今日は日本滞在最終日。明日のフライトでバンガロールへ戻る。早起きをしてパッキングを8割方すませ、スーツケースの残りスペースを確認。最後の買い物の目安をつけて、ひと段落しているところだ。
この時期の、日本の夜明けはこんなに早かった……? と驚く東京での日々。4時半ごろに、カーテンの隙間が明るんでいるのを見て驚いた。昨夜、カーテンをしっかり閉め忘れていて朝日に起こされ、5時半に目覚めてしまう。二度寝をしようとゴロゴロしたが、結局は早起き。
荷造りをすませてシャワーを浴び、先日みちるっちから教わったおすすめの朝瞑想の動画を見ながら十数分の瞑想。今日で3日目。非常にシンプルながらも集中できるメソッドで気に入った。「なかやまきんに君の世界で一番楽な筋トレ」同様、10分程度がわたしにはちょうどいいようだ。
外出の前に、ここ数日の記録を少しずつ残しておこう。
⛅️
花曇りの月曜日。この日はランチと夕食の約束があるのを除いては自由だった。今はほとんど回復したが、この日もまだ咳のあとの腰痛や肋骨の痛みが残っていたので、近場のお店でお会いすることにしておいてよかった。
ランチはホテルから徒歩5分ほどの場所にある盛岡の冷麺のお店。ここで7年ぶりに、かつて大手広告代理店のR&D (研究開発局)に在籍されていたN女史とお会いする。わたしのインドにおけるリサーチ(市場調査やインタヴューの仕事)において、最も頻度高く高濃度なお仕事を共にさせていただいたのがN女史だった。
2006年半ばから、N女史が早期退職されるまでの10年余り。数え切れないほどのお仕事をいただいた。バンガロールはもちろんのこと、デリーやムンバイは何度も出張。コルカタやチェンナイへ赴いたこともあった。テーマは多岐に渡り、ライフスタイル調査に伴う家庭訪問(富裕層/中間層/貧困層)、世代間の意識調査のためのグループインタヴュー、Eコマース黎明期の企業訪問や調査、FMCG(日用消費財)やコスメティクス市場、食生活の変遷……。軽く振り返るだけでも枚挙に暇(いとま)がない。
これらの調査に伴う、膨大な資料は、わたしが編集しレポートを作成してきた。無数の紙の資料が、今でも書斎の本棚にファイルされて並んでいる。中でも、1991年のインドの市場開放から25年にわたっての、インドのさまざまな側面をテーマごとに整理した「トレンド年表」は圧巻。自分たちで作成しておきながら言うのもなんだが、あれほどまで綿密に、インドの消費現場の推移をまとめて「書籍仕立て」にした人は、インド人ですらいないと思う。
2013年ごろにプロジェクトを開始し、そのときに一気に20数年分を調査してまとめ、以降は毎年、アップデートしていった。N女史がリタイヤされたあとも自分で継続して作成しようかと思った時期もあったが、あまりにも作業量が多く(丸1カ月はかかる)、趣味でやるには無理があった。
ともあれ、お受けしてきたすべての仕事が、徹頭徹尾、今のわたしの糧になっている。
🇮🇳
まだ小さく古かったデリーの空港でお出迎えして以来、N女史は毎年のように、多い時では年に複数回、インド出張にいらした。インド料理が大好きで、インドの伝統工芸品にも関心を持たれていたことから、ビジネスの領域を超えて、疲れ知らずで多岐に亘る市場調査をしたものだ。
インドに限らないが、しかし特にインドは「今だけ」を見て、自分たちの価値観や尺度で判断したのでは、諸々、大きく見誤る。歴史や文化、習慣、価値観……日本人とは大いに異なるライフスタイルを調査した上で乗り出さなければ、自爆しかねない業種も少なくない。2010年ごろにどっと波が押し寄せ、さ〜っと引いていった時代があったが、今も同じような景色が見られるが故、尚更にそれを感じる。
同じ進出するでも、背景を知っていたうえでストラテジーを練れば、何も知らないよりもはるかにリスクを抑えることができる。それも「ちょっとしたことで」ということが多い。これを知っていれば回避できたのに、作戦を少し変更したらうまくいったかもしれないのに……というような。
だめだ。朝っぱらからまた、込み入ったことを書いている。
N女史とは仕事以外でもアーユルヴェーダやヨガなどの話題でも共通項があり、家族のこと、今後の生き方など、過去を振り返りつつ現在を報告し合い、未来を語る……という、しみじみと熱いランチタイムだった。
冷麺は、思ったよりもかなり歯ごたえがあり、噛み切りにくいスパゲッティのようであった。とはいえ、もちもちと、おいしく食べ応えがあった。昔だったら「これだけ?」と思ったに違いない、上品なボリュームの焼肉も、柔らかく旨味が効いて、とてもおいしかった。
次はバンガロールでお会いしたい。
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