24日木曜からゴアである。束の間バンガロール自宅2日間は、一歩も外へ出ず、自宅で仕事&雑事で過ぎていった。
ゴアでの結婚式は2日間だが、その後、リゾートホテルに場所を移し、義理の両親も招いての「週末プチ休暇」を取る。
その際、心底のんびりするためにも、片付けられる仕事は片付けておきたいのだが、ゴアから戻って翌々日にはムンバイ出張。微妙に慌ただしい。
さてそんな中、デラドゥーン(デラドゥン)のレポートは「仕事並み」の義務感で、書き上げる心意気だ。
■緑満ちあふれた、麗しき森林研究所を散策。
2日目。二度目の結婚式ファンクションは正午あたりから。市街のホテルで、「メヘンディ」と呼ばれる祝宴が開催される。
メヘンディとは、ヘナという植物の染料を用いて手足に施す入れ墨のこと。インドでは結婚式などハレの日に女性たちがたしなむ。
メヘンディの集い正式な結婚の儀式の前に行われるもので、女性たちが主役だ。ドレスコードは「カジュアル」とあるが、せっかくだからサリーを着ていきたい。
しかし、マルハン一家はみなで、午前中、森林研究所を散策し、その後、会場に直行するという。
サリーを着て散策。いかがなものか。だいたいその森林研究所とやらがどういうものかわからない。なんだかもう、面倒になり、サリーを諦めて、カジュアルな服装で出かけることにした。
せっかく4枚も持って来たのに。
森林研究所、すなわち FRI (Forest Research Institute)。
1906年に設立された、インドでもっとも古い研究機関だという。
敷地内に入るなり、背の高い、豊かな緑と広大な大地に迎えられる。
義父ロメイシュがなにかとデラドゥーンに詳しい。
聞けば、ロメイシュの父親が、1965年から1975年にかけて、ここに住んでいたらしい。
従っては、ロメイシュもしばしば、この地を訪れていたとのこと。
澄み渡る青空と、豊かな緑。車の窓を全開にして、その気持ちよい空気を満喫していると、ロメイシュがドライヴァーに車を止めさせた。
「この家だ。懐かしい! 父はこの家に住んでいたんだよ!」
ここに住んでいた、とは、まさにこの森林研究所内に住んでいた、という意味であったようだ。
官僚だったロメイシュの亡父。ここで何をしていたのかは知らぬが、ともあれ10年も住んでいたらしい。
なんとまあ、広大な庭であろう。目前には森が広がり、すばらしすぎる住環境だ。
門の前で写真を撮っていたら、現在の住人の飼い犬が、ギャンギャンと吠え始めた。人の家を、揃ってじろじろ見る一家。そりゃあ、怪しかろう。
怪しいついでに、写真撮影。
「表札が隠れるように立とう」とロメイシュ・パパ。
話がそれるが、かつてブログの読者から、こんな主旨のメールが来た。
「ご主人は、いつもチェック柄のセーターばかりですね。ブログに載せる以上、モデルでもあるのですから、もっと違うお洒落をされてはいかがですか」と。
ちなみにこれは、「チェック」ではなく、「アーガイル」というのである。
マルハン家周辺の男たちは、この「アーガイル」が好きなのである。
だから似たようなセーターを複数、所持しているのである。
確かに何年も同じ服を着ている。
だが、バンガロールには冬はない。
つまりは新しいセーターを新調する理由がないのである。
そもそも、モデルでもない素人が、モデル気取りでとっかえひっかえファッションを変える方が、不自然であろう。
と、わざわざここで延々と言い訳をすることもないが、思い出したんで、書いた。
またどうでもいい話を書いてしまった。さて、この森林研究所、ミュージアムも併設している。今回は時間がなく訪れなかったが、興味深い展示があるらしい。
100年ほども前に建造されたこのビルディング。どこかしら、カリフォルニアのスタンフォード大学に似ている。
カリフォルニアに咲いていたのと、同じ花を見つけた。2005年。インド移住前の数カ月間暮らした、あのベイエリアが急に懐かしい。
あの時節は、ず〜っと、青空だったなあ……。
さて、ひとときの森林浴を楽しんだ後、再び喧噪の市街へと戻り、会場となるホテルへ。北インドながら、椰子の木が揺れ、南国ムード漂うガーデン。
すでに音楽が流れ、人々も少しずつ集まり始め、賑やかだ。
さて、入り口には女子お持ち帰り用の布(目的を聞きそびれた)が並べらている。青いドレスがお似合いのグラミーなチャンドリカ叔母。
いくつものバングルを手にし、あれでもない、これでもないと、選んでいる。
と奥に促してくれる。大量の箱入りバングルを用意したバングル屋が、女性たちの希望に応じて、選んでくれる。これがまた、見事に多彩な色が揃っている。
ちなみに素材はプラスチック。あくまでも「遊び感覚」である。
とのこと。確かに。わたしの服にもよく合うバングルを、見繕ってくれた。
どうです? かなりマッチした色合いでしょ?
拡大するとこんな感じ。ピンク・パープルのバングルと、マルチカラーのバングルとの組み合わせなのだ。ちなみに左側のゴールドのバングル(6連22金)は、アルヴィンドの亡母アンジナの形見。
10年前の結婚式の際に、義父ロメイシュと義姉スジャータから受け取ったもの。わたしの腕にぴったりのサイズなのがうれしかった。
以来、外出時には必ず身に付けている。わたしにとっては、お守りのようなものだ。
夕べは午前3時まで宴が続き、きっと数時間しか寝ていないだろう主役たち。しかしニラの巨大ビンディは今日も健在だ。サングラスと相まって、よりいっそうのインパクト! アースタのドレスもキュート。
本日の楽団は昨日と異なるが、しかし非常にクオリティが高い。右上は、二人の叔父と。アロハなシャツはニューヨークのランジャン叔父。サンタクロース風は亡母の兄、ランジート叔父。
従兄弟同士の二人。久しぶりの再会に、みなテンションが高い。夫アルヴィンドにとっては、この二人の叔父が、もっとも近い親戚である。二人揃って昨日から、
「ミホは、サリーばかりで、なぜ着物を着ない?」
「すでにミホは日本人には見えない。これからミナークシと呼ぶぞ」(誰なんだそれは)
「日本人のアイデンティティを忘れているだろ?」
「日本の踊りを踊ってみせよ」
「ゲイシャ・ダンスはどうだ?」
「今度帰国したら、必ず着物を買うように。アルヴィンドにも言って聞かせなきゃ」
もう、まじでうるさい。
夫と3人、くだらんことで、ワハハワハハと笑っては大騒ぎ。
おっさんたち、童心に帰り過ぎ。
付き合いきれん。
パーティ会場では、いつものように、まずはドリンクとスナックがサーヴされる。給仕がトレーでサーヴする以外に、左上写真のような、ワゴンでのサーヴィスもあり。
右上の写真は、スナックカウンター。楽しい「屋台食」である。
このゴルガッパ(パニプリ)が美味で感激! 椀子そばよろしくガブガブと食べるのがお決まりだが、ここでお腹を膨らませてはならぬ。取り敢えず、1個で我慢。
ゴルガッパの詳細については、こちらを参照されたし。
ゴルガッパの次は、チャートを少々。これまた、好みのトッピングを頼んで、オリジナルの味わいにしてもらう。甘酸っぱさ、香ばしさ、しっとり感、さまざまな味覚が渾然一体と。これもまた、おいしい!
ゲストたちが飲んだり食べたり、メヘンディを施してもらったりしている間にも、一画では新郎新婦とその家族の、なにやら儀式が行われている。
「プレゼント交換」のようなこともやっているが、何が何だか、よくわからない。わたしはといえば、会場をうろうろしつつ、気ままに飲んだり食べたりしゃべったり、写真を撮ったりしている。
メヘンディ職人は3人しかいないので、列ができている。並ぶのは面倒だが、しかしせっかくだから施してもらいたい。
義継母ウマは、到着早々、人が少ない時にメヘンディをすませている。すばやい。しかしその手が乾くまでは、食事ができぬぞ。
わたしはと言えば、飲み過ぎ防止のため、「アルコール少なめ」に、モヒトを作ってもらう。
地道に静かに進行していた儀式が終了するや、お待ちかねのダンスタイム! よくわからんが、夫婦ごと、友人ごとに数名ずつがダンスフロアで交互に踊る。
ニラ叔母も踊る。11歳児のランジャン叔父とチャンドリカも踊る。2日前にニューヨークから飛んで来たとは思えぬ元気さだ。
どこぞの女子2人が踊っているところへ、「ミホも入りなさい!」と観衆。女子に混ぜていただいて、光栄だ。ちなみにボリウッドの踊り、どことなく「ピンクレディー風味」が漂っている。
ピンクレディーの振り付け風を踊っていると、間違いなく、なじむ。お試しあれ。
恰幅のよいニナ叔母の背後で踊っているのはマイハニーだ。
「カジュアル」といいながらも、みなさん、おしゃれ。白いドレスの女性は、空港で出会った「派手な感じ」の女性である。ファッションが、ムンバイ風。すてきなドレスである。
さて、そろそろランチタイムである。といってもすでに日が傾き始めているのではあるが。
どっさりと並ぶ料理の中から、今日こそは食べ過ぎないようにと、少しずつ選ぶ。
こんなとき、プディン・ハラは必携! ほんとに、胃腸がすっきりしますよ!
一連の儀礼を終えたアースタ。服を着替えて、両手両足にメヘンディを施してもらっている。その精緻な仕上がりに目が釘付けだ。
これは完全に乾くと、ハラハラと落ちはじめるので、きれいに剥がす。剥がしたては浅いオレンジ色だが、数時間経つと、赤茶色になってくる。
色をしっかりと出したいときは、レモン汁に砂糖を混ぜたものをコットンに含ませ、乾燥してしまう前に何度か表面を湿らすとよい。
アースタのメヘンディを見ていると、やはりわたしもやってもらいたくなった。ちょうど列が短くなっていたので、並ぶ。
「片手だけでいいから、丁寧に精緻な柄を描いて」
と頼んだところ、やたら気合いを入れてくれたお兄さん。
簡単そうに見えるが、このコーンの扱いはかなり難しいのだ。一定の圧力で押しながら、染料が途切れないよう、すーっと線を引くのは、かなりの練習が必要。
この、たっぷりと立体的に載せられた部分は、くっきりと濃いめに色がつくのだ。線が細い方が、むしろ色が取れやすい。色を長いこと残したいのであれば、繊細柄より大胆柄がいいだろう。
夕刻、会場を離れて、一旦ホテルへ戻る。夫はラグヴァンの部屋でクリケットの試合を見ている。わたしはラップトップに写真を取り込んだりしつつ、一段落……。
夕食に招かれているとのことで、5人で赴く。
このお宅で、夕食をごちそうになり、楽しき夜のひとときを過ごした。
この夜についても書きたいことがいろいろとあるのだが、書いている場合ではない。
翌日の話題に移りたい。
★
ところで左の写真は、会場で撮影してもらったもの。
■森のリゾートで、目が眩むほどに派手な結婚式の宴。
いよいよ本日、デラドゥーンでの式典のハイライト、結婚の儀式のファンクションだ。
正午からのそれに出席した後、わたしたちは午後5時過ぎの便でデリーに戻るべく、2時には会場を離れねばならない。
従っては朝から荷造りをすませ、さて、シャワーを浴びようと思うと……湯が出ない! 夕べは軽くシャワーを浴びただけで洗髪していない。シャワーを浴びんことには始まらん。
が、ホテルのボイラーが故障したとのことで、水しか出ない。
フロントに何度も吠えつつ電話をしたところ、キッチンから「湯入りバケツ」を持って来てくれた。手桶に少しずつ、湯と水をまぜて適温にしつつ、のろのろと、髪を洗う朝……。インドだもの。
男衆はと言えば、朝から「ターバン巻き」に出かけて行った。結婚式に参加すべく、男性は全て「ターバン着用」せねばならないのだ。
準備を整え、チェックアウトをして、車に乗り込む。空は今日も青く澄み渡り、爽やかな結婚式日和だ。
このビルディングは士官学校だという。デラドゥーンにはこのような教育機関が多く、著名なボーディングスクールも複数あるという。
さて、我々が目指すは、市街から1時間足らずの郊外にある森のリゾート。VISHRANTIと呼ばれるリゾート&スパで、広大な緑のただなかに、コロニアル建築のバンガローを改築した建築物が在るとのだという。
街をはずれ、道なき道をゆく。水の干上がった、かつて川だったようなところを、走り抜ける。水はないが、しかし砂利が一面で、「賽の河原」を思わせる、その光景。
凹凸激しい未舗装路。またしてもタイヤがパンクするのではないか、と不安がよぎる。
ドライヴァーに「予備のタイヤは用意されてるよね」と確認せずにはいられない。5人&スーツケース。ヒッチハイクは無理だからね。
途中でライチーの木などを見る。義父ロメイシュ曰く、このあたりではライチーが収穫されるのだという。
そうこうしているうちに、会場に到着。これまた、目が眩むほどに派手な装飾だ。すべてがオレンジ色と黄色に統一されている。
黄色もオレンジも、若かりしころのわたしの「好きな色」だった。しかしこうしてみると、なんと派手な取り合わせであることか。
随所に、黄色とオレンジのマリーゴールドの花が装飾として用いられている。いったいどれほどの花が使われているのだろう。
暖色系派手なサリーが多いことを見込んで、敢えて黒いサリーを選んだが、涼しいはずの高原リゾート。暑い。ちなみにお気に入りの「パルーシー伝統刺繍」なサリーである。
インドの、ヒンドゥー教徒の結婚式とは、遥か古より派手なものであるとのことだが、それにしても、どうなのだろう。
特に貧富の差の著しい社会にあって、「お金というもの」についてを考えずにはいられない。が、こんな晴れがましい席でややこしいことを考えるのもなんなので、取り敢えず、この場を楽しむべし。
広大な庭園の一画には、さまざまな鳥たちが飼育されている。黄金色の頭をした、このキジ風の鳥はなんだろう。
午前中のターバン巻き儀式に間に合わなかった人が、一隅で巻いてもらっている。「ターバン巻き職人」はもちろんシク(スィク)教徒。
インド人といえば、「ターバン頭の男性」を思われるのが一般的だが、日ごろから巻いているのはシク教徒の人たち。全人口の2%ほど。クリスチャンよりも少ないのだ。
左上の写真。一旦、巻いてもらったものの、はずれてしまったらしきおじさん(前方)。シク教徒のおじさん(後方)に手伝ってもらって、巻き直しだ。こんなに長い布を使っているのだ。
右上の写真。夫アルヴィンドと義父ロメイシュ。そして左右に叔父たち。見るからに「厳粛ではない」ムードだが、これがヒンドゥー教の正式な場における「頭スタイル」なのである。
今回の旅。ここでは書き尽くせないが、多くの出会いがあった。再会、そして初対面。中でも左端のシクのおじさんは印象的だった。
アースタの祖父の友人だという彼もまた、インド軍のジェネラルだった人物。夫の家族の知り合いでジェネラルだった人にこれまで何人か会って来たが、みな「きりり」と姿勢がよく、シャープで、品性を感じさせる。
このシクのおじさんは、85歳だというが、とてもそうは見えない元気さ。初日も午前1時まで踊っていたらしい。毎日ニコニコと笑顔で登場し、ユーモアたっぷりの話術で周囲を笑わせ、本当に素敵な方である。
出会いと言えば、わたしのサリーを褒めてくださる方々、数名いらしたが、なかでも鋭い視線を送って来る女性がひとり。空港で遭遇した例の「派手な」おばさまだ。
わたしに近寄って来るなり、浅めの笑顔で、しかしフレンドリーに、
「そのサリー、すてきだわ。どこで買ったの?」
と尋ねて来る。
「これはムンバイです」
「ムンバイ? ムンバイのどこ?」
「カラ・ニケタンですよ」
「わたし、ムンバイに住んでるんだけど。カラ・ニケタンに、そんなサリーがあるの?」
「ありますよ。これはパルーシー、ゾロアスター教徒の伝統的な刺繍なんです。わたしはこれが好きなので、あれこれと奥から出してもらったんです。職人が半年近くもかけて仕上げて、こんなに精緻なのに、驚くほどお手頃なんですよ」
ついつい熱く語ってしまう我。と、
「わたしの夫、パルーシーなの。その手のサリーは1枚持ってるけど、そんなに素敵じゃないのよ」
わ! パルーシーの身内に、パルーシー刺繍を熱く語ってしまったとは! 微妙に照。
しかし、パルーシーの身内に褒められるとは、それはそれでうれしいものである。いい買い物をしたものだとつくづく思う。
ガールズ。年配女性に比べると、ずっとスリムに見えるがしかし、お腹のあたりがたっぷりしているところ、インドの女子である。若くても、迫力がある。
さて、ガーデンの彼方に見えるリゾートの建築物の方から音楽が聞こえて来た。新郎側の家族が準備を始めているようだ。ちょっと偵察に行くことにする。
いったい、ここで何をしているのだ? 室内の奥へと向かえば……。
新郎クリントのターバン巻きの儀式が行われていた。巻いているのはもちろんシクの男性だ。右上の写真は、これから新郎が乗るであろう白馬。
