世界第一位の鉄鋼会社、ミッタル・スチール(オランダ)と、第二位のアルセロール(ルクセンブルク)の合併合意のニュースが、25日に発表された。合併会社「アルセロール・ミッタル」の年間粗鋼生産量は1億トンを超えることになり、1社で日本の年間生産量に匹敵するという。
今朝の新聞、The Hindu、The Economic Times、両紙ともこのニュースを大きく取り上げている。というのも、ミッタル・スチールは、オランダのロッテルダムに本社を置いているものの、CEOのラクシュミ・ミッタルはインド人で、そもそもはインド系企業だからである。
一方、アルセロールは、ルクセンブルクに拠点を置いているが、欧州三カ国の鉄鋼会社が合併した会社で、CEOのドール氏はフランス人のようだ。
結果的には「合併」となっているが、実質はミッタルがアルセロールを「買収した」形となっている。この合併を巡っては、この数カ月間、紆余曲折があった。アルセロールのCEOであるドール氏が、買収に積極的なミッタルに抵抗感を示しており、ロシアの大手鉄鋼会社であるセベルスタリとの合併を、積極的に進めていた。
ところが、セベルスタリとの合併については、株主の反対が強く、一方、ミッタルがアルセロールに有利な買収条件を示したため、最終局面で逆転する運びとなった模様。
それはさておき、インドの新聞がこれまで何度も取り上げて来たのは、ドール氏のコメントである。今日の新聞にもまた、「復習するかのように」、件(くだん)のコメントが再掲載されていた。
「ミッタルの鉄鋼製品は庶民のオーデコロン(plebian Eau de Cologne)、我々の鉄鋼製品は貴族の香水(Aristocratic perfume)だ」
まるで絵に描いたような、フランス的気取り屋さんぶりが、逆に滑稽でもある。
きちんとした製品を製造しているに違いないミッタルにしてみれば、失礼千万な発言だ。このコメントは、当然ながら物議を醸した。更に彼は、株主らに対し、「ミッタルのMonkey Moneyに手を出すな」などと公言していた。メディアが喜んで取り上げそうな発言ではある。
そんなわけで、インドにとっては痛快な結末となった、合併のニュースであった。