夕べ、シンガポールを経由して、バンガロールに戻って来た。
シンガポール空港では、いつものようにトランジットホテルでマッサージを受け、シャワーを浴び、リフレッシュ。少し買い物をして、軽く食事をし、コーヒーを飲みながら、ラップトップに向かっているうちにも、瞬く間に4時間が過ぎて、搭乗。
バンガロールの上空から、街の灯りを見下ろしつつ、いつものように、思う。ここが、わたしの家がある場所。ここがわたしの、帰る場所。遠く祖国を離れたこんな場所。奇妙な感慨が、心を満たす。
少し、フワフワとした心地で飛行機を降り、まず立ち寄るは、空港のトイレ。個室に入るなり、自動的に流れてくるわずらわしい「せせらぎ音」も、ややこしいウォシュレットもついていない、「シンプルなトイレ」に、ほっとする。これも、いつものこと。
空港の外に出た瞬間、心地よい高原の風に包まれて、再び、ほっとする。しかしながら、帰路の道路の凹凸の、そのすさまじさには辟易しつつ、善し悪しすべて飲み込んで、ここがわたしの暮らす場所。
ただいま。
また、今夜からお世話になります。
福岡の実家からの光景。帰国直前の夜。多々良川に架かる名島橋を見渡す眺めのいい場所だ。最後の数日は、ぐっと気温が下がって寒かった。空はすっかり冬めいて、麗しくも寂寥。
東京からの福岡へのお土産は、羽田空港で購入。去年初めて買ってみて、とても気に入った、マキシム・ド・パリの苺ミルフィーユ。
加工食品がたっぷりの日本において、ここ数年の我が嗜好はひたすらに「量より質」。防腐剤や添加物の少ない食べ物を選ぼうとすると、選択肢はぐっと絞られる。質のいい和菓子や、「その日のうちにお召し上がりください」の新鮮なもの。
このミルフィーユも、パイ生地、カスタードクリーム、生クリーム、イチゴ、すべての素材が上質で、本当においしい。
帰国の前日は、母と天神へおでかけ。友人に連れて行ってもらった「しらに田」へ、再び。母もここの料理をとても喜んでくれた。写真は、料理の最後を締めくくる「鯛茶漬け」。
そもそも、わたしはお茶漬けを、あまり好まないのだが、この鯛茶漬けは別格だ。ゴマだれの風味と、香り豊かに、しかしほどよい「薄さ」の煎茶の風味が絶妙な相性で、本当に、美味であった。
いつしか近所の街路樹も、紅葉していた。それにしても、この界隈(名島、千早、香椎)……わたしが子供のころの面影はすっかり消えて、すっかりきれいに無機質に、なじみのない街に変わってしまった。
わずか2週間余りの一時帰国。
今年もまた、さまざまに思うところあり、その思うところの一部は、後日『インド百景』に書き留めておこうと思う。