淀んでいた空が嘘のように、今日のデリーは青空だ。13日、14日と、2日間に亘って実施した京友禅サリーの展示会。50名を超える来訪者を迎え、想像以上に賑やかで豊かな時間が流れた。
今回の一連の出来事は、3年前に他界した義父ロメイシュ・パパの計らいのような気がしてならない。すでに記したが、この展示会を開催すると決めてのち、13日が義父の命日で、14日が義理の継母の誕生日だということを思い出した。
ロメイシュ・パパが建てたこの家の家具は、主には義父方の祖父母から引き継いだものが残っているのだが、中には、義母方の祖父母ゆかりの調度品が、物置などの中に残されていた。
殺風景な家を彩るために、寒さに震えつつ、さまざまを発掘。何十年も眠っていた物らを、洗う。拭く。磨く。
実業家だった義母方の祖父は、主には英国やスイスほか、欧州を旅することが多かったと聞いている。しかし、ここに残されているのは、日本や中国などオリエンタルなものが目立つ。
たとえば、1960年代に日本へ出張した際に受け取ったのであろう調度品など。
夫が子供のころ、好きだったという鯛の小物入れ。壽。
着物姿の女性の絵。
菊の御紋が上品に麗しい漆器類。
中国製と思しき掛け軸……。
母方祖母が気に入っていたという、埃まみれの中国&香港製ティーセットは、段ボール箱から発掘した。
ゴミ同然だった花器はまるで、生け花のためのようでもあり。
数日前にショッピングに出かけた際、インテリアショップで造花を買った。活けてみるに、映える。
何もかもが、京友禅の展示と見事に調和し、違和感なく、溶け込んでいる。
京友禅サリーの展示会には、伯父夫婦や、夫の従兄弟夫婦も来てくれた。わたしが、洗い上げて食器棚にきれいに並べた中国&香港製ティーセットを取り出し、お茶を出したところ、伯母が感慨深そうに言う。
「これは、義母(夫の祖母)が、大切にしていたものなの。特別な日に使う……といいながら、結局、使われないまま。わたしは今日、初めて手にするのよ!」
半世紀以上、使われていなかったものを、この展示会で使うのもご縁。よきものは、使ってこそ、だ。割れたら金継ぎすればいい。
思うところ多い、今回のデリー滞在もまた。
京友禅サリー展示会以外にも、記しておきたいことが多く、少しずつ、残そう。