敢えてモノクロにしてみたのは、この光景に植田正治の写真(砂丘シリーズ)にあるような空気を見つけたからだ。何をするでもなく、等間隔で立ち尽くす5人の男。
植田正治のそのような写真は、もちろん「作り込まれて」いるものだが、インドの光景は、もちろん違う。ありのまま、だ。夕暮れの工事現場で。その高見で。5人の男たちは、ぼんやりと立っている。
やる気がないのか。
黄昏れているのか。
そのあたりだけ、時間がとまっているのか。
どこに視線を移しても、人が入り込む。
ひたすらに、人々がうごめくインドの街路は。
視界の一部に焦点を当てれば、そこには独特の、独自の時間の存在が認められる。本当に、尽きない国だと思う。■植田正治事務所(←Click)
ところで本日夜。ホテル、Leela Palace主催、印日商工会議所協賛で「ジャパン・イヴニング」という催しがあった。
ホテルに隣接するショッピングアーケードのイヴェントフロアで、茶道や歌、踊りなどが披露された。
主には日本人駐在員夫人からなる「さくら会」の会員の参加により、着物姿も華やかで、会場は「日本的ムード」となったが、イヴェントの仕切りがたいそうインドらしく、式次第は気分次第。
日本人の参加者は当然ながら早めに集合して準備をしているのだが、主催者側は開始の時間になっても現れないなど、あまりにも「予想通りの展開」である。
浴衣なら自分で着られる。
しかし、クローゼットから取り出して羽織ってみるに……。
みすぼらしい。古くさい。
なにしろ購入したのは高校のとき。遡れば……、いや遡るのさえ面倒なくらい、古い。
こんなものを着るくらいならインドに嫁いだ身。サリーを着るべし。ということで今夜もサリーだ。しかも今日は書道のコーナーでお手伝いをするので、万一のことを考えて黒にした。
このサリー。なにかと登場頻度が高い。
ピンク&オレンジの絞りはまだ一度しか着ていないのに。
さておき、インドのサリーに負けないくらいの、派手な着物を一着は用意しておきたいものである。
しかし、着物のサイトなどを見るに、インドの派手な色柄に慣れてしまっているせいか、どうにも地味に見えて仕方がない。
花魁が着ている、ああいう派手な着物じゃないと太刀打ちでぬ、とさえ思う。いや、太刀打つ必要もないのだが。
ところで上の写真は、学生と思しき若いインド人女性たちによる「花笠音頭」である。浴衣姿で、フットワークも軽やかに、楽しげに花笠音頭を舞う彼女ら。
すでに日本から離れ、どこか別の国の、別の踊りのようにすら思える。それもそのはず。
浴衣のふりした、チャイナドレスのお嬢さん、発見! しかも裾が翻るたびに、下に履いているジーンズが見えている。すでに日本からはほど遠く、しかし、かわいらいいのでノープロブレムだ。
書道のコーナーでは、紙に参加者の名前を書いたりしてプレゼントをした。
欧米人の名前に比べると、インド人の名前は漢字にしやすい。あてはめるのもまた、楽しい。
羅毘(ラヴィ)
阿修意爾(アシュイニ)
安寿(アンジュ)
安爾那(アンジナ)
露伴(ロハン)
羅紅珠彌(ラクシュミ)
真賓虎(マヒンドラ)
燦祇陀(サンギータ)
亜流潤(アルジュン)
蘇那莉(ソナリ)
ある種、暴走族風だが、ある種、仏教世界的でもある。
書道具が用意されていたが、筆が傷んでいたのに加え、これまた遡るのも面倒なほど、久しく書道をしていないので、うまく書けない。途中から持参の筆ペンを使用。
やはり筆は、きちんとしたものがよい。「弘法筆を選ばず」という言葉があるが、彼自身は非常に筆に拘りのある人だったと聞く。
さておき、着物に並んで、次回の帰国時は、書道具も新調しようと思う。そしてたまには写経などしてみようとも思うのだ。
その後は、参加した方々数名と夕食を共にして帰宅したのだった。あれこれ書きたいことはあるが、仕事が山積の昨今。そろそろ作業へ戻ろうと思う。
インド発、元気なキレイを目指す日々(←Click)
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