青空広がるバンガロールを離れ、一昨日、デリーに無事到着。濃霧の影響で、フライトは2時間近く遅れた。「感染対策」ではなく「公害対策」として、マスクを着用。健康管理が最優先事項だ。
冷え切った家にヒーターを入れ、人心地ついたあと、ロメイシュ・パパがいつもそうしていたように、ワインを取り出す。パパにとって、わたしは「飲み友」でもあったのだ。
わたしたちが帰郷すると、パパはいつも、片手に白ワイン、片手に赤ワインを持って、
「美穂、どっちがいい?」と笑顔で尋ねてくれたものである。
そんなパパを偲びつつ、まずは乾杯。
マルハン家に勤続30年超のドライヴァー(執事状態)のティージビールとその家族が、この家を守ってくれている。彼が買ってきてくれていた、我が好物のグースベリー(食用ほおずき)を食べる。これは、ぶどうのように束ねられたもの。冬のデリーの風物詩だ。おいしい。
昨日は、展示会に向けての備品などを買いに出かける予定だった。しかし、まずは会場を整えてから、不足分を見出そうと気が変わった。
すでに到着していたマネキン・ガールズの梱包を解き、ああでもない、こうでもないと、あれこれ位置を移動させつつ、半日ほどかけて設営完了。殺風景だった部屋が、見違えるように華やかになった。
この家は、パパが25年ほど前に改築した。それ以前は、ここにパパがダディマ(父方祖母)に贈った家があった。パパはかなりの苦労人で、晩年、病気がちだった父を支え、母を助けてきた。
ダディマがここに一人で暮らしていたころ、隣家にはインド人に嫁いだ日本人女性が住んでいた。彼女はダディマの親友だった。そんなこともまた、ご縁である。
4階建てのこの家の、1階は人に貸しており、2階は我々のフロア。3階は義姉夫婦。4階に義母が暮らす。この2階は、ダディマが他界して以来、15年以上、ほとんど手をかけられていなかった。
2020年にパパが他界した直後から、少しずつ内装を整えていこうと思っていだのだが、パンデミックとなり、そのままになっていた。
今回、京友禅サリー展示会の会場にするには、すべてがあまりに古びていて、殺風景であることが懸念だった。ソファーカヴァーだけ、2020年2月に来訪した際に張り替えておいてよかったと思う。上の2枚の写真はそのときのものだ。
むしろ、家が地味だからこそ、サリーの美しさが引き立つ。テーブルクロスやクッションなどを購入するつもりだったが、むしろ展示会には不要だとセッティングをしたあと実感した。
それにしても、だ。
京友禅の麗しさ!
驚くほどに、インドの古い家具にも調和する。
多くの人に、実際に見て、触れてほしいと、改めて思う。