、気候の厳しいデリーに住む義理の両親が、ここに長期滞在できるようにと考えていた。
しかし、ロメイシュ・パパはこの1月に、急逝してしまった。
まだ工事が始まったばかりのころ、パパと一緒に下見に来たことを思い出して、遣る瀬ない。
ロメイシュ・パパの死の直後から突入したCOVID-19禍。
そのドタバタの中、封印していた気持ちが込み上げてきて、無口になる。
今は、廃墟にしか見えないが、さすがに来年半ばまでには整うことだろう。
極力、荷物は少なめに。そろそろ、断捨離を開始して、来るべき移動に備えよう。
降り立ち、飛び立つ、旅の途中の友人らが、気軽に立ち寄れるような、人々も猫も住みやすい空間を育もう。
しっかり、元気に生きねばな。
After the Rain.
雨は、やがて止む。