夕べは、オスカーの再放送を見た。まるで東海岸にいたときと同様(西海岸で行われるので、東海岸では遅すぎだった)、深夜まで起きていられず、大事な賞の発表は見ぬまま就寝。
ゴアのドキュメンタリー作品『不都合な真実』は、読みたいし、見たい。他の映画も、どれも見たい! あの、レイモン・ペイネを思わせる北欧のアニメーションも見たい! マンハッタンにいたころが、かなり恋しい映画事情。徒歩10分圏内に、5つ以上のシアターがあったブロードウェイ沿い……。
なんて思いは、ばっさり遮断。忘れよう。
それにしても、もしあのとき、ゴアがブッシュに勝っていたら、世界はどうなっていたのだろう。911は、起こっただろうか? 起こったとは思えない。ともあれブッシュは、「再選」さえも、されたのだ。
Anyway.
日本人マダムのお宅での、パン焼きパーティーへ招かれていたのだ。
数名のマダムで、いくつかのパンを焼く下ごしらえなどをする。
パン焼きマシンによるパン作りは、米国時代にもやっていたが、ベーグル作りは初めてのこと。素材を混ぜ合わせて捏ね、十数分発酵させたあと、ドーナツ型にして茹でる。茹でたあと、焼く。
ニューヨークはベーグルの街ゆえ、茹でて作ることは知ってはいたが、もっとややこしい行程を経ねばならないと思っていた。しかし、発酵時間が少なく、ゆで時間も表裏で1分と短く、焼き上がるまでにあっという間だ。今度、自分でも試してみようと思う。
パンのほかにもランチに十分な料理やお菓子が用意され、おいしく楽しいひとときであった。
さて、幸福ランチのあと、我が本日の「戦闘の火蓋」は切られた。またしても、新居関係備品類の市場調査だ。チムニー(換気扇)は決めたものの、まだ天井のファンや湯沸かし、オーヴンなど、あれこれ決めねばならないものがある。それがもう、決められんのよ。
このごろは、道を走っている最中、市街に目を走らせ、めぼしい店があったらその場で止まったり、あるいは場所をメモしておいて、あとから立ち寄ったりもしている。
インターネットやイエローページ(電話帳)などで情報を得たり、その他広告なども利用して店探しを探しているのだが、わざわざ足を運んでも期待はずれの場合が少なくない。
今日は「車窓リサーチ」にて発見した2店舗で、ランプを探す。
やっぱりインドのショールームは、業種を問わず「玉石混淆」だ。
いかにも安っぽい、中国や台湾製の欧風シャンデリアがある一方で、「これは……!」というものもある。
好みかどうかは別として、たとえば左の写真は、チェコのボヘミアングラスだ。
右の深紅のシャンデリアはイタリア製。
写真では紫っぽく見えるが、深紅である。
黒(濃紺)もあるなど、かなり個性的かつ味わい深い商品もある。
ムラーノ(ベネチアのそばの島)の近くで作られているらしい。が、説明がおぼつかない。が、ともかくは、イタリア製らしい。
「イタリアで買うより、安いんです」
と店の兄さんは言う。確かに、想像したほどは、高くない。けれど、なぜ、イタリアより安くなるのか、その理由がはっきりしない。
デザインと質さえよければ、最早どの国の製品でもいいのだが、まだまだリサーチは必要である。
ともかくは、店のビジネスカードを受け取り、値段などをチェックして、いったんは引き上げる。
さて、次の店。ここもまた、安っぽいランプと「これは!」と思うものが、ぐちゃぐちゃだ。
しかもこの店、電灯店だというのに、停電中で、店内が薄暗い。
薄暗いにも関わらず、外からの光を受けて、黄金色にかがやくこのシャンデリアがなんだかいい感じ。
店主、英語があまりできない。ただ、イタリア製だ。と主張している。そしてイタリアよりも安い、とも主張する。
なんでなの? と追求するが、英語が通じず。
実は、一昨日、デリーのクリスタル店に電話を入れて資料を請求していたところ、電子メールで数々の写真が送られて来た。対応が早くて驚いた。
写真はどこも、高級ホテルの内部。LeelaやTaj, Oberoiとおぼしきホテルの、カンファレンスルームやホール、スイートルームに飾られているシャンデリアが続々と。
猛烈に巨大なものもあるが、小さめもある。欲しいと思うものもある。値段は「後日電話で」とのことらしいが、きっとかなり高価だろう。今日訪れた店のものは、予算の範囲内であるが、もう少しリサーチを重ねたくもなる。
もう、目を皿のようにして車窓リサーチするのもくたびれて来たし、どこで妥協すべきなのか、わからなくなってきた。
あとは夫の意見も仰ぎつつ、近々確定だろうか。
さて、次なるターゲットは、天井のファン(扇風機)、それから電気湯沸かし器、通称ギザ(Geyser)。
