モンスーンただ中のムンバイ。相変わらず、主には曇天や雨や強風や、そして束の間の青空の繰り返し。上の写真は、ムンバイ宅に隣接する小さな公園。
よくよく見れば、南国のさまざまな緑が豊かで、わたしの好きな「旅人の木」もあって、小さな散歩には好適な場所である。
さて土曜の午後、インド家族がやってきた。つい最近、会ったような気がしていたが、遡ればそれは昨年末。瞬く間に半年以上が過ぎていた。ロメイシュパパもウマも元気そうだ。
デリーのマルハン家の料理人、ケサール作の料理を数種類、持って来てくれた。わたしたちが彼の料理を好きなのを知っていて、わざわざ空路、運んで来てくれたのだ。
今夜はラム肉のカレーとカリフラワーのソテーを食べることにした。下の写真がそれである。チャパティまで焼いてくれている。タマネギ、キュウリ、トマトのスライスという「インド的サラダ」はわたしが準備した。
ケサールの料理は、相変わらずおいしい。彼はスパイスの中でも「シナモン」の扱いがうまい。ほんのりと、シナモンが利いている味付けは、風味に絶妙なアクセントを添えている。
カリフラワーも歯ごたえが残る程度に火が通っていて、柔らかすぎないのがよい。チャパティは、焼きたてが断然おいしいが、贅沢は言うべきではなかろう。
何か料理を作らねば、と思っていたのが、こうして持って来てもらえて、こちらもうれしいし、楽である。
今更気づいたのであるが、いくらゲストルームがあるとはいえ、ムンバイ宅はバンガロール宅に比べると狭い。ちょうど半分ほどの居住面積だ。庭を含めると4分の1しかない。つまり、人口密度が高い。
うっかりしていたが、書斎がないので、一人で集中できる空間がない。スペースは潤沢にあるのだが、リヴィングルームとダイニングルーム、書斎のコーナーが一体化しているため、TVの音、会話の音、筒抜けである。
しまった。と思うが、あとの祭り。
ともあれ10日間程度のことである。そもそもわたしに気を遣ってくれ、「何かをさせる」ことなど決してない義理両親だ。わたし自身、世間で言うところの「嫁らしいこと」はなにもせずによい。
嫁と姑、舅、小姑問題がほとんどないというのは、国境を超えて、珍しいといえば珍しい家族の在り方であろう。アルヴィンドとわたしが元気で仲良く楽し気にしていれば、それでよさそうな気配である。
ロメイシュ・パパはといえば、酒飲み仲間(わたし)がいることで、ビールやワインを心置きなく飲めるのがうれしそうであはある。
「ミホ、ビール飲まない?」「ミホ、ワインもう1杯どう?」と、デリーでも、ここでも、しきりに誘われる。
普段は健康のためもあり、ウマから飲酒を制限されているようである。わたしは「親孝行」のつもりで、飲酒に付き合う次第だ。
日曜のランチは、例のROYAL CHINAへ赴いた。4人だと、いろいろな種類を少しずつ食べられるのがよい。しかし今日は、忙しかったのかサーヴィスが悪く、点心のあとに頼んでおいた主菜がなかなか届かず、間に30分ほどもあいてしまった。
わたし以外は、みな余裕でおしゃべりをしているのだが、わたしは途中で間があきすぎるのが嫌いなのだ。ウエイターをつかまえて何度か催促するも、「すぐ来ます」と言いながら、来ない。
同じタイミングで注文していたはずの隣席の人々は、早々に食事を終えて帰ってしまった。通りかかったマネージャーをつかまえて、感情を抑え気味に、しかしはっきりと、苦情を言った。
そうしたら、最後にバナナのフリッター(アイスクリーム付き)をサーヴィスしてくれた。かなりおいしかったので、水に流すことにした。
ムンバイ宅向かい、ワールドトレードセンター内にあるNature's Basketは、輸入物が多い若干気取った食料品店であることは前にも記した。
酒の品揃えもそうで、インド産ビールのキングフィッシャーを置いていない。一方、アサヒやバドワイザー、カールスバーグ、ハイネケン、ギネスなど海外銘柄はそろっている。
米国時代よりアサヒビールが好きなアルヴィンドは、まとめて何本も購入していたが、まてよ、それは一本110ルピーと、キングフィッシャーの2倍以上もする。だからといって、2倍もおいしいかといえば、そうではない。
わたしはキングフィッシャーでよいのだが。
しかしこの店にはないから、どれ、カールスバーグはどうだろう、と見てみれば、50ルピー。バドワーザーも50ルピーだ。同じ海外物で、どうしてこんなに値段が違うのか。店の人に尋ねたところ、バドワイザーもカールスバーグも、インドで生産されているらしい。
知らなかった。
アンドラ・プラデシュ州に工場があるとのこと。調べてみたところ、ハイデラバードを拠点とする米印50:50のジョイントヴェンチャーで、2007年の5月より製造開始しているとのことである。
そのうち、アサヒビールの工場もインドにできて、50ルピー前後で売られる日が来るのだろうか。