毎月一度の、聾唖学校での折り紙教室。今日のこの写真を、とても気に入って、しばらくじっと眺めた。もう、すっかり顔なじみになった子供たち。
今日は、クリスマスツリーを作った。
右の二人の女の子は、本当に小柄なのだが、不思議な貫禄があって、妙に「おばさん」っぽいころがおかしい。クリスマスツリーに飾る金色のモールが気に入ったからと、首に巻いているのがまた、似合わなくておかしい。
男の子は男の子で、子供なんだかおっさんなんだか、わからないほど成長している人もいるし。髭が濃いし。
折り紙を、女の子たちはいつも真剣に、きちんと一生懸命、折ろうとしている。中には、皆のペースについて来れない子供もいるけれど、先にできた子に、教えてあげるように促す。そうすると、ちゃんとついて来られる。
男の子たちのほうが、ばらばらだ。注意力散漫な子。自分ができたからと急かす子。妙に独創性があって仕切りたがる子。ほとんどやる気のない子。
それでも、皆がひとつふたつ、自分の力でなにかを作り上げる。
これはお勉強ではないのだから、それぞれの子供が、それぞれのペースで、楽しく何かを創造できれば、多分いいのだ。
人と教え合うことも大切。早くできればいいというわけでもなく。
失敗して切り落としてしまった? 大丈夫。こうして糊でくっつけましょう。
これをリボンに見立てましょう。
むしろ、すてきなものができあがりましたよ。
なかなかうまく折れない子の、指先を重ねながら、教える。折り紙が、その子の汗で、少ししっとりとしてしまっているところが、いじらしく。
うまくいかなくても、一生懸命やっている。
この少年が、この間のクリスマスバザールで出会った彼だ。
先月に引き続き、今月もまた、例の日本人女性たちのサリー姿の新聞記事を、きちんと折り畳み、胸のポケットに入れて持って来ていた。
「今日は、この人は来ないの?」
と、不在の人を確認したりもして。
あちこちのマダムと「2ショット」を撮られたがる。
いつもアクセサリーや服を褒めてくれる。
ちょっと「女好き?」な少年。
午後の終わり。
夕暮れの庭を歩きながら、また思う。
本当に、インドに来てよかった。
わたしの選択は、わたしたちの選択は、間違いではなかった。いや、間違いだったということにならないように、注意深く軌道を整えながら、進んでいるのも事実。
わたしたちは、受け身であってはならない。特に、この国では。
インドまでの航海中は、荒波にもまれて沈没しかけた、わたしたちの船だったが、少しずつ、頑丈で乗り心地のよい船に乗り換えながら。