小雨降る寒い昨日。2023年8月、オールド・デリーに誕生したパーティション・ミュージアムを訪れた。南デリーの自宅からは車で1時間ほど。威容を誇る赤茶色の城、レッド・フォート(ラール・キラー)の近くにある。レッド・フォートは、タージ・マハルを建てたことでも知られるムガル帝国第5代皇帝、シャー・ジャハーンによって、1648年に建立された世界遺産だ。
インドとパキスタンの国境の地、アムリトサルにある博物館と同様、この博物館は1947年8月15日のインド・パキスタン分離独立前後の、社会、そして人々の歴史を伝えている。
久しい英国統治時代を経て、インド亜大陸がどれほどの辛酸を舐めた果てに、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の国に断絶されてしまったか。大まかな経緯は知っていてなお、史実を検証する数々の展示や、当時を生きた人々の肉声(ヴィデオ)は、鮮やかに酷い。なかなかに、気分が滅入る。
それにしても、ラドクリフ・ラインの、なんと理不尽で不条理で暴力的なことか……!
ミュージアム内は写真撮影が禁止されているので、関心のある箇所はメモを取る。ミュージアムでこんなにメモを取るのは初めてのことだ。ともあれ、後ほどネットで確認するために、キーワードだけでも留めておきたい。
冷たい雨が降る午後。ひと気のない、しんしんと冷え込むミュージアムで、当時の新聞や雑誌のコピー、写真、地図などに見入りつつ、黙々と、メモを取る。静まり返った館内に、我が右腕のバングルが触れ合うシャラシャラという音が響く。
2001年に結婚した時に、夫の家族から受け継いだこの22金のバングル。伯父曰く、伯父の母が結婚したときから身につけていたというから、100年近く前のものだ。ラホールで作られたであろう、このバングルもまた、祖母の腕を飾りながら、シャラシャラと音を立てながら、デリーにたどり着いたであろう。
身体は大きめだが手は小さいが故、この小ぶりのバングルが、わたしにはちょうどいい。シンプルなデザインもまた、気に入っている。これもまた、ご縁だと、常々思っている。
このミュージアムについては、内容はもちろんのこと、その歴史的な建造物の背景についても触れたいところだが、これから3泊4日のジャイプール旅。そろそろ準備をして、出発だ。次回こそはゆっくりとデリーで過ごす時間を取ろう。
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