今日は、バンガロールに暮らす義姉スジャータに招かれて、義姉夫妻が暮らすIIS(インド科学大学院)キャンパスを訪れました。
スジャータの夫、ラグヴァン博士が教鞭をとっているこの大学院。緑に満ちあふれ、「ガーデンシティ」と呼ばれていた昔日のバンガロールが、そのままに残っています。
彼らの家の前には、ジャックフルーツの大樹があり、いくつもの実を付けていました。南国の木々や植物が至るところに見られるキャンパスの話は、また別の機会に譲るとして……今日は「サリー即売会」の話題です。
デリーに暮らす親戚からの紹介で、バングラデシュのダッカからはるばるバンガロールへやってきたサリー商人。一族が手作業で作り上げる伝統的なサリーを、行商しているのです。
バングラデシュは、インドの北東部に位置するイスラム教国。コルカタ(カルカッタ)のある西ベンガル地方と同じベンガル語圏です。
1947年、インドが英国から独立した際、バングラデシュは、パキスタンと同様イスラム教徒が多かったことから、現在のパキスタンと同じ国の、「東パキスタン」とされていました。
しかし、その後の独立運動を経て、1971年にバングラデシュとして独立しました。
さて、国は違えど、女性たちが身につける伝統衣裳、サリーはインドと同じ。デザインも西ベンガル地方のものと類似しているようです。
スジャータ曰く、バングラデシュのサリーは、非常に精緻な織りで、「透けた仕上がり」を特徴とした、独特の手法で織られているのだとか。
絹、綿、両方がありますが、いずれも、軽くて独特の質感です。たとえばこの黒の絹と金糸で織られたサリー。
広げてみると、このように透けて見えます。もっともサリーはペチコートの上からぐるぐるに巻くため、透けて見える部分は腹部のあたりだけで、特に問題はありません。
伝統的な意匠とのことですが、見慣れない大振りのペイズリー柄が、むしろ斬新に見えます。これまで無数のサリーを目にしてきましたが、見るたびに「新しく」「初めて」の柄に遭遇するわけで、実に無限世界です。
色遣いもまた、無限。シンプルに同系色もあれば、思いがけない色の組み合わせも見られます。このようなピンクは、日本人には、というかわたしには、とても難しいのですが、スジャータが合わせたら、よく似合いました。
写真ではわかりにくいのですが、この白地に金糸のサリー。とてもエレガントで気に入ったのですが、金糸が少々鋭く、肌にちくちくとするので断念。どんなにすてきでも、少しでも着心地が悪いと着用の頻度が低くなります。
まずは「着心地のよいもの」が優先です。
これもまた、伝統的なデザイン。約5メートルの一枚布の、パルーと呼ばれる端の部分のデザインです。身体に巻き付けた後、最後に肩から垂らす部分で、「サリーの華」にあたります。
次から次へと広げられるサリー。気に入ったものは、横においておき、あとでまとめて鏡の前で合わせてみます。それにしても、「好き」「嫌い」「似合う」「似合わない」を決めることの難しさ。
自分では「似合わない」と思っていても、周囲から勧められて合わせてみると、意外によかったりもします。とはいえ……。
「ミホ、これかわいいよ! どう?」 と、夫が勧めるこの小鳥柄は、ちょっと着こなす自信がありません。小鳥なのに、でかすぎ! というものです。
これも夫のお勧め。グリーン系のサリーは着たことがないのですが、合わせてみるとなかなかにすてきです。軽くて着心地もよく、気に入りました。
重厚感のある伝統的なサリーもすてきでしたが、「いつ着るか」を考えると、着用機会が少なそうなので、選びませんでした。
スジャータの友人女性も訪れ、3人で、あれでもない、これでもないと、布の海を泳ぐように。
男性陣も、半ば「やれやれ」の顔を見せつつも、妻のサリー選びに付き合ってくれます。
ちなみに「出会って以来、一度たりとも喧嘩をしたことがない」という、すばらしいを通り越して気味が悪いほど仲が良いスジャータとラグヴァン。
ラグヴァンだけは、非常に積極的に、スジャータをサポートしています。
「これと同じようなの、持ってるからこっちの方がいいよ」とか、「このタイプは君の肌色に合うよ」とか、具体的なアドヴァイスも効いています。
ランチ前に30分ほど立ち寄って……と思っていたのですが、気がつけば2時間も過ごしていました。これにはスジャータもわたしもびっくり。お腹が空くのも忘れて、サリー選びに熱中していました。
最終的には、わたしは2枚、スジャータは3枚、購入しました。後日、ブラウスを仕立てて着用したところを、改めてご紹介したいと思います。