昨日の早朝、ニューヨーク発ロンドン経由でバンガロールに到着した。南インドにあって、しかしデカン高原。標高が高い場所にあるこの都市の空港に到着する時には、いつも心地のよい涼しい風が出迎えてくれたものである。
しかし最近では、いつもそうだとは限らなくなった。昨日もまた、少し暖かい風、だった。どうやら南インド全体を熱波が襲っていたらしく、お隣のアンドラプラデーシュ州やテランガナ州では、50℃近くにまで達したところもあるとのこと。数百名の死者が出ているらしい。なんということか。
バンガロールに帰宅する楽しみは、NORAとROCKYとの再会であった。ROCKYは寝ぼけ眼で、しかし喜んで我々を出迎えてくれたものの、NORAは不在。実はわたしたちが旅に出た翌日から、毎朝来てくれているメイドのマニも、また朝晩来てくれているドライヴァーのアンソニーも、NORAの姿を見かけていないと言う。
このところROCKYが成長して発情期を迎えているせいか、NORAがROCKYを煩わしく思っている節があった。外出の時間も増えていたのだが、わたしたちが戻って来なくなり、尚更、ROCKYと二人(二匹)で過ごすのがいやになったのかもしれない。
NORAが寂しいだろうと友だちを増やす意味でROCKYを飼い始めたのが契機だっただけに、この状況はとても残念。一時期は、姉と弟のように、NORAがROCKYの面倒を見てくれて、仲良くしていたのだが……。
猫を飼うというひとつのことをとっても、さまざまに不測の事態が発生し、一筋縄ではいかないということを学ばされている。
アンソニー情報によると、警備員がたまにNORAの姿を見かけているらしいので、元気ではいるようだ。そもそも野良猫のNORA。拘束することは難しい。また気が向いて戻って来てくれるのを待つしかないだろう。
終日冷たい雨が降っていた去年の最終日とは違い、今年の最終日は快晴だった。やはり、晴れた空に見送られる方が気分はよいものである。セントラルパークを散策して、ランチへ出かけることにした。
この写真は、夫が朝のジョギングの時に撮影したもの。湖のカメやカモ。毎年見かける光景。
ニューヨークのマンホール、インド製のものが多い。しかしこのマンホールの製造環境が、すさまじい。いや、すさまじかった、と過去形であってほしい。
2007年の新聞記事で、この製造現場の写真を見たときの衝撃は、かなりのものだった。
■貧しすぎる貧富の差を、毎日毎日、見ている。 (←Click!)
インドに暮らし始めてからというもの、目に見えるものの向こうにある光景について、思いを馳せる機会が増えた。
土曜日のセントラルパーク。平日は芝生の養生のために閉鎖されていたシープメドウ(一番上の写真)もオープンし、多くのニューヨーカーたちがピクニックを楽しんでいた。シープメドウは、わたしたちもまた、お気に入りの場所である。芝生の上に座って、しばし、時を過ごす。
ランチタイムはアッパーウエストサイドのレストランで。昔、よく飲んでいたサミュエル・アダムスのビール。季節限定の1本を頼んでみた。
ほろ苦く、ホップの香りが濃厚で、おいしい。
IPAとは、どういう意味なのかと調べてみて、ちょっと驚いた。India Pale Aleの略であった。詳しくはこちらを参考に。
わたしはシーフードサラダを注文。といっても、いつものようにシェアをして食べるのだが。
ところでわたしが着用しているこのリネンのシャツは、ムンバイのタージマハル・パレスにある老舗のシャツ店で購入したもの。リネンにしては、リーズナブルだし、デザインも気に入ったので迷わず購入した。店の人も、「海外では、リネンはこの値段では手に入りませんよ!」と太鼓判を押していたのだった。
わたしもそう、思っていた。
ところが、今回の旅で、J. CREWやBANANA REPUBLICなども覗いてみたのだが、リネンの衣類が、なんとも手頃な値段で売られていることに驚いた。UNIQLOに至っては、よりいっそう。そして先日も書いた通り、麻を多く生産するインドで作られているものが多く目に入った。バングラデシュのものもあっただろうか。
ちなみに綿や絹、麻などの天然素材以外にも、モダールと呼ばれるブナ材 (Beechwood) や、竹(Bamboo)などの繊維で作られた布も、インドでは製造されている。昔はもっと多くの自然の布があったそうだ。
それはそうと、その廉価な商品を見るにつけ、製造現場で働く人たち、スウェットショップ(搾取工場)に思いを馳せずにはいられない。
2年前、バングラデシュの工場が倒壊して多くの死傷者が出た事件をご記憶の方もいらっしゃるだろう。
■バングラデシュ: ラナプラザ・ビル倒壊事故から2年、労働者の権利は否定されたまま (←Click!)
雇用機会を与えている、という点においての存在意義もあるだろうが、劣悪な労働環境のもとで働く人々もまた大勢いるのだという現実があるということを、忘れてはならないと思う。
■11 Facts About Sweatshops (←Click!)
食後、アッパーウエストサイドを散策。ポルシェのあまりの車高の低さに改めて目を見張る思いだ。バンガロールで運転したら、1キロも走らぬうちにボコボコだ……などと、残念なことしか思い浮かばない。
捨て猫を保護する組織が、飼い主を探して道端に野良猫を。以前はちっとも、気に留めなかったのに。
かわい〜、と、またしても猫撫で声で猫に近づいてしまう。今回の旅で、自分ちの猫以外にも反応してしまう自分を知った。予想外のことであった。
夫がおいしいチョコレートを買って帰りたいというので、スーパーマーケット巡り。
こちら、Dry Aged Beef。乾燥して熟成させた牛肉だ。ニューヨークのステーキの代名詞、でもある。肉の旨味が生かされるため、ソースなどは最低限、塩こしょうでもかなりおいしく味わえる。
リンカーン・センターのカフェでお茶。ちょっと前まで真剣な顔で仕事のメールを送っていた夫。急に微笑んでいる。
NORA!!
夫は今年、ニューヨークをさらに2回は訪れる予定があるが、わたしは来年まで来ることはないだろう。
今年もありがとう。1年後にまた、会いましょう。