ギザについては過去にも触れたが、インドの、多分中流以上の、おおよその家庭に備え付けられているであろう湯沸かし器だ。
各バスルームに1つ、備え付けられたそれは、使用数十分前にスイッチをいれて湯沸かしを開始したうえでしか、利用できない。タイマー付きなどがあればいいのだが、今のところ、なさそうだ。
一般的なサイズは25リットル。メーカー、それから使用するシーズンにもよるが、これだと5分、長くて10分の湯継続時間。つまり、あっという間に冷水になるので呑気にシャワーを浴びてはいられない。光熱の節約にはなる。
バスタブに湯をはれるよう、少なくとも50リットルは欲しいと思うが、それは「業務用」らしい。温めるのにも時間がかかるのかもしれない。35リットルあたりが妥当のようだ。
そのギザは、どこのブランドがいいのか、またファンはどこにするべきか、もうこれがまた、一発では決めにくい一長一短の嵐。
ギザはBAJAJ、ファンはUSHAと、おおよそ目星をつけていたが、目的の店は移転しているは、立ち寄った家電店では、BAJAJはだめだと否定されるはで、もう、なにがなんだかわからない。
もう、今日は帰ろうかな。排気ガスは日ごと悪化しているし、その上、なんだか花粉らしきものも飛散している気配がする。わたしは花粉症ではないのだが、このところコンタクトレンズをしていると、目が「しばしば」するのだ。
だからって、弱っている暇はない。コマーシャルストリートを歩いて、家電店でもう少しリサーチしよう。
以前買い物をしたことがある小さく埃っぽくぐちゃぐちゃとした店内の家電店に入ってみる。顔なじみの若くて知的そうなお姉さんが対応してくれた。
彼女にギザやファンのことを尋ねると、驚くほど的確な返事をくれる。
「USHAのファンは、従来は非常によかったのですが、ここ数年、品質が落ちてだめです。オリエンタルをお勧めします
「木製がいいのですか? 木製は5枚羽しかありません。見た目はエレガントですが、風力は弱いですよ。
「実用的なのは3枚羽。シンプルなものと、デコレーションと、デザインは2種類、色は4色あります
「値段は**が○○ルピーで、***は○○ルピーで……
「ギザは25リットルならVガードが一番。でも、35リットルなら、USHAですね。
「USHAは、ファンはだめですが、大容量のギザはいいのです。
「同じブランドでも、商品によって、品質の善し悪しが分かれます。だから、同じブランドのものでまとめるのではなく、商品別に異なるブランドを選ぶ必要があるのです……
商品の値段をすべて暗記していて、各々の特徴もまるで「立て板に水」のごとく、滑らかに説明してくれる。決して高いものを勧めず、こちらの用途を聞いてから、適切な商品を提案してくれる。
どれにすりゃいいんだと迷っていたところに、まるで家電アドヴァイザーな彼女の存在。彼女が女神に思えた。いや、女神のふりした悪魔かもしれんが、もはやどっちでもいいかもしれん。(すっかり疑り深い女になってしまったわたし)
要は決断してくれる人が必要なのだ。後日、ギザとファンは、この店でまとめて購入することにした。
やれやれ、しかしまだまだ、道のりは長い。
夜は久しぶりに外食。近所のホテル、ウィンザーマナー・シェラトンで、イタリアからシェフを招いての、パスタが食べられるブッフェをやっているというので、出かけることにした。
が。
未だイヴェント期間中なのに、イタリアンシェフは不在である。帰っちゃったのかしらん。
それにしても、どうしてこうも、インドはあまりにインド的? 予想通りに期待はずれだ。
ブッフェメニューとともに、パスタもその場で作ってもらえるというので期待していたのだが、パスタはすでに、茹でられている!! 「アルデンテ」にこだわるマイハニー、「新鮮な茹でたてを出してよ」と頼むのだが、「これは茹でたてです」と言い張るインド人コック。
仕方ない。パスタのことは忘れて、他の料理を楽しむことにした。他の料理は、それなりにおいしかった。が、パスタは、パスタの品質はよいらしいが、なんだか間抜けな味である。自分ちで作った方がうまい。
こんな中途半端なパスタイヴェントなら告知しないでほしい。
と、またしても「マネージャーを呼んで」な気分であったが、カニや大エビのクリームソースが美味だったし、雰囲気もよかったし、今日のところはおとなしくしておいた。
マイハニーも、さまざまなデザートを前に(結果的にはいずれもいまひとつの味だったにせよ)、非常に幸せそうだったので、概ねよきディナーであった。