火曜日。天気予報は降水確率50%。曇ったり、雨が降ったり、晴れたりと、忙しい天候の一日だったが、わたしたちの行動には極めてほどよい、よき天気の一日であった。
この日のメインイヴェントは、ロングウッドガーデンズを訪れること。
ロングウッドガーデンズは、デュポン社の社長であり、ジェネラル・モーターズ社の社長でもあったデュポン家の4代目ピエール・S・デュポン氏 (Pierre S. Du Pont) によって、1920年代に造られた大庭園だ。
10年前に初めて訪れたときに、その花々の豊かさ、緑の麗しさに感動した。今回、郊外をドライヴするにあたっては、ぜひとも再訪したく、予定に組み込んでいたのだった。
ちなみに10年前の記録。夫はあまり(ほとんどまったく)変わっていないが、わたしはこざっぱりと、かなり若い。
■初夏のロングウッド・ガーデンズ 2005年5月 (←CLICK!)
朝食をとるべく、ホテルのダイニングへ。地元でも評判のレストラン、KRAZY KAT'Sで朝食だ。クレイジー・キャッツというだけに、猫関係のインテリア。
……といちいち思い出さずにはいられない。
夫はフレンチトーストを注文。とはいえ、いつものようにシェアして食べる。久しぶりにパンチの効いた朝食がおいしい。
朝食のあと、部屋でゆっくりとコーヒーを飲んで寛いだあと、ロングウッドガーデンズへ。ホテルからは、車で10分ほどのドライヴだ。あいにくの曇天ではあるが、雨が降らなければノープロブレム。尤も、雨が降れば、オランジェリー(植物園)を訪れればいい。
以下、庭園内の写真をランダムに、思い出に、載せておく。緑の匂い、花の匂いを思い切り身体の中に吸い込んで、豊かな数時間であった。
率直にいえば、10年前に訪れたときほどの感動はなかったけれど、それはすでに3度目だということもあるし、インドで身近な花々がたくさんあった、ということもあるだろうし、歳を重ねて感動の鮮度に変化があったということもあるかもしれない。
しかしこうして写真を眺めて振り返ればまた、その瞬間には感受できなかったことが再認識されたりもして、楽しい。
午前中は曇天だったが、暑すぎもせず、歩くのには好適であった。
一年のうちで、この5月が一番、花々がたくさん咲いている時節なのだとか。しかし、10年前の5月の方が、藤棚やツツジ、アジサイも満開で今回よりも花が豊かだった気がする。5月の上旬がベストなのかもしれない。あるいは、その年の気候にもよるだろう。
訝しがる夫に、このアングルから撮って! と指示を出す妻。
突然ですが、うさぎのアリスです。バンガロールは、みほさんたちが旅に出たあとも、雨がたくさん降りました。
さて、みほさんは草の上に這いつくばって、いったい、何をしているのでしょう。
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これは、アンドリュー・ワイエスという画家の「クリスティーナの世界」という絵だそうです。アンドリュー・ワイエスは、ここブランデーワイン出身の画家で、お父さんや兄弟たちもアーティストだったんですって。この町にはミュージアムもあるそうですよ。
ちなみに「クリスティーナの世界」は、ニューヨークのMOMAに所蔵されているそうです。
それではみなさん、ごきげんよう。
わたしはそもそも、猫好きではなかったはずだ。ましてや、見ず知らずの猫など。
にも関わらず、NORAに出会ってからというもの、猫が気になって仕方ない。敢えて近寄って撫でに行くなど、NORA以前には考えられなかったものである。
しかも、猫ではなく、わたしが、猫撫で声で「いい子ね、いい子ねえぇぇ〜」などと、猫に話しかけたりするのである。
我ながら、気味が悪いのである。
「ここ、撫でてちょうだい」とばかりに、自ら腕(前足)を挙げてアピールさえする。
BELINとは、ピエール・デュポン氏の妻の旧姓なのだとか。ちなみに我々がステイしているホテルの部屋の名前もBELINだった。
10年前には物珍しく眺めたハイビスカス。今ではとてもなじみのある花。
午後、庭園を離れるころに、太陽が顔を見せ、青空が広がった。花々も緑も、ひときわ輝く。
自分の家の庭も、もっと自分で、手入れをせねばなあと思う。
先日の、すさまじい雹(ひょう)で、ほとんどの草花がダメージを受けてしまった。とはいえ、緑の成長は早いのだから、また、一からやり直す気持ちで。
■LONGWOOD GARDENS (←CLICK!)
