10月20日に一部開通したバンガロール・メトロ、通称、NAMMA METRO(現地カンナダ語で私たちのメトロ)に乗ってみた。
記事を書くための取材であったが、個人的にも早いうちに乗ってみたいと思っていたので、いい機会だった。
予定よりも1年半ほど遅れて、今回開通したのは全約42キロ中わずか約7キロの区間。将来的には、東西線、南北線の2ラインが、市街を十字に走ることになる、その一部。
MGロードから東へ5駅ほどの区間だ。
このメトロに日本のODAが貢献していることