このところ、野良活動が益々盛んなNORA嬢は、夕べ、まさに「埃まみれ」で帰宅した。全体がうっすら灰色に染まり、軽くたたくと埃が舞い上がる。空き家の隣家の、埃が堆積した部屋にでも寝転んで来たのだろう。
シャワーは猛烈に嫌がるから、濡れたタオルでゴシゴシと何度も拭く。以前は、それすら嫌がっていたが、このごろは、反発の「ミャオミャオ」を連発しながらも、引っ掻いたりせず、なされるがままになっている。きれいになることは、それなりに気持ちがよいのだろう。
なにしろ、やんちゃなお嬢さんにつき、首輪は1カ月と持たず、汚れたり、痛んだり。なので、カチッと留めるフックの部分はそのままに活用、それにリボンやチロリアンテープなどを縫い付けて、2週間に一度ほどは交換をしている。この日は作業が間に合わず、適当なリボンで凌いだのだった。
ところで今日は、久しぶりにKARAVALLIへ。インドへ移住する以前、2003年の冬に初めてバンガロールを訪れたときに、義理の家族と来て以来、好きなインド料理店のひとつである。料理はさておき、今年最後のイヴェントはといえば、このお二人との再会!
1年半前に日本へ帰任した、ヤクルト王子&PAKAKO隊員が、懐かしのバンガロールへ「里帰り旅行」に来ているのだ。
古くからここをお読みの方なら、きっと覚えていらっしゃるであろう。彼らとの思い出は数多く、特に「ローカルフード探検隊」や、あれこれとパーティ、インドでおせち料理などなど、枚挙に暇がない。
さて今日は、我々夫婦の他、共通の友人2名も同席しての、賑やかなランチタイムとなった。
インド生活も久しいが、「夫婦揃って」お付き合いのあった日本人駐在員のご家族は、とても少ない。わが夫も、彼らの来訪を楽しみにしていた。
多分、インド人の我が夫よりも、インド料理が好きな彼ら。なにしろ、夫は「辛いもの」が苦手。
夫のプレートを見ると、なぜかヨーグルトが3つもある。インド料理に添えられるヨーグルトは「辛みを緩和する」効果もある。だからって、予め、余分に2つも頼むとは……。
日本勢がおいしい、おいしいと喜んで食べている傍らで、「おいしいけど、辛すぎる。味が強すぎてデリカシーがないね」などと、密かに耳打ちする夫。人の食卓に水を差すな! というわけで、放置。
数日遅れだけれど、PAKAKO隊員の誕生日も祝すべく、レストランがケーキを用意してくれたのだった。
多分、わたしが出会った日本人の中で、彼女ほどインド好きの人はいないのではないか、というくらいに、インドの生活に溶け込み、楽しんでいた彼女。まるで水を得た魚のように、生き生きと元気だ。
初日の昨日は、行きつけの「立ち飲みチャイ」の店に行ったり、かつての住まいの周辺を散歩したり、ミールスを食べに行ったりしたらしい。顔なじみの人たちに声をかけられたりもして、相当にうれしかったらしい。
「インド、楽しすぎる」
「日本での1年半のこと、忘れた」
「もう、日本に帰りたくない」
熱い思いを吐露する彼女。ヤクルト王子も、それは仕事を遂行する上では、インドでは本当に苦難も多かったことだろうが、しかし日本に帰ったら、懐かしく思われている模様。
先日、二人は東京で、おいしい南インド料理を供するレストランを訪れたらしい。そのとき、料理を食べながら、PAKAKO隊員、知らず知らずのうちに、涙を流していたらしい。
「どうも、ソウルに触れたらしいよ」と、ヤクルト王子。ソウル〈魂〉って……。
彼女にとっては、南インド料理がソウルフードなのか。そらそうだな、あのローカルフード探検の熱意。不思議ではないね。
そんな話を聞きながら、「南インド料理がソウルフード?」「腑に落ちないな」という顔をして、黙々とヨーグルト&カレーを食しつつ、我が夫は、辛いらしい南インド料理に立ち向かうのであった。
なにはともあれ、HOTなランチタイムであった。