ブログを書くスピードが時速120kmだとすると、その内容にもよるが、仕事の原稿は60〜80km。調べ物などが多い場合は40km程度しか出せないこともある。
しかも、しばしば給油や休憩が必要で、燃費がよくない。
などと、わけのわからぬ言い訳をする暇があったら、やるべきことを先にやれよ。と自らを叱咤激励してみるのだが、これまたなかなかうまくいかない。今日は日曜日だ。のんびりした空気が、町中にただよっているではないか。
朝は毎度おなじみ、アーユルヴェーダのマッサージ、お宅訪問ヴァージョンのVさんに来てもらう。彼女には、だいたい週に一度は来てもらい、頭のてっぺんから足の先まで、まんべんなくマッサージをしてもらうのである。
それに加えて、ホテルのアーユルヴェーダトリートメントに出かけたりするのだ。我ながら、贅沢なものである。
ヘアマッサージをしてもらうときには、ココナツオイルとサンダルウッドオイルを使用する。これらは頭皮にとてもよいらしい。気のせいか、最近、髪が伸びるのが早くなった気がする。
そんなことはさておき、マッサージの後、昨日の疲れが出たのか昼寝までして、だらだらした一日だった。夕方は、夫の荷造りの手伝いをする。夫は、言うまでもなく、荷造りが下手である。ということは、過去に何度も書いたので、もう書くまい。
「ミホは器用で荷造りもうまいからね〜! やっぱりミホにやってもらうのが一番!」
おだてられても、少しもうれしくないのである。
今日もまた、無闇に花火が打ち上がっていた。だらけている癖に、それをいちいち撮影しに、屋上まで上るわたしも、がんばり屋といえば、がんばり屋である。
花火は、買ったばかりの小さいカメラELIXIMで撮ったが、結構、ちゃんと撮れるものである。決して鮮明ではないけれど、味がある気がする。
雲間から見え隠れする満月は、ことのほか美しい。
幽けきその陰影のさまよ。
夫は、昨日ぎりぎりまで、航空券が取れずに少々慌てていたが、最後にはなんとかなった。バンガロールから香港への直行はないので、シンガポール、マレーシア、タイ、いずれかの航空会社を利用し、各国首都で乗り換えねばならない。
シンガポールが第一希望だったが、待ち合わせ時間に好適の便が満席で、結局はマレーシアとなった。マレーシアに乗るのは初めてらしい。シンガポール航空に並んで、マレーシア航空の客室乗務員も、確かきれいなお姉さんが多かった気がする。
その旨を伝えたら、とても幸福そうな様子である。最終予約の段階で、旅行代理店担当者にあらかじめ機内食の内容を聞き出し、「メニューの要望」も告げる夫。ヴェジタリアンでもないのに。その熱心さは、見事なものである。
「僕は、機内でサテーを食べることにしたよ!」
なによりだ。
午後9時。軽くスープとサラダ、トーストで夕食をすませた夫は、空港に向けて出発。
「しばらく会えないね」
と別れを惜しみつつ、見送る。
部屋に戻り、ほっと深呼吸。肩の荷がすーっと下りた気分だ。一杯飲もうではないか。ポートワインをグラスに注ぎ、幸せの一口目。と、携帯電話がなる。夫からだ。
「ミホ! コレステロールの薬、鞄にいれるの忘れた! 今から戻るから、ゲートまで持って来て!」
これだもの。あれだけ「薬は行く前に飲んで、鞄に入れてよね」と念を押したのに。
改めてゲートで別れを惜しみ、見送る。
満月が美しい、長い夜である。