ミーティングを終え、遅いランチをすませたわたしたちは、陽が傾き始めた午後4時ごろ、リゾートを出る。目的地は、Archanaの勧めてくれた2つの寺院。そのうちのひとつは出発前、リゾート界隈の見どころを調べてた時に目にしていた。しかし、記事を一瞥するだけでは、なにがどう、大切な場所なのかピンとこない。遍く世界、予備知識がなければ、自分の好奇心の発火点すら見出せない。
知る人の話を聞くことは、本当に大切だと今回はしみじみ痛感した。というのも、最初は「1カ所の寺院だけ訪れればいいのでは……?」という意見もあったのだが、Archanaが、どちらの寺院もそれぞれにすばらしく、甲乙つけ難いからどちらも行くべきだと提案してくれたのだ。結果、甲乙つけ難いことを実感した。
まずは、リゾートから遠距離にあるハレビドゥ (Halebidu)という町にあるホイサレシューヴァラ寺院 (Hoysaleshwara Temple)へ。ハレビドゥ は、かつてホイサラ帝国の首都であった。寺院の建造は、ヴィシュヌヴァルダナ王によって1121年ごろに着工され、約40年後の1160年に完成したという。
この寺院は、シヴァ神を祀るシヴァ派の寺院でありつつも、シャクティ派など女神の要素も包摂され、男性性と女性性が共在。またヒンドゥー教の寺院でありながら、ジャイナ教の要素も見られるなど、多様なテーマを崇敬している。南北には、滑らかに麗しい2体のナンディ(牝牛)が祀られている。
圧巻なのは、寺院全体を取り巻く無数の彫刻、複雑なレリーフだ。
車を降り、入り口ゲートから寺院に向かって歩き、その実態が明らかになるや、その圧倒的な外観に、「ほぇ〜」という間の抜けた感嘆の声が漏れる。心の中でオーマイガーを連発しながら随所を眺めるも、情報量が多すぎて、取り込めない。
「神はディテールに宿る (God is in the details)」と言ったのは、建築家のミース・ファン・デル・ローエだが、これは、神がディテールに宿りすぎている。
壁画を取り巻く要素。インドの二大神話『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』の物語や、『バガヴァタ・プラーナ』などのヒンドゥー教の聖典が、可視化されている。その精緻で躍動感あふれる姿! また、当時の南インドの人々の暮らし、動物や植物、ローカル言語の文字なども見られる。
宇宙だ。
ここで数時間、好きなだけ彫刻を眺め、手を合わせ、瞑想をし、日が暮れるまで「空」な心で過ごしたいと思える、そんな場所。
多くを語れるほど知識がないので、文字情報はこの辺にしておく。Instagramのシステム上、写真は1投稿につき10枚しかアップロードできないのことから、普段は10枚に絞り込んでいるのだが、今回は絞り込みたくない。2寺院の写真は、2回ずつに分けて投稿する。
今、Wikipediaを見ていたところ、「ダンシング・サラスワティ」を見逃していた! 我が敬愛するサラスワティ(弁財天の起源)の踊っている姿! これは、この目で見たかった! 最後の写真は、Wikipediaから借用したもの。
また、行きます。
🖋Hoysaleswara Temple
https://en.wikipedia.org/wiki/Hoysaleswara_Temple
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