ロングウッド・ガーデンをあとにして、次に向かうはブランデーワイン・リヴァー・ミュージアム。ここには、ワイエス父子の作品が所蔵されているのだ。
先ほどのアンドリュー・ワイエスは末っ子。父親は、著名なイラストレーター(挿絵画家)のN.C.ワイエスだ。
N.C.ワイエスの作品。これは『Treasure Island (宝島)』の挿絵の一枚。このような大作が何枚も使われた、なんとも贅沢な本である。
彼の3人の息子の作品も所蔵されていた。
これはアンドリュー・ワイエスの作品。彼の作品は、どれもこれも、寂しさの中に見え隠れする幽かな光。不穏のなかの、一抹の希望。
彼については、Wikipediaを参考に。
■アンドリュー・ワイエス (←CLICK!)
ミュージアムを一巡したあと、ブランデーワイン川のほとりを散策して、車に乗り込む。帰路のワインショップでカリフォルニア産のCHANDONを購入。インドはナシック産のCHANDONと飲み比べだ。
ディナーはホテルのダイニングで。この界隈では最も評価の高いレストランの一つだということで、ランチはロングウッドガーデンズのカフェで軽くサラダとスープのシェアですませ、夜に備えておいたのだった。
妻はまたしても、ビーフ! フィレ肉がおいしいとのレヴューを読み、またしても、だ。ここ3年のニューヨークでは「胃がもたれる」を理由にステーキを食べなかったにも関わらず、今回一気に挽回する勢いだ。デング熱の余韻か。
尤も、クリーミーかつオイリーな料理よりも、シンプルなステーキの方が、しっかり咀嚼して味わえば、さほど重くはないのである。
そんな次第で、一応はそれぞれに注文したものの、結局はいつものように、二人でシェアし合うことに。
どちらの料理も、良質の、素材の味が生かされていて、本当に美味であった。今回の旅では、一番の晩餐である。フィレ肉も、適度に柔らかく風味が豊か。ほんのりの塩味がほどよく肉にしみ込んでいて、旨味が引き立つ。
付け合わせの野菜(ぜんまいやアスパラガス)、リゾットなどもおいしくて、本当に満足の夕餉であった。
空を見上げれば、満天の星空で。これからは毎年、ニューヨーク旅の折には郊外ドライヴ旅をセッティングしようと意見が一致する。
そして今朝。コレステロールが気になるからと、卵白のオムレツを特注する夫。これがまた、中にたっぷりとラタトゥーユ風の野菜が入っていて、白身だけだというのに、風味豊かで美味であった。ちなみにわたしは、オートミールとフルーツ。軽めにしておいた。
2泊3日、この心地のよいホテルには、本当にお世話になった。ベッドの寝心地も抜群で、熟睡できたのもよかった。お勧めの宿である。
■The Inn at Montchanin (←CLICK!)
そして本日水曜日。フィラデルフィアに2泊、カントリーサイドに3泊のドライヴ旅を経て、再びニューヨークへ。
天候にも概ね恵まれ、移動その他もつつがなく、リフレッシュできたドライヴ旅だった。
マンハッタンでは、再び同じホテルにチェックインし、レンタカーを返却して一段落。さて、残すところニューヨーク滞在もあと3泊。2週間など、瞬く間のことである。残りの日々、大切に過ごそう。