福岡に戻って10日余り。ようやく風が春めいてきた。来週あたり、桜が開花し始めるようだ。4月の初旬には満開になるだろう。母の白内障手術第2弾は明後日の月曜日。桜が咲くころには、両目がだいぶ、くっきりと見えるようになっているに違いない。いいタイミングだった。
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思えば、こんなにも長く、福岡だけに滞在するのは父が他界した2004年以来、21年ぶりのこと。
朝から晩まで、同じ会話や質問が延々と繰り返され、四六時中、何かを探さざるを得ない(大切なものが紛失しがち)環境の中で過ごすのは、なかなかに(相当に)タフではある。しかし、これは多くの人々が経験をしていることで、特別なことではないのだ。
ただ、自分にとって、初めての経験であるということだ。頭ではわかっていても、感情的になる自分にもうんざりしつつも、このひとときを有意義に。毎朝の10分間の瞑想が命綱。
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自分の書き物や仕事にはなかなか集中できないので、隙あらば、片付け。父の死後、一時帰国のたびに片付けてきたけれど、戻ってくるたびに、混沌となる。昔はそれでもよかったが、もう今となっては、大切な書類や郵便物、その他を判別できなくなっているので、不要なものは処分するに限る。
人間は、片付ける習慣をつけておいた方がいいと、つくづく思う。空間の散らかりは、脳内の散らかりに比例する気がする。若いうちにはそれでよくても、認知症を患い始めたらアウト。片付けていたら、いろいろなものが発掘される。さっきは、「持っていない」と言っていた「交通用福祉ICカード「はやかけん」by 福岡市」が2枚も出てきた。
子供のころの写真や、手紙や、さまざまな思い出が、家のいたるところから湧き出てきて、過去が近い。
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人生はロールケーキ。を言葉にすると長くなるので絵にしてみたら、楽しくなって、いろいろ書き込んだり、シールを貼ったりしているうちに、賑やかなページになった。ロールケーキというよりは、アンモナイト。
20代、30代は、豊かに成長し、世界に視野も心も広がり飛んでいた。40代、50代は成長の速度は落ちて、しかし応用力は高まった。歳月の流れがどんどん短く感じはじめ……。やがて大きな節目、第二の人生の入り口。暦(こよみ)が巡り還る「還暦」を間近にし、ぐるりと一周戻って来て、幼少時が近い。ここからぐっと、人生の深奥に向かうのか。
新鮮な生クリームたっぷり、旨味の詰まったロールケーキの中心部に向かって。この先の人生をいかに紡いでいこう。
この人生はロールケーキ絵図は、自分の人生を振り返るうえで、なかなかに楽しい試みだと思った。フォーマットを構築してワークショップでも開こうかしらん。自分の足跡、即ちライフを慈しむことにもなる気がする。
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