ボリウッドダンスとピンクレディーのダンスとの共通性発見について記してのち、さ、夕食でも作ってゆっくりと食べましょう、とコンピュータを離れ、簡単に食事を作って食べ終えて、さて、久しぶりにゆっくりと、TVでも観ようかしらと思ってスイッチを入れたところ……。
どのニュースチャンネルも、今しがた(午後7時過ぎ)に起こったばかりの、ムンバイでの列車爆破事件を取り上げている。
ムンバイ北部(中心部よりややはずれた郊外)の、南北に走る路線7カ所で、ほぼ同時刻にファーストクラスの座席ばかりが爆破された様子。午後9時現在、少なくとも百数十名の死亡が確認されている。
ムンバイだけでなく、パキスタンとの国境に近いカシミールのスリナガルという町でも、観光客を含め数十名が死傷する爆破事件が起こっているようだ。
テロであるには違いないのだが、ニュースのあまりの騒がしさに、内容がきちんと聞き取れず。インドでの街頭インタヴューは、たいてい野次馬たちの無数の怒声を聞くばかりで、たとえヒンディー語が理解できたとしても、きちんと聞き取れないに違いない。
デリー、ムンバイ、バンガロール、コルカタを始めとする都市部の空港など公共施設は、全国的に厳戒態勢に入った模様。数カ所連続で起こる可能性もある故。
ムンバイは電話が込み合っていて、出張中の夫とはしばらく連絡がとれなかったが、先ほど電話があった。タージマハルホテルのオールドウイングでおくつろぎの様子であるが、テロのニュースには憤然としていた。
この国では、隣国パキスタンを巡って、中国を巡って、宗教を巡って、戦争やテロが久しく、突発的に発生しており、かような事態は決して珍しいことではないのだが、こうして目の当たりにすると、一抹の哀しさが過る。
ただ、毎日を大切に生きることが、取りあえず自分にできることだ、と殊更強く、身にしみたのは、5年前の9月11日、マンハッタンとワシントンDCでのテロが起こったとき、そして、その数日後、同じ歳の友人が末期がんを患っているということがわかったとき、だった。
戦いも病も、わたしの手では止められない。
自分の無力を思うとき、せめて自分がコントロールできる自分と、その影響が及ぶ小さな世界だけでも、前向きに、不満に陥らずに、大切に暮らして行きたいと、実行できるかどうかは別として、それだけは心がけねばと、思うのである。