「あおいあおい空だよ 雲のない空だよ サモアの島 常夏だよ〜♪」
小学一年生のとき、「今月の歌」で習った歌。この歌を通して初めて、わたしは「南の島」の存在を知ったように思う。その年の夏休みの出校日。生徒たちは暑い体育館に集い、映画を見た。無人島に漂着した子どもたちが、試行錯誤しながら、島での暮らしを整えていく様子が描かれていた。『十五少年漂流記』の、日本語実写版のような内容だったと記憶する。強烈に、心惹かれた。
大人になってからも、トム・ハンクスの主演映画『キャスト・アウェイ』(Cast Away)を見たときには、好奇心を掻き立てられたものだ。
わたしが若者向けのセミナーで、常々語っている「18の提言」のうちのひとつに、「裸一貫の自分を思え」がある。そもそもは、大学時代に読んだフランクルの名著『夜と霧』や、映画『Life is Beautiful』に強い影響を受けたうえでの言葉だ。いずれも、ナチス・ドイツによるユダヤ人強制収容施設でのホロコースト体験に基づいて描かれた作品である。
衣類や持ち物すべてを奪われ、みなと同じ服装をさせられたとき。自分はどう生き延びるか。
南の島に放り出されたとき、自分は、どう生き延びるか。
「裸一貫の自分を思え」とは、そういうことを念頭においている。
実際にはそういう局面に陥らないことが一番だし、軽々しくたとえるべきではないかもしれない。それでも、敢えて、考えるときには、その状況を連想する。『Life is Beautiful』の主人公のような生き様と死に様を尊敬する。
大自然の中に放り出されるような旅をするにつけ、地球の偉大さと自分の儚さ、同時に強さ、自分の小ささ、同時に大きさに、思いを馳せてきた。モンゴルのゴビ砂漠はじめ、米国のモニュメントヴァレーなど壮大なる国立公園の数々……。人生の宝だ。
昨日もまた、目覚めるなり窓を開け、海に出る。裸足の暮らしが心地よい。新鮮で豊かな朝食のあと、アーユルヴェーダやホメオパシーに関わるトークに参加しようと思ったが、一人でジャングルを巡ることにした。他のゲストはみな自転車で移動していたが、敢えての徒歩。曇りがちの天候が幸いして日焼けの心配もなく、暑さも気にならない。
水上コテージを見学したり、島内のオーガニックファームを眺めたり。
途中、スパでトリートメントを受け、リラックスした後は、しばし読書などして、また夕暮れどき、島を歩く。島の反対側にあるレストランからの眺望はまたすばらしく。たまたま友人も一人でくつろぎに来ていたので、写真を撮り合う。
海にせり出したハンモックに横たわり、雨が降り出すまでの30分ほどだろうか。ひたすら波音を聞きながら、海風に吹かれながら、雲の流れを眺めながらのひとときが、本当に、最高だった。スパもいいが、ここに横たわっている方がむしろ、心身が癒される気がした。
我が終の住処、デカン高原の只中にあるバンガロールには海がない。ゆえに、海成分をしっかりと吸収しておこうと思う。
諸々、設備が整ったラグジュリアスなリゾートにて綴るには場違いな内容だと思われるかもしれぬが、それはそれ。若きころのバックパッカーな魂と冒険心は、今もまだわたしのなかに残っているようだ。
足の裏が少し痛いけれど。裸足で歩くのは、本当に、気分がいい。
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