✈︎昨日もまた、新居に日本からの旅人が立ち寄った。空に近い場所に家があるというのは、想像していた以上に、わたしの心をも旅立たせてくれる機会が多いと言うことを、今年の後半は痛感した。
つい数カ月前までは、我が夫と同じ職業、ヴェンチャー・キャピタリストだった小野龍光氏。彼から初めて連絡を受けたのは今年の9月。きっかけは、わたしがブログに載せていた1枚の写真だった。
9月から10月にかけての約1カ月間、彼と、彼の友人であるJQ氏はインド各地を旅していた。そのときに、彼らはナーグプルへ赴き佐々井秀嶺上人にお会いした。その後、10月の仏教大改宗式典にて、小野氏は佐々井氏のもと、得度される。経緯は、お二人のYoutubeチャンネルにて紹介されているので、ここでは割愛する。
わたしがブログに載せていた写真というのは、2枚目。マンセル遺跡にて撮影した、「龍樹の足」だ。このときのわたしの旅記録をご覧になったことがきっかけで、JQ氏と小野氏から連絡を受け、お二人とはZoomで一度お会いしていた。
今回、小野氏は、ナーグプル再訪されており、その途中にバンガロールで乗り換えるべく1泊。フライトの前に我が家に数時間滞在され、リアル初対面を果たしたのだった。
小野氏の旅のお供として同行されていた塚原大氏。彼は米国の大学を中退後、若くして、日本の文化や歴史、伝統が反映された、高品質な工芸品を世界へ発信すべく起業。この2年間、日本を「9周」もして、各地の工房を巡り、職人さんたちと暮らしを共にし、知見を深められている。
わたしは40歳でインドに移住して初めて、インドの伝統工芸品に触れ、その魅力に引き込まれた。その延長線上で、日本の伝統工芸のすばらしさにも開眼した。一方の彼は22歳にしてすでに、職人たちの現場に身を投じて密度濃い経験を重ね、審美眼を備えていらっしゃる。驚いた。
たとえば、我が家にある家具調度品。日本から持ってきた陶磁器、漆器類。あるいはサリーのテキスタイル。そういうものに関して「打てば響く」ように、反応が返ってくる。わたしが数年前の一時帰国時に、銀座で奮発して購入した新潟の「玉川堂(ぎょくせんどう)」(無形文化財 鎚起銅器)の急須を見せたところ、彼も、玉川堂とお仕事をされているとのこと。
わたしは「使うほどに味わいが出るもの」が好きだ。長く使えて愛着が湧くもの。使い捨てとは逆の世界観。塚原氏は、それを「経年美化」と表現していることにも、共感を覚えた。
お二人ならば、我が家の「月光ライブラリ」がお気に召すだろうとご案内。わたしがモンゴル旅を決めたブリタニカの巨大な地図帳を見せたり、旅の記録や絵葉書、インドの手工芸関係の分厚く大きな事典などを見せると、感嘆して見入っていた。
職人が丹精を込めて創り上げる「作品=商品」を、いかに広めていくか。安いものばかりが優先されがちな昨今の資本主義世界に在って、その課題は一過性ではなく、果てない未来に投げかけられるべきテーマだ。
手作業を尊び、国産品の利用が自主独立に繋がると説いたマハトマ・ガンディ。ゆえに、自ら手紡ぎ手織りの綿布を羽織り、その指針を体現していた。そんなインドの歴史的背景と現在の手工芸事情についても語りつつ、ともあれ、話は多岐に及び、尽きない。
我が家の随所に配している「和製マジョリカ・タイル」。明治時代の青年らが、アジア諸国に市場の可能性を見出し、製造輸出したタイルは、百年以上の歳月を経て、我が家を彩っている。当時の彼らの挑戦を知ることは、今の若者らの刺激になるに違いない。
インドの若い世代の躍進ぶりは、日常的に目にしているからよくわかる。一方、わたしには、日本の若い世代と交流し、実態を知る機会は少ない。ゆえに、未来に希望を見る努力をし、邁進している人と出会えて、とてもうれしかった。
今後もお二人とのご縁は続くだろう。いつでも、深海ライブラリへ、ようこそ。
(ちなみに塚原氏は、昨日の朝、バンガロールで剃髪された)
[Youtube] JQ出家して世界を行く〜行き先はアナタが決める
https://www.youtube.com/@jq7676
💝合同会社 KASASAGI/日本の美意識で世界を魅了する
https://kssg0311.com/
💝日本から来ました! 欧州発、日本経由インド。旅するマジョリカ・タイル。
https://museindia.typepad.jp/library/2021/09/tile.html
✊インド国憲法草案者アンベードカルとインド仏教。そして日本人僧侶、佐々井秀嶺上人を巡る記録
https://museindia.typepad.jp/library/2021/12/unity.html
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