朝晩は少し冷え込むものの、日中の日差しはすでに暖かく、ときに暑く、この地の浅すぎる冬は、冬に非ず。
年始からの仕事は速やかに進み、デスクワークにも息切れしてきたので、外に出る。無性に自分で運転したくなるが、この地で、マニュアル車を操る自信はない。気分転換どころか、ストレスがたまりそうだ。いつか、自分で運転して、自由に道を走る生活に戻りたいと、考える。
サーブ900。黄色のコンバーチブル。20代のころの、憧れの車。
あの車は、本当にすてきだった。今でも、乗ってみたいと思うがしかし、サーブは確か、経営が破綻したのではなかったか。いろんな意味で、夢に終わった憧れか。
そのオーガニック専門店がオープンしていることには気づいていた。しかし、両隣、上階、常にどこかが工事中で、店内に入る衝動がそがれていた。今日、初めて入ってみたら、小さい店舗ながらもなかなかの充実ぶり。
月曜と木曜の午後、オーガニック農家から野菜が届くという。インディラナガールのいつもの店は火曜と金曜。少し、選択肢が増えてうれしい。
愛用しているRUSTIC ARTのシャンプーや石鹸などもある。このごろはオンライン・ショッピングに頼っていたが、やはり手に取って、新しい種類を確認したりしながら買うのも、いいものである。
オンライン・ショッピングといえば、新年、新しいシャワーカーテンに変えようと、以前、通販サイトを利用して購入していたシャワーカーテンを取り出した。
使う時に梱包を空ければいいと、無精をして、そのままに放置していたのを、開いてみて驚いた。
わたし、こんなの、選んだっけ? なにか見覚えがあるから、選んだに違いない。しかし、念のためサイトの買い物履歴を確認してみる。間違いはない。
どうしたのだろう、このチョイス。寝ぼけていたのだろうか。やはり、24時間、気軽に買い物ができてしまうオンライン・ショッピングとは危険である。このごろは、ジュエリー専門のサイトも充実していて、誘惑されること、このうえない。気をつけなければ。
今日は、久しぶりにコマーシャルストリートへ。まずは買い物のまえに、腹ごしらえをと、小路を右に入り、一本北側の道へ。
店舗の栄枯盛衰はあれど、この商店街の持つ独特の空気は、初めて訪れた10年前と変わらず。
新しいブランドの、新しい店舗が増えても、昔ながら、が圧倒的な存在感だ。
ランチの場所は、ここ。コマーシャルストリートにも同じ店があるのだが、こちらの方がすっきりと清潔感があり、人も少なく、ゆっくりと食事ができるのだ。
薄く香ばしく焼き上げられたペーパー・マサラ・ドサ。薄いだけに、巨大。皿からはもちろんはみ出し、テーブルからもはみ出しそうなほどの。
食後は、チャイを。「シュガー。チョタ」とお願いする。チョタ、とはヒンディー語で「少し」という意味である。わたしがヒンディー語で話せる表現は、2つだけ。
「カナ・バホット・アチャ・へ」
食事、とてもおいしかったです。
「AC カムセ・カムカルド!」
(タクシーの中で運転手に)冷房、弱めてください!
インドに10年近くも住んでいながら、なぜしゃべれないと言われそうだが、そら勉強しないことにはしゃべれないのである。一度は勉強しようと取り組んだこともあったが、あきらめた。
なにしろここバンガロールでは、英語と地元のカンナダ語が主流。デリーやムンバイだと、ヒンディー語が圧倒的に必要となるが、ここでは英語でそれなりにやっていけるから、いけない。
そんな言い訳はさておいて、チャイは美味だった。
さて、買い物とは、これである。
ニューヨークで出会った当初、夫はインド人であることを、インド人と言わなければほとんどわからない、ライフスタイルであった。しかし、絶対にインド人である、という出自が明るみになるときがあった。
それは、クリケットのワールドカップが行われている時期。特別なケーブルでしか受信できない試合を見るために、彼がどれほど、尽力したか。
そして、毎晩、寝る時の姿。白いパジャマ&クルタを着用するのである。
ちなみにパジャマとはヒンディ語で「ズボン」、クルタとは「上着(トップ)」を意味する。英国人が上下まとめて寝間着を「パジャマ」と呼んでいるが、あれは、ヒンディ語から来ている。正確には、パージャーマーと発音するようだ。ともあれ、インドでパジャマといえば、あくまでも「ズボン」のことだ。
このパジャマ&クルタ、彼が学生のころからずっと、デリーのロメイシュ・パパが調達して米国に送ってくれていたこともあり、なぜかデリーに行った特に買う習慣がついていた。が、しかし、このところ買い忘れている。
白の衣類は、水の状態が悪いインドで洗濯をすると、たちまちグレイになる。ほとんどのパジャマ&クルタがグレイ化し、極めてみすぼらしい様子になっていたので、まとめ買いをしようとコマーシャルストリートを訪れたのだった。
そもそも普段着として着ているムスリムの人たちも多い。ゆえに、ムスリムの店が多い店を重点的に訪れたのだが……。
デコレーションのない、シンプルな、木綿100%のものを見つけるのが、なかなかに難しい。刺繍があったり、マオカラーだったり、なにかしら、邪魔である。
結果5軒ほども巡り、数枚ずつを買ったのだった。ちなみにパジャマの下に下着のパンツははかない。直接、である。ゆえに、毎日洗濯をするので、彼が旅行のときには、このパジャマ&クルタだけで、たいへんなかさばりようなのである。
しかし、快眠が最優先。いつもどっさりと、持参する。
高原の街の暮らしでは、麗しい夕暮れ時の遭遇率が、極めて高い。
この時刻の、空の様子は、いかにもやさしい。
夕飯のサラダ。普段はオリーヴ・オイルとバルサミコ酢などで簡単な味付けだが、今日はトマトのみじんぎりを、これで和えてドレッシング代わりにしてみた。
おいしい! サラダをモリモリ、食べてしまえる。
わたしが茅乃舎の商品を愛用していることを知ってか、年末に友人(PAKAKO隊員)がお土産に買って来てくれたもの。ありがとう。
出張帰りの夫も「これは、胃がすっきりしていいね」と喜んでいた。
さて、そろそろシャワーでも浴びて、今日も早めに、寝るとしよう。