今夜、夫が1泊2日のプチ出張から戻って来る。従っては、飼育していたカニを調理した。実際、夕方あたりまでバケツにいれて放置していたが、時折がさがさと音がするのが気になるし、小バエが舞い込んで来たりもしたので、夜には冷蔵庫に入れておいたのだった。
カニ。といえば、ワシントンDC時代を思い出す。ワシントンDCに隣接するメリーランド州のチェサピーク湾は、大量のカニが穫れることで知られており、カニ肉で作るコロッケ風の「クラブケーキ(Crab cake)」は名物なのだ。
時折、魚市場で大量のカニを仕入れては、蒸して食べたものである。今日のカニはあのときのカニとよく似ている。
しかし、あのカニに比べると泥で汚れているし、磯臭い。生きているときは動いて洗いにくかったので、調理前、熱心にゴシゴシと洗う。蒸した方が旨味が逃げずにいい気がしたが、茹でた方がすっきり殻の汚れも取れそうな気がしたので、大鍋に水をはり、たっぷりの塩を入れ、茹でた。
おかずは、野菜の煮込み。また大根? と思われそうだが、今日のはちょっと違う。ラッセルマーケットで手に入れた、カブと大根を足して2で割ったみたいな根菜だ。
店の人は、「コリアンラディッシュ」と言っていた。「柔らかくて甘い」とも言っていた。ところで、昨日のラッセルマーケットで、東洋系の主婦数名がいたので、一瞬、「日本の方?」と思ったが、彼女らのアグレッシブな「ハウマッチ?!」「ハウマッチ?!」と言う声に、そうではないと悟る。
どうも、コリアンなマダムたちであった。ラッセルマーケットは白菜やこのコリアンラディッシュやチリがたっぷりあるから、キムチ作りには困らないだろうな、とも思う。
さて、そのコリアンな大根と白菜と、またしても揚げナスをひとまとめにしたのが、今夜のおかずであった。
最初に大根を米のとぎ汁、もしくは米粒少々をいれて茹でた後、ざるにあげ、それから白菜とだし汁(醤油などの調味料入り)と一緒に煮込んだ後、揚げたナスを入れる。今日は鷹の爪も入れてみた。最後にみりんをさっとかけて出来上がり。
ちなみに我が家には電気釜がないので、鍋でご飯を炊く。
米国時代に使っていた電気釜があったにはあったのだが、インド移住後、変圧器を使って使用したにも関わらず、スイッチを入れた直後、焦げるような匂いがしたかと思ったら、煙がモクモクと立って、壊れてしまった。
蓋が透明の鍋は、ご飯の炊け具合がよく見えるので、便利よ。10分あまりでおいしく炊ける。今日は、カニというメインがあるので、おかずはこれだけ。これ以上作る根性はなかった。
で、カニである。
これがまた、予想以上においしかった! 意外にも、カニ味噌や卵が結構いけた。まずいことを想定して、おそるおそる食べてみたのだが、おいしかった。もちろん、身の部分もおいしかった。
ちなみに中サイズのカニを買っていたせいか、身を取り出すのにちまちまとした作業となり、食べるのに極めて面倒ではあった。この次は、少々割高だが大サイズを買おうと思う。
黙々と無口な、夕餉であった。