14日火曜日に引き続き、本日18日土曜日も、「天皇陛下の誕生日」を祝するパーティに出席した。日本を離れて14年半。こんなにも「天皇陛下」を思い、「君が代」を斉唱した12月はなかった。
さて、今夜の宴の主催者は、地元のロータリークラブの主催によるもの。彼らはこれまで、在バンガロールの異国の人たちを招いて、文化交流のイヴェントを重ねてきたとのこと。
今宵は日本の天皇誕生日に因んで、日本人を招いての集いである。
日本人のお世話係の方から、5分ほどの簡単なスピーチを、と頼まれていた。テーマはバンガロールで行っている慈善活動についてである。
基本、地道な活動ではあるが、バンガロール在住日本人女性からのスピーチも欲しいとのリクエストがあったとのことで、お引き受けした。
なにしろここはインド。かなり多くの「出し物」などがあるようなので、ひょっとすると土壇場で話す時間がなくなったりするかもしれんな。などと思いつつ、比較的軽く、考えていた。
ちゃんとしてる。
プログラムには、わたしの名前も印刷されている。うむ。これは、端折られることもないかもしれん。ちゃんとやらねば。
ということで、水曜日に英文の原稿を仕上げ、木曜日に夫に校正をしてもらった。
わたしの英文では間違いが多すぎる。夫の推敲があってこその、「聞ける英語」である。が、文章は平易。使用している単語も簡単なものばかりだ。
5分以内におさまるかどうか何度か声に出して読んで練習する。コンピュータの録音ソフトで、自分の声を録音してみたりもして、遊ぶ。が、自分の声、とくに英語のそれを聞くのは、過激に恥ずかしい。すぐにやめる。
文章では間違いはなくても、読んでみるとリズムが狂う文章がある。それは日本語にしても然り。仕事での原稿は、だから必ず、声に出して読んで手を加え、入稿する。
夫の前で読み、数カ所の修正を受け、あとは読む練習だけをすればいいな、と思っていたところ。
「ミホ。プログラムにはプレゼンテーションって書いてあるから、パワーポイントで何かやったら?」
「5分しかないのに? じゃ、スライドショーでもやろうかな」
というわけで、前日になって急遽、慈善活動関連の写真をピックアップ。チャリティ・ティーパーティや慈善団体訪問の様子を23枚のスライドにまとめた。
こういう仕事は得意なので、あっというまにでき上がる。むしろ余計なものを入れすぎないように気をつけねばならない。
5分、すなわち300秒。表紙の部分で自分の、インドに移住するまでのバックグラウンドを語るのが約70秒。
残り21枚のスライドは10秒おきに自動的に移行する設定にして、計220秒。合計290秒。ばっちりである。
式典当日。日本の女性に対しては、「できれば着物を着て欲しい」とのリクエストがあったという。が、昨日も記した通り、着物がない。
今宵もまた残念であるが、それはそれ。日本的な柄のサリーを着用した。満月と舞い飛ぶ鶴の群れがモチーフとなったサリーである。
■アートのような一枚。モダンなサリー(←Click!)
会場はバンガロール市内のLALIT ASHOK HOTEL。当初は150名の出席だったらしいが、今日になって250名になったとのことで、会場が急遽広めのバンケットルームに変わったらしい。
当日に100人増えるとは、どこまでも、インド的。
関係者に配られたプログラムには、7時丁度から式典が始まり、ダンスや一部の方のスピーチをのぞいては、5分刻みで細かにプログラムが組まれている。
このインドにおいて、この厳密な進行表はありえんやろ! と思う。
予定では、7時から8時45分までが式典で、その後、最上階のオリエンタルレストランでカクテル&ディナーとなるらしい。
パワーポイントのデータを渡すため、早めに訪れていたわたしと夫は、「夕飯が遅くなるに違いない」と見込み、あらかじめカフェで「サモサ」やチャイで腹ごしらえをするなど、準備万端だ。
なにしろわたしのスピーチは終盤。お腹が空いて血糖値が落ちては、テンションも下がるというものだ。
予定より、しかし10分ほど遅れた程度で会は始まった。日本人駐在員夫人によるインドの伝統舞踊「バラタナトヤム」の披露に始まり、ロータリークラブ、日本関係者のスピーチが続く。
土川領事の日本観光を告知するスピーチ。「露天風呂」や「回転寿司」などのスライドとともに、ユーモラスな切り口でのプレゼンテーションが続き、会場は沸いた。
「口をはっきり開けて、ゆっくりしゃべりなさい」
「日本人は、口をもごもごさせて話すから、聞きとりにくい」
と再三言われていたので、普段よりもくっきりと話すように努めた。夫の言う通り、日本語を話す時には、口周辺の筋肉を使わずにも発音できる。
一方、英語というのは、日本語を話すときよりも、顔の筋肉を使う必要がある。ただ、幼少時から英語に触れている帰国子女でもない限り、それをすんなり習得できる日本人は多くないだろう。
練習した甲斐あり、スライドショートのタイミングもしっかりと合った。
いい感じで終えることができた。
ロータリークラブのメンバーの方々も、「スピーチよかったですよ」と声をかけてくれ、多くの方々と言葉を交わした。
一方、日本の人たちからは、「わかりやすい英語だった」と褒めていただいた。
それもそのはず。簡単な単語と単純な文法でしか英文を作れないわたしが作った原稿である。日本人にとっては極めてわかりやすい文章だったに違いないのだ。
内容としては、終盤、若干「偉そう?」な言いっぷりをしたが、しかし基本、しがらみのない自由な身の上である。思うところははっきりと言わせていただいた。
ワインを片手にいろいろな方とご挨拶。食事も楽しみつつ、瞬く間に2時間ほどが過ぎて、気がつけば11時。
「今週は、日本のイヴェント続きだなあ」
などと、しかし夫も楽しんでいた様子。ロータリークラブのメンバーにやたらと勧誘されていた。
「年寄りばかりの会だから、いや」
などとまた、いちいち減らず口の夫であるが、ニューデリー出身の彼が、この地のローカルなコミュニティと関わり合いを持つこともまた、意義深いことではなかろうかとも思う。
思いがけず、スピーチをさせていただいたおかげで、いい経験ができた。多くの出会いもあった。最初は「どうしたもんだ」と乗り気度が低かったのだが、そんなことではいかんな、とも思った。
引き受けた以上は、なんにせよ、きっちりやらなければと、改めて思った。加えて今回は、夫の協力、アドヴァイスに感謝である。
せっかくなんで、恥ずかしながらもスピーチの原稿をここに転載しておく。
Good evening every one.
My name is Miho Sakata Malhan. I am a writer, reporter and coordinator for the Japanese media and companies. My husband is Indian. I met him in New York in 1996 and we got married in 2001.
I visited New Delhi which is my husband’s hometown for our wedding ceremony. It was the first time that I visited India. India was completely different from any other country that I had been to. I strongly felt that I couldn’t live here.
After our marriage, I shifted to Washington, D.C. due to my husband’s job. At the end of 2005, we moved to Bangalore. I felt positive about the transition at the time. I was interested in living in India, and excited about our new life.
During the first few months, I was busy settling down in the city. About a half year later, I started to work for Japanese clients. One of my major assignments is writing a monthly column for a Japanese newspaper. I report on life in India, which is changing dramatically.
One day, I attended a charity event which was organized by OWC, the Overseas Women’s Club of Bangalore. The guest speaker was Dr. Reuben, who is a pastor of Agape bible fellowship and runs a home which is called “Agape Children Centre”.
Dr. Reuben and his family take care of street children. I decided to write about their activities and the facts of street children for the paper.
Before I visited the home, I was pretty nervous and worried about their situation. But once I entered the home, my anxiety disappeared. The children were calling “Hello auntie!” “Hello auntie!” and welcomed me very cheerfully. They were talkative, energetic and bright.
Since that time, I started think that I must contribute to society even if it's through small actions. Due to my schedule, I can’t commit time to regular activities. I concerned what I should do.
In any case, I wanted to learn about the actual condition of charity organizations. I decided to visit charity organizations which are connected to OWC. OWC funds 26 charities in the greater Bangalore area.
These charities serve the need of the underprivileged, including the destitute, terminally ill and HIV patients, orphans, women in need, the elderly, and physically and mentally challenged individuals.
The first couple of times, I visited by myself, but I felt that I should involve Japanese people who live in Bangalore too.
In Japan, volunteer work is not very common. If you can’t speak English fluently, it is not easy to perform any activities in India. But it doesn’t mean that Japanese are not interested in volunteer work.
In 2008, I started holding a “Charity Tea Party” at home. I prepare sweets and drinks and welcome the guests. The attendance fee is donated to charity organizations. At the same time, I collect donated items from them.
At the tea party, I also give lectures on life in India. So far I've spoken on “Indian cooking and spices” “Life with Indian Tea” “Ayurveda and Indian Natural Cosmetics”, etc.
I have held the tea party over 10 times so far, and I have visited about 10 charity organizations along with Japanese people. They have been impressed by their experience, and the visits have motivated them to get more involved.
In the future, I want to involve not only wives but also their husbands. I'd like to also involve Japanese companies which are based in Bangalore.
I want them to become more aware on what is happening in their local society, and I would hope that they would become even more interested in contributing to volunteer activities.
Thank you for your kind attention.
インド発、元気なキレイを目指す日々(第二の坂田ブログ)(←Click)