仕事は順調だ。インドで順調ということは、グローバルな視点から捉えるにかなり順調ということである。
アポイントメントのキャンセルが出ることを想定していたが、今のところ1件もなく、従ってはみっちりとしている。
今日は早め(午後7時)に帰宅しているが、これから資料整理などをせねばならない。ついてはブログを書いている余裕もないのであるが、どうしても書かずにはいられないので、急ぎ綴る次第である。
わたし自身がこのブログで幾度か紹介し、加えて友人知人らにも紹介して来たバンガロールの店は、少なくない。わたしとしては、友人や知人に、いい店を知ってもらいたいという気持ちからで、当然ながら、コミッションをもらったりしているわけではない。
無論、コミッションをもらってもいいくらいだと思うことすらあるが、わたし個人が利用するときに、おまけをしてくれたりするから、その程度で十分だと思っている。あくまでも、「親切心」での情報提供である。
もう、すでに何人もの友人知人に紹介した店の一つに、ASIAN ARTS EMPOIRIUMという店がある。
カニンガムロード沿い (#8 Cunningham Road) の店だ。
そこでは、わたし自身、良質のパシュミナやジュエリー、工芸品などを購入して来た。
去年、母と妹が来たときも利用した。もちろん、店の人はわたしのことを覚えてくれていて、とても気持ちよくもてなしてくれるし、だからひとりのときも、誰かと一緒のときも、ついつい長居をしてしまう。
決して安くはない。しかし値段は交渉できる。わたしは過度に値切らない。お互いがハッピーでなければ、と思っている。本当にいいものが、そんなに安くで手に入るはずがない。予算オーヴァーで値切り倒さなければならないくらいなら、最初から買わなければいいのである。
尤もこの店に関しては、すでにわたしには値引きした値段を提示してくれるので、このごろは交渉しない。
この系統の工芸品店のなかには、確かに悪質なところもあるようで、だから「ぼられる」とか「だまされる」と思う人も少なくないようで、一概に値段交渉の云々をわたしには語れないのも事実ではある。
さて先日、とある日本のマダムが我が家に遊びにいらした折、この店にまつわる悪い噂を耳にした。なんでも、カーペットを数枚購入した日本人マダムが、家へ持ち帰ったのちに不良品(縫製が悪い?)を見つけたため、店に交渉したのだが、交換も返金もしてくれなかったというのだ。そのマダムもあくまで噂を聞いた限りなので、その出所は定かではない。
非常に、おかしな話だと思った。
わたしは実は、昨年の誕生日に夫から、この店で極上のパシュミナストールを買ってもらっていた。ところがそれをニューヨークへ持っていったとき、自分の不注意で真ん中部分を大きく破いてしまったのだ! その理由は割愛するが。
自分の責任100%だったのだが、なんとかうまく縫製して欲しいと思い、店のお兄さん、エイジャズに相談したのだった。彼はそのダメージに驚いており、わたしも心苦しかったが、彼は「ちょっと預からせてください」と言って、修復を検討してくれたので、わたしは彼からの連絡を待った。
1週間後に連絡を受けたところ、そのパシュミナは、繊細な模様が折り込んであり、縫製し直すのは、不可能とのこと。が、彼らはなんと、新品と取り替えてくれたのだ。「マダムには、いつも友人を紹介してもらっているし」と彼らは言ってくれるのだ。だからって新品と交換なんて、と、本当に有り難く、同時に申し訳なくも思った。普通では考えられない。
たとえば右の写真のフーカー。水タバコを吸う器具なのだが、わたしの友人が「フーカーは売っていないのですか?」と尋ねたところ、それまでは店に置いていなかったのだが、数十個を取り寄せて、友人に連絡をしたという。
彼女はそのサーヴィスに喜んでいた。
だからわたしはどうしても、彼らが不良品を売りつけて、悪しき対応をするとは思えなかった。
さて、本日。仕事を終えた後、クライアント女史がお母様からパシュミナのストールを頼まれているというので、その店へ赴いた。エイジャズはいつものとおり、愛想良く、いろいろな商品を広げてみせてくれる。カシミリティーやチャイを出してくれる。
彼女は気に入ったパシュミナなどを見つけることができ、とても喜んでいた。
帰り際、わたしは気になっていた件の噂について彼に尋ねてみた。彼は非常に真剣な様子で「実は、ぼくもその話は聞いている」と言うのだった。
結論からいえば、同じカニンガムロード沿いにある同種の工芸品店で起こったトラブルが、彼の店ということになってしまい、悪評が広まっているとのこと。
彼自身は、Leela に店を出している同業者からその話を聞かされて、驚いたらしい。
「僕たちは、もちろん商売だから、利益を上げたいと思うのは当然です。けれど、サーヴィスと品質を重視していますし、お客さんが満足しないものをお売りするつもりはありません……
「同じ業界の悪評が立つのも、辛いところです。全部が悪い店だと思われますから。ましてや、誤解に基づいた悪い噂が広がるとは、非常に残念です。
「でも、今日、マダムがこうして噂のことを教えてくれてよかったです。間違った噂が本当に広がっていることがわかってショックですが、でも、それは誤解だと、ちゃんとご説明する機会が得られた訳ですから」
と、至極まともな反応である。
「バンガロールに住んでいる日本人マダムは、わたしのブログを読んでくれている人が多いから、この件は間違いであることを、ちゃんと告知しておくよ」
と、先ほど彼と約束をしたので、長々と書いた次第である。
長かった。
そんなわけで、これから仕事します。