1992年、見渡す限りの砂漠、荒野を見たくて、このページを広げた。1971年初版発行ブリタニカ世界国際地図。
「そうだ。ゴビ砂漠へ行こう。」
点よりも線の旅がしたくて、指先で鉄道をなぞった。青いマーカーで線を引いた。
北京発、モンゴルの首都ウランバートル。その鉄道はやがて、イルクーツクを経てモスクワに至る。
シベリア鉄道に連なるその、毎週土曜日にだけ走る国際列車に乗って、36時間の国境を越える鉄道ひとり旅。
ペレストロイカの直後。北京とモスクワを往来する商人たちが、大荷物を携えて乗る列車に紛れた無謀。
インターネットもデジタルカメラも情報もない時代。だからこそ、できたのかもしれない冒険。
🌏繁田女史を通して知った沢木耕太郎の『天路の旅人』は、日本から取り寄せた。
1994年、東京に住んでいたころに買った『チベット偽装の十年』と重なる。
傷みはしても。色褪せはしても。
腐ることなく消えることなく溶けることなく残る紙。その経年劣化すらも愛おしい。
長いこと、生きてきたからこそ。経験を、重ねてきたからこそ。
若いころには至れなかった感慨に浸れるということを、思う。今だからわかることの多さよ。
インド地図。滑らかな紙を指で撫でながら。南天竺が、終の住処になろうとは。
🔍近々、繁田女史が訪れるというカリンポンの地名を探すのに四苦八苦。ルーペ、買わねば。
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