晴れた日曜日。尤も、雨期以外のこの町は、毎日のように晴れているから、取り立てて喜ぶことではないのかもしれないが、風がさわやかな晴れた週末というのは、心うれしいものである。
植物や花々に水をやり、きらきらと輝く様子を眺め、鳥のさえずりに耳を傾ける朝。
家政夫モハンとともに、蟻の駆除剤を撒き、キクイムシ対策のスプレイを散布する朝。
アルヴィンドは、相変わらず今日もクリケットの試合を見ている。いったい何日続くんだクリケットの試合ってのは。クリケットを見ているだけで、人生の大半が過ぎて行くんじゃないかと懸念するよ妻は。
ソファーと一体化している夫を引きはがすように、午後はせっかく会員になったのだから様子を見に行こうと、バンガロールクラブへ出かける。
バーやラウンジでは、語り合う人々の姿。スポーツジム、テニスコート、バドミントンコート、卓球コートなどを見学し、スーパーマーケットのある一画を見学する。
おおう! ここにニルギリズがあるではないか! ブリゲイドロードの本店よりはもちろん小さいが、こまめにいろいろな物がそろっている。例のミルククーポンを買いに行かねばならないと思っていた矢先、バッグにはミルク手帳もある。早速、ここで購入。クラブに来て、買い物もできるとは、便利である。
ライブラリー、レストランなど、ひと通り巡ったあと、屋外の芝生のテラスでビールでも飲もうということになった。お互い、本を持って来ているので、のんびり読書でもしようと思う。
ところが夫は、ニコニコしながら、テラスの一画に備え付けれたTVに向かって腰掛ける。周囲には同じように男衆。ああ、もう、またクリケットかい! 出て来た意味がないじゃないのよまったく。
結局、夫はビール片手に幸福なクリケット観戦。妻はノートに書き物をしたり、本を読んだり、行き交う人々のサリーの柄などを眺めたりする。
ロメイシュとウマに買ってもらっていたサルワールカミーズを着用の妻。自分ではブルーの服を買うことはないのだが、これは意外と気に入っている。図らずも、壁と一体化している。とても柔らかなジョーゼット生地に、白い糸で刺繍が施されている。着心地よく、風通しもいいのだ。ラクナウのチカンカリ刺繍だという。
アイスクリームパーラーにスーパーマーケット、八百屋にフワラーショップなどもある。まあ、いずれもたいしたクオリティの店ではないのだが、それでもインドにしては上等である。コンビニエンスストア的に買い物をできるのが便利。でも、クラブ内の店は、すべて現金を受け付けず、正会員のアカウントにチャージされる。わたしたち「お子様会員」が買った物は、即ちロメイシュのアカウントに計上されるので、月末にでもまとめて、「ミルク代」など支払わなければ。
夜は、義姉スジャータとラグヴァンがやってきて、ともにディナー。もちろん、モハンのもてなしなので、マダムはなんの準備も必要なく、みなとワインも飲んでいればいいのが至福にもほどがある。毎度、酔いが回ると普段以上に饒舌になって、自分で自分がうるさい。自制せなばな。
車購入の話題になったら、二人はひとまず、1カ月単位でタクシー会社やハイヤー会社と契約することを勧める。車の維持は結構たいへんだというのだ。ううむ。でも、ドライヴァー付きフルタイムの場合、フォードのアイコンクラスで月に1000ドルもする。ガス代込みとはいえ、なんだか、無駄な気もする。いっそ買った方がいい気がするが、この先の動向が見えない身としては、なんともいえず。
もう少々、検討の余地ありか。