いい夜だった。
7時半を過ぎた頃から、徐々にゲストが来訪する。身内をはじめ、インド人の友人知人。夫のビジネスフレンド、OWC (Overseas Womes's Club)で出会った人たちを招いた。わたしたちのお気に入り、インドワインのSULAや、インドビールのキングフィッシャーを開け、杯を交わし合う。
インドでのパーティーは、ゲストが時間通りに集合することは、まずない。みな、三々五々、集まるのが常である。従って、参上した人たちからそれぞれに、飲み始め、前菜やスナックを食べ始める。
昼過ぎからモハンとともに準備していた料理は、ゲストがそろい始めた9時ごろからテーブルに広げる。飲食とおしゃべりに専心していたせいか、料理やデザートの写真を撮るのを忘れてしまった。モハンの力作をご紹介できないのが残念だ。
今まで我々が暮らしたアパートメントのなかでは、ここが最も広い。3ベッドルームであることもそうだが、なによりもリヴィングとダイニングのスペースが広々としているのが気に入っている。踊れる。玄関のホールから、部屋全体が見渡せるのがいい。今日はパーティーのために、ちょっとレイアウトを替えた。
●写真左:ロシア系米国人のエレナとトゥルクメニスタン人のマヤ。手前のカナッペこそが、前述の「不規則な」それである。
●写真右:パーティーが始まる前に、サリー姿を夫に撮影してもらう。今後は積極的にサリーを着用するのである。夫は来るゲスト来るゲスト、自慢げに「日本の百年前の時計」の説明をするのだった。あたかも自分が見つけ出したかのように。
●写真左:左からニューヨークとバンガロールを行き来しているエミ、義父ロメイシュの旧友アニタの息子ニッケル。ニューヨークで建築デザイナーをやっていた彼もまた、故郷であるバンガロールに戻って来たばかり。エミの夫、ショーン、そしてマヤ。
●写真右:カシミール戦線に立ったこともある、例のパンデー将軍。今日もまた、キッチンに入ってモハンに現地語で話しかけ、握手をしていた。隣は義姉スジャータとその夫、ヴァラダラジャン博士(ラグヴァン)。 毎度おなじみチョッキ姿。
●写真左:お隣にお住まいのアンドウさん夫妻もご招待。アルヴィンドの隣はマヤの夫のショーン。右端に辛うじて写っているのは、やはり最近米国から戻って来たばかりのジョシュ。
●写真右:右の女性はジョシュの妻のフダ。
●写真左:いくらインドだからって登場が遅すぎな9時半にやって来た、我が大家、バティア夫妻と3人の子供たち。来られなかったゲストがいて、結局は30余名のゲストだった上、食事をせずに次のパーティーに行ってしまったゲストもいたため、料理が余りそうだと心配したが、この一家でかなり巻き返してくれた。右端の黒いパンツの女性は、ホテルTaj Westendのマネージャーであるナターシャ。ご主人は出張中で、今日は一人で参加してくれた。
●写真右:ラグヴァンのIISでの教授仲間、アシュの妻、ミトゥと娘のオイシー。インド人にしては珍しいほどの長身一家。オイシーは180センチ近い。アルヴィンド曰く、「インドで結婚するのは大変だよね」と、妙なことを心配。大丈夫。彼女は来年、英米に留学する予定らしいから、インド人以外との出会いも多いはず。
●写真右:右端はラグヴァンの弟マドヴァン。やはりIISで教鞭をとっている。風邪をひいているとかで、フリースの長袖シャツを首までぴっしりと閉じて登場。でも、靴下はいてないのね。靴、脱がなくていいのに、兄さんと一緒で、いつも脱ぐのね。床、冷たいから足が冷えると思うのよ。左のベージュのサルワールカミーズ姿の女性は、マドヴァンの妻のアナパマ。彼女はロイターのジャーナリストで、米国に記事を送っているため、いつも深夜に仕事をしている。
ゲストは花かごやデザート、ワインや茶葉、手料理などを持参して、訪れてくれた。花々で部屋はよりいっそう華やかになった。
ワシントンDCからの荷物はまだ届いておらず、壁にかける絵もなく、まださっぱりとした室内だけれど、わたしが「発見した」家具店で調達した家具の評判はよく、多くの人たちに店の場所を問われる。花と家具、古時計が、部屋をずいぶんと引き立ててくれた。
モハンの手料理は非常に好評で、お世辞抜きでほめてくれている気持ちが伝わった。わたしたちの「かいかぶり」ではなく、彼の料理は本当にうまいのだと、再確認した夜でもあった。バンガロアで生まれ育った年配の女性アニタですら、「彼のような使用人が欲しい」と真剣に訴えていた。
わたしたちは、モハンを招くことができて、本当に幸運だったと思う。
食事のあとも、K.C.Dasのデザート各種、フルーツ、ゲスト持参のチョコレートケーキ、あれこれをテーブルに広げ、味わう。主にはインドテイストを尊重した夕餉は、好評のうちに幕を閉じた。最後のゲスト(大家一家)が帰宅したころには、12時を回っていた。
モハンはすべてを片付け終えたあと、自らの夕食をすませて自室に戻った。見事な仕事ぶりに改めて感心した。
いい夜だった。