バンガロールに暮らす外国人女性からなる、
OWC (Overseas Women's Club)。
異国の地で暮らす女性たちのネットワークを構築し、
さまざまなイヴェントを企画するなど、活発な組織だ。
OWCは、社会奉仕、慈善活動に主眼をおいている。
現在、OWCが支援する地元の慈善団体は22。
その団体をメンバーに紹介するイヴェントが、昨日開かれた。
インドに移住以来、
バンガロールにいるときには欠かさず足を運んできた。
今回で7回目か8回目になる。
ここで出会った団体の人々と、
言葉を交わし、資料を受け取り、
ミューズ・クリエイション以前から、
いろいろな団体を訪問させてもらってきた。
インド移住当初、
日本人女性が主宰していた折り紙ヴォランティアに参加して、
しばしば聾学校を訪れた時期があった。
ここ数年、個人的には訪れていなかったが、
先生から「ぜひいらして」と声をかけられた。
近々、ミューズ・クリエイションのメンバーたちと、再訪したいと思う。
来週の金曜日に訪問予定のドミニカン・シスターズ。
スラムに暮らす貧困層の子どもたち200名が、
一堂に会する合宿で、図画工作などを教えて欲しいとのこと。
連休中で参加者が集まらず、今のところ5名程度。
さてさて、なにをどうするか、作戦を練らなければ。
個人的にはもう何度も、お邪魔させていただいたBANGALORE EDUCATION TRUST。
貧困層の子どもたちに、きちんとした教育を、という願いのもとに、
無償の学校を運営しているインド人男性、ナガラジ氏。
彼の姿が、見当たらない。
「ナガラジさん、お元気?」
と声をかけると、顔なじみのスタッフが、顔を曇らせる。
「ナガラジは、もう1カ月半も入院しているんです。合併症で、昏睡状態が続いていて、意識がありません……」
なんということ……。
76歳の彼は、かつてご自身が言っていた通り、「天涯孤独の身の上」だ。家族や親戚の関わりが濃厚なインドにあって、まったく身寄りがないというのは、非常に珍しいことである。
そんなこともあり、彼は私財を投げ打って、社会奉仕に挺身してきた。
インドには、資産の多い少ないに関わらず、社会奉仕、慈善活動に、人生そのものを託しながら関わる人が、本当に多い。
この国の問題点ばかりに目を向けていると見えて来ないが、その問題点を解決するために、尽力している個人が多いことを、我々部外者も知っておくべきだろう。
CSR(企業の社会的責任)もまた、社会に定着しているこの国では、企業や団体が慈善団体を支援したり、病院を創設したり、学校を立ち上げたりと、社会のために貢献しているケースも多々ある。
ナガラジ氏がいなくても、BANGALORE EDUCATION TRUSTは、支援者の力のもと、継続されると聞いて安心はしたが、しかし、ナガラジ氏のことが、心にひっかかる。
企業はともかく、個人で活動をしている人たちの声に耳を傾ければ、そこにはいつでも、敬意を表すべき、静かで確実な活動がある。
ナガラジ氏の活動もまた、わたしにとっては、強く心に刻まれた物語の一つであった。
2011年3月下旬のある日。
ナガラジ氏から手紙が届いた。それは、日本を襲った天災に対してのお見舞いだった。彼の心遣いに、本当に、胸を打たれたものだ。
■ナガラジ氏からの手紙。 (←Click!)
なお、訪問するたびに記録を残しているが、ミューズ・クリエイション結成以前、数名の有志と訪問した1回目、2回目の記録に、彼のバックグラウンドと学校の活動の様子を詳細に亘って記している。ぜひ目を通していただければと思う。
■貧しい家庭の子に教育を。スラムで打ちのめされる 2009年2月 (←Click!)
■「焼け石に水」なのか。慈善団体訪問で。2010年9月 (←Click!)
ナガラジ氏を思いつつ、気分が塞ぐ思いだが、わたしには、何をどうすることもできない。ただ、ナガラジ氏が、苦しまずにいてほしいと祈るばかりだ。