夫の父、ロメイシュと、姉のスジャータが、
インドのニューデリーからやってきた。
スーツケースにはたくさんのお土産が詰まっていた。
「これは、インドの家族からの贈り物」
そういって、スジャータが手渡してくれた。
今は亡き、夫と彼女の母親が使っていたという大きなストール。
どっしりとした反物は、まるで日本の着物のよう。
金糸の刺繍がまばゆく、美しく。
わたしたちが結婚してからというもの、
義父と義姉は、
義母の形見のブレスレットやネックレスなどを、
少しずつわたしに、
いや、わたしたち小さな家族に、贈ってくれる。
インドの家族から受け継がれる、記憶の形。