今朝、MADHAVI FARMSのWhatsAppグループを見て驚いた。創業者のヴィジャイクマール氏が亡くなられたとの知らせ。
バンガロールでは近年、オーガニックの新鮮野菜の普及が目覚ましく、中でもかつては難しかった「葉野菜の入手」がたやすくなってきた。
その背景には、ヴィジャイクマール氏のようなパイオニアの尽力がある。
情報が流れてきたのは、バンガロールクラブのメンバー向け販売網のWhatsAppなのだが、
「月曜日、一緒にバドミントンをしたのに!」
「昨日、クラブで見かけたのに」
という衝撃の言葉が連なっている。多分50代とまだお若い。なぜ亡くなられたのかわからないが、周囲の方々の苦しみはいかばかりか。
ヴィジャイクマールさんの他界を、心よりお悔やみ申し上げます。🙏
2018年、ミューズ・クリエイションのメンバーとともに農場を見学した。以下はそのときの記録だ。ブログ内には写真も見られる。ぜひご覧いただければと思う。
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(2018年10月24日)本日は、ミューズ・クリエイションのメンバーとともに、バンガロール南部郊外のオーガニック農園を見学した。
オーナーのヴィジャイ夫妻に、約20エーカー(8ヘクタール)の農園を案内していただく。1998年に買い取ったというこの土地。当時は、ただの空き地だったという。そこに、絶滅危惧種の樹木や、インドでは聖なる木とされるピーパルツリー(インドボダイジュ)、ニーム、サンダルウッド、ティーク(チーク)の木などを植樹。
各種スパイスの樹木やコーヒーの木も豊かに、わずか20年の間で、猿や鳥、蝶、昆虫らが集まる楽園が育まれている。
この農園の特筆すべきは、昨年より始めたというインド初のアクアポニックスによる水耕栽培。
アクアポニックスとは、アクアカルチャー(魚の養殖)とハイドロポニックス(土を使わない水耕栽培)を組み合わせた用語で、新しい農業の概念だ。
魚の排出物を微生物が分解した水に鉄分を加え、植物に供給して吸収させる。そこで浄化された水が再び魚の水槽へ戻るという仕組み。
すなわち、農業用水が著しく節約できる、地球環境に極めて優しい農法なのだ。この環境を整えるには、温度調整その他、繊細な配慮が必要だという。
水耕栽培のホウレンソウやレタスを味見させてもらったが、味がギュッと詰まっていて、甘みがあっておいしい!
木立に囲まれた心地のよい庭で、滋味溢れる野菜のランチのおいしさに感動。思わず、何度もおかわりをいただく。
ファミリービジネスの香料会社を三代目として引き継ぐ傍ら、本人は電子工学が専門で、現在はこのファームの運営も行っているヴィジャイ氏。彼はまた、篤志家でもあり、地元のガヴァメントスクールの子供達に、毎日100食のランチを届けているそうだ。
バンガロールの環境問題を憂いつつも、こうして広大な土地を緑豊かな農園に生まれ変わらせている。遠足気分を楽しみながら、学ぶ契機に満ち溢れた、実に有意義な農園ツアーだった。
自分でも、「小さな森」を作りたい気持ちになった。
いつかどこかで、Forest Muse.