今朝は6時起床でFM熊本の収録。2007年1月から今日まで、毎月インドを語り続けているけれど。現在、4人目のパーソナリティの方につき、当初の話題はご存じない。ゆえに今日は久しぶりに、インドの多様性「基本編」について、少し触れた。気候、言語、宗教、人種……。久しく暮らせば当たり前のことが、一般の日本人にとっては、理解の域を越えるものだ。繰り返し、新鮮な気持ちで、この巨大国家でのライフを、伝え続けねばと思う。
朝食をすませ、福岡の母とヴィデオ通話でしばらく話す。このごろは、寒さも落ち着いたようで、その安息が伝わってくる。毎度のごとく、「健康的な食生活」と「前向きな心持ち」もしくは「前向きに生きよう」と心掛けることが大切だと、確認し合う。なにより、そこそこ元気に生きていられることへの感謝。
母との電話のあとは、大量の猫餌(約1カ月分)作りだ。大量購入していた肉や魚、そして日頃の調理の際の「野菜の端っこ」や「余ったインドごはん」の冷凍などを取り出し、4つのグリル(ガスコンロ)をフル稼働して作る。さらには、明日の旅に持参する「昆布の佃煮」も作る(どこに持って行く!😁)。荷造りも7割方、終わった。そうこうしているうちにランチタイム。しかし有意義な朝の数時間である。
🇮🇳
明日から3泊4日の旅の前に、前回のジャイプル旅を完結しておきたい。取りこぼしや追記は多々あれど、とりあえずは2日目の夜の「ダンサー」のことを。
彼女の名前は、Sudha Chandran。女優であり、インド古典舞踊の一つ、バラタナティヤム(Bharatanatyam)のダンサーでもある彼女。艶やかな衣装に身を包み、表情豊かにしなやかに、物語り踊る彼女。ダンスを終えた後、マイクを持った彼女は、力強く、流れるように話し始めた。
彼女は、16歳のとき、交通事故に遭い片足を失くしていた!
確かに、足元の動きに激しさはなかった。しかし、言われてみるまで、それが義足だと気づかなかった。
家族との旅行中に事故で足を失った彼女。踊るために生まれて来たと信じ、ダンサーを志望していた彼女にとって、それは絶望的な事故だった。周囲からは、命が救われたとを祝福されると同時に、「もうダンスはできないわね」「でも、動けるから、大丈夫よね」と言われ続けた。それが、耐え難かった。
ひたすらに、奇跡を望んでいた。そんな2カ月後、彼女は新聞で「Jaipur Foot」のことを知った。ドクターの計らいで「足」を得た彼女は、尋常ならぬ努力をしたであろう、その果てに、女優とダンサーという立場を掴み取った。奇しくも、わたしと同じ年齢だという彼女。その目の輝きや肌の艶は、とても若々しく、エネルギーの迸りが見える。ここに投稿している動画をぜひご覧いただきたい。
実はわたしは、2017年のジャイプル来訪時に、ジャイプル・フットを見学していた。非常に有意義な経験だったので、そのときの記録を次の投稿に転載する。今回、このとき案内してくれたドクターのアニタに再会できたことも、うれしい出来事のひとつだった。
今日の午前中は、いくつか用意されたツアーの中から、希望するものを選んで参加。パレスの修復建築見学、ジャイプル陶芸の絵付け体験、Forest Essentialsの香水調合レッスン……といくつもの魅力的な企画があるなか、わたしは出発前から、Jaipur Footの見学を希望していた。
今回のイヴェント参加者約400名。うちJaipur Footの参加希望者は4名! うち集合場所に現れたのはわたし一人! 一人でも催行してくれるということで問題はなかったが、今回、親しくなったマレーシア人のエリサ(ゲストスピーカーだった "500 Startups” のカイリーの妻)が、どれに参加しようか迷っていたので誘ったところ、強い関心を示し、同行することに。
案内してくれたのは、YPOのジャイプール支部のメンバーで、ドクターのアニタ。ジャイプル市街にあるJaipur Footは、1975年、D.R.メータ氏によって創設された「義足作り」のNGOで、世界最大規模を誇る。
世界各地を行脚するメータ氏の熱意と行動力、そして口コミの影響で、国内外からの寄付や支援が募られている。結果、超廉価で膨大な数の義足を、貧困層の人々に無償で提供している。創設当初は決して快適とは言えぬクオリティだったが、米スタンフォード、米MIT、そして印IITなどの協力により、世界最先端の技術が導入され(正直なところ、作業現場は前時代的にしかみえないのだが)、品質も向上。1975年はわずか年間59足からスタートしたが、昨年は年間8万5000足を超えた。以下、特筆すべき事項を箇条書きにしておく。
◎主には超貧困層が対象。
◎義足代はすべて無料。
◎世界各国から購入者を受け入れる。
◎数年に一度のメンテナンスが必要。ゆえに海外在住者には1度に2セットを提供。
◎アフガニスタンやバングラデシュなど海外約30カ国のキャンプに義足提供。
◎インドの義足利用者の半数以上が鉄道事故による負傷。
◎アポイントメント不要。いつ訪れても受け入れられる。
◎到着した日に足型をとる。24時間後に義足完成。
◎到着した翌日に装着、歩行練習をする。
◎米国では120万ドル(約120万円)で売られている義足。ここではわずか50ドル(5000円)程度で製造している。
工場内を見学したあと、創始者のメータ氏に話を聞く。ご本人のエピソードに加え、マハトマ・ガンディやシュバイツアー博士の言葉に感銘を受けたという、その言葉を教えてくれる。強く心を動かされる。
義足使用で自由に動き働く人を目の当たりにし、また、1年ぶりに自力で歩き始めた女性の一歩に立ち会える機会を得た。胸が熱くなる。ここには到底書き尽くせぬが、本当にいい経験だった。
🦵JAIPUR FOOT
https://www.jaipurfoot.org/
🇮🇳ラジャスターン旅 01@ジャイプル/稀有な体験の数々。YPO主催のイヴェント参加の数日 (Dec. 2017)
https://museindia.typepad.jp/2017/2017/12/jaipur.html
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