バンガロールに暮らす外国人女性向け、ヴォランティアと交流を目的としたグループ、OWC (Overseas Women’s Club)。インド移住直後に入会したので、こちらも15年目の古株だ。週に一度のコーヒーモーニングほか、各種イヴェントが実施されている。
年に一度、3月ごろに、年会費を支払ってメンバーシップの更新を行う。メンバーシップには飲食店やスパなどの割引特典がついている。
先日、タージ・ウエスト・エンドに滞在した際、OWCメンバーは20%オフだったことを思い出してカードを確認して驚いた。昨年度のカードだった。更新手続きをすませていたものの、その直後にロックダウンとなり、新しいカードを受け取らないままだった。
昨今では市内数カ所で開催されているコーヒーモーニング。少人数で実施されていると聞いたので、昨日、ITCガーデニアへ、カードを受け取りに行った。
10名ほどのメンバーが、テーブル越しに語り合っている。かつての活気が幻。面識はあるが、言葉を交わしたことのない人たちと、コーヒーを飲みながら、しばし言葉を交わす。
「あなた、すごく髪が短かったわよね。マスクもしているし、最初、誰だかわからなかった」
去年10月の一時帰国時、福岡のヘアサロンで、斎藤工さんにカットしてもらって以来、伸ばしっぱなしだ。そう。スタイリストが斎藤工にそっくりの、すんごく感じのいいお兄さんだったのだ。ゆえにわたしの脳内では、「斎藤工にカットしてもらった」との認識になっている。
「半年くらいは持つように、カットしておきますね」
と、彼は言った。まさか1年以上も放置状態になろうとは。
その後、お気に入りのお店、Good Earthへ向かう。最後に来たのがいつだか思い出せないくらい久しぶりなのに、何を見ても、しんみりとしてしまう。洋服を見ても、食器を見ても、なにかを欲しいという衝動が沈んだまま、浮び上らない。
そしてやはり久しぶりに、ランチをとろうとUBシティへ行った。
わたしは若いときから「一人での外食」に慣れている。東京でも、ニューヨークでも、D.C.でも、ムンバイでも、バンガロールでも。そしてまた、独身時代は「一人旅」が多かった。
だれかと「おいしいね」と語らいながらの食事も、もちろん好きだが、「ひとりランチ」は、独特の孤独感が心地いい。20代のころ、3カ月間、欧州を鉄道で放浪したときの、あのほぼ完全なる孤独な90日間が、すぐそばに蘇ってくる。そしていつも思う。
若かりしころの、経済的に困窮していた、しかし旅にだけはお金を投資していた自分に、今、会えたなら。
「好きなものを注文しなさい。そして好きなだけ、食べなさい」
あの、欧州の教会の前のベンチで、安いサンドイッチを、鳩と分け合いながら食べていたあのころの自分に。
食欲も、物欲も、好奇心も、圧倒的に旺盛だった若きころは、その欲求を満たすことが、困難だった。
翻って今。歳月を重ね、経済的に余裕はある。時間も捻出しやすい。
しかし年齢を重ね、さまざまな欲求は、減速している。その皮肉。
今になって、時間や、お金や、自分のエネルギーの「投資先」を見極めることが大切さ、を思い知らされる。無謀にも、旅を重ねてきた若き自分の選択は、今の自分の宝だ。
それにしても、このCOVID-19禍とは、なんなのか。
こんなにも、身動きが不自由で、故国も異国も遠く、久しぶりに会った人とハグもできず、イヤリングの代わりにマスクでコーディネート?
外に出て、過剰な衛生と距離感が改めて胸に迫る。
パスタを食べながら、泣きたくなった。世界はどうしてこんなことに?!
自らを鼓舞して、鼓舞して、でも時には沈んで、また浮かび上がって、そういう繰り返しの中で、強さと思いやりをまといながら、生きていきたい。
目先のやるべきことを、できることを、ひとつひとつ仕上げながら。さて、いつまでも浸ってないで、来週のセミナーの準備をしなければ。