うなだれ気味で、ウマというよりロバのムード……。華美な装飾が似合わなさすぎて、なんだか気の毒。
さてさて、ガーデンのエントランスに向かい、新郎側団体の入場を待つ。またしても、初日同様、楽団を率いて賑やかに、一群がやってくる。毎度毎度、どこまでも騒がしく賑やかだ。
馬上のクリント、格闘技の勝者を思わせるポーズで来場。男たちのターバンの、赤やらショッキングピンクやらがまばゆすぎて、視界がハレーションを起こしている。目がやられる。
顔を「のれん」のようなもので隠したクリント。今日のシャルワニ(北部インド男性用正装)もすてきだ。エントランスでは、新婦側家族がお出迎え。
レッドカーペットをゆく女性たち。みんな派手すぎて、もう、なにがなんだか。
クリントとお友達らが、揃って記念撮影。ハリウッドの映画プロデューサーであるところの弟は、始終、巨大な一眼レフを首から下げて、写真撮影に余念がない。
そうこうしているうちに、艶やかなドレスを身にまとったアースタが入場!
「花嫁を引き立てるべく、周囲は控えめの服を着る」といったコンセプト皆無のインド。元ミス・インディアであるところのクリントの母、花嫁に負けぬほどの、ゴージャスなサリーである。
皆が身に付けているジュエリーもまた豪華だ。研磨していないダイヤモンドがちりばめられたネックレス。伝統的な意匠だが、シェイプがモダンな印象を受ける。
わたしたちは1時半には会場を離れ、空港に向かわねばならないので、ランチには間に合わないかもしれない。取り敢えず、写真だけでも撮らせてもらう。
そうこうしているうちにも、祭司を囲んでの、結婚の儀式が始まっている。結婚式の流れを説明する小冊子を受け取れば、式次第が記されている。儀式は延々と1時間以上、続くのである。
火を焚いたり、ギーを捧げたり、スパイスのようなものを投げ入れたり、あれこれと「意味が込められている」儀式が続いている。
さて我々、そろそろ空港へ行かねばという段になって、ウエディングプランナーの女性から、アルヴィンドが呼ばれる。
通常、「新婦側の男兄弟」が引き受けるところの儀式。男兄弟も従兄弟もいないので、一番若くて近い血縁の男子、ということでアルヴィンドが選ばれた次第。
「ぼく、なにも聞いてないよ」
と言いながらも、うれしそうに参加する夫。飛行機に遅れるのではないかとやきもきする家族。
「空港まで? 2時間はかかるわね」
と言う人あれば、
「今日は日曜だからすぐよ。45分もあれば大丈夫」
と言う人もあり。2時間と45分じゃ、どえらい違いなんですけど。
と、
「僕の友人は、ジェットエアウェイズのマネージャーだから、チェックインをぎりぎりまで待ってもらえるよう、頼んであげるよ」
という人もあり。
そんなところで、小さくコネの力に頼るとはいかがなものか。1時間半ほどを見込んでおけばいいだろう。
アルヴィンドが参加の儀式。米菓子を、アルヴィンドがアースタの手に託し、それをアースタがクリントの持つカゴに入れ、クリントがそれを、火に投入する。
さまざまにある儀式の一つで、もちろん何らかの意味があるのだろう。この動作を繰り返した後、布で結ばれた新郎新婦は火の周りをまわる。これを7回繰り返し、都合7周まわる。
わたしたちも、これをやった。が、まわっている最中、6周だか7周だかわからなくなったので、本当に7周まわったのか、わからない。
そんな次第で、アルヴィンドの役割が終わってすぐ、車に乗り込み、空港へ向かったのだった。
まだまだあれこれと書きたい「笑えるエピソード」が満載なのだが、突っ込んで書いている時間がない。誤字脱字などが散見されるかもしれぬが、ご了承願いたく。
【おまけ】 帰りの機内で撮影。メヘンディの色がくっきりとあらわれて、うれしい。
★
次なるレポート、結婚式:ゴア編を、お楽しみに!