インドの食卓に、ミルクは欠かせない。ヨーグルトを作るにも、朝がゆを作るにも、チャイを作るにも、ミルク。米国のミルクは、オーガニックなどのホールミルク(全乳)は別としても、味が浅いものが多く、さらには"Fat Free"だとか、脂肪分が"2%"とか"1%"とかいうミルクが市場を席巻していて、味わいのいいミルクにはなかなか出合えなかった。
インドでは、チャイもおいしいし、出されるコーヒー牛乳(カフェラテ、カプチーノの類い)も美味。これはミルクのおいしさによるものだと思っていた。
引っ越して間もなく、アパートメントのマネージメントオフィスに、新聞や牛乳の配達を頼んだ。ところが、この牛乳は、今ひとつおいしくない。インドでも、脂肪分を大きく減らした加工乳が出回っているようで、それは米国のミルクとさほどかわらない。おいしいミルクがほしい。と思ったところで思い出した。
引っ越しの儀式をした朝、大家夫人のチャヤがあえて「吹きこぼれさせた」、あのミルクはおいしかった。ミルクにインスタントコーヒーを加えただけなのに、ずいぶんおいしいカフェラテ風味に仕上がっていて驚いたのだ。もっともあのときは空腹で、だから余計においしく感じたのかもしれないけれど。
早速チャヤに、あの日のミルクの銘柄を問えば、すでにわたしの「お気に入りショップ」となっているニルギリズ (Nilgiri's)のミルクだとか。ニルギリズでクーポンを買えば、配達してくれるのだと言う。早速、ニルギリズの店内にある「ミルク・クーポン窓口」へ出かけた。
まず、住所氏名を登録し、1カ月に必要なミルク量を申請し、「ミルク手帳」を発行してもらう。我が家はミニマム(最低注文量)である1カ月15リッターにした。各クーポンの裏には本日の日付がスタンプされている。その日付から1カ月以上経過すると無効となる仕組みになっているようだ。
クーポンには1リッター用とハーフリッター(500ml)の2種類があるが、わたしはハーフを購入。必要な枚数のクーポンをアパートメントの入り口のガードマンに預けておくと、近所を巡回するミルク配達人がクーポンと引き換えに毎朝ミルクを置いて行ってくれるのだ。いかした仕組みでしょ。
たとえばパーティーなどのとき、たくさん必要であれば、クーポンを多めに託せばいいし、旅行中などで不在の折でも、キャンセルなどの電話をする必要がない。とても便利だ。