年の瀬ムード皆無のバンガロールである。気候が温暖なのはいいが、このメリハリの浅さ。本当に、阿呆になってしまう。
「クリスマス」とか「正月」とか「餅つき」とか聞いても、なにもかもが、季節外れな感じがしてならない。なんだか由々しき事態だ。
さて、わたしが書斎を独占したいときに限って、ムンバイ出張もなく、
「今日は、自宅仕事!」
などと言いながら、自宅書斎で仕事をするアルヴィンド。……気が散る! 気が散るのだ!!
それでなくても、仕事はおろか、このブログのようにカジュアルな文章を書くときですら、BGMもかけず、無音世界に身を置きたい我である。
にもかかわらず、途中で携帯電話はぴゃらぴゃら鳴るは、大声で話し始めるは、邪魔。邪魔なの!
書斎には、わたし用の大きなデスクが1つと、更に大きなパートナーデスクというのがある。パートナーデスクとは、両側に引き出しがついていて、向かい合わせで2人が仕事のできる机だ。
夫はそもそも別にオフィスがあり、そこには3つも4つも机があるのだから、自宅ではこのパートナーデスクの半分、つまり 「0.5デスク」を分け与え、わたしは「1.5デスク」を使用しているのだが、ふと気づくと、彼のテリトリーが「0.8デスク」くらいまで広がっている。
わたしの諸々の資料などが、なにげに崖っぷち状態だ。
そもそも、そんな広いスペースを欲しがるわたしもわたしだが、わたしは広い机が好きなのだ。そこに、余裕で資料を広げたいのだ。さらには空間が見える余裕、コーヒーカップや茶菓子がゆうにおける余裕が欲しいのだ。
……。
なんだか、どうでもいいことを書いている気がする。
そうだ。タイトルにある通り、ヒマラヤである。
実は1月中旬、ヒマラヤを望むウッタランチャル州の州都、デラ・ドゥーンというところへ行く予定だった。ウッタランチャル州とは、家政夫モハンの故郷でもある。
なぜ、冬の最中、そんなところへ行くことになったかといえば、親戚の結婚式に招かれていたのだ。先日ムンバイ出張の折は、その結婚式用のサリーを購入するなど、さりげなく準備も調えていた。
最初はデリーに入り、家族揃って列車でデラ・ドゥーンに入る予定だったが、せっかくなら他の「見どころ」にも立ち寄ろうと、義父ロメイシュのアイデアに従い、マルハン父子は先週から折にふれ、計画を立てていた。
ホテルなどのウェブサイトを見つけては、
「ミホ! このホテルどう?」
「パパは、ミホの腰痛を気にして、いいホテルに泊まった方がいいって言ってるよ!」
いちいち報告がはいる。
なんだか、いつもわたしが「口実」になっているが、ぼろいホテルに泊まれないのは、わたしでなく、アルヴィンドの方だ。わたしは寝袋でもOKなバックパッカーだったのだから。でも、今はもう、いやだけど。
ともあれ、わたしは仕事に専念していたので、詳細はマルハン父子にまかせておいた。結果、結婚式含め、4泊5日、加えてデリーに数泊の予定で旅の計画は整っていた。
さて、今朝のことだ。スジャータから電話がかかってきた。
「来月の結婚式、キャンセルになったの」
「え? キャンセル? 延期じゃなくて??」
「双方の間で、ちょっと問題があったらしくて」
あらららら〜。
インドで、式の1カ月前にキャンセルとは、なかなか話題性の高い出来事である。親戚知人関係の間では、憶測、ゴシップが瞬く間に広がることだろう。ちなみに花嫁側がわたしたちの親戚で、彼女は我々の結婚式にも来てくれた。
いろいろ、たいへんだろうな、と、察せられる。
しかし、今、手を打っておいてよかったよな、とも思う。インドで一度結婚したら、離婚はしにくいもの。
その後、電話でやりとりをするマルハン父子。家族旅がなくなって、ロメイシュはすっかり、残念がっているらしい。今すぐにもデリーに遊びに来なさいと、指令が出ているようだ。
実は、ダディマの様子(体調が悪い)も気になるし、米国時代の日印カップルがデリーに帰省してるしで、今月はデリーに帰りたかったのだが、なにぶん多忙ゆえ、来月の結婚式の折に立ち寄ろう、ということにしていたのだ。
結婚式がなくなったとしても、近いうちに、デリーへ行った方がよさそうだ。
……と書いている矢先に、デリーの義継母ウマより電話。
「ダディマが、いつ来るのかって、言ってるわよ〜」
早急に、計画を立てようと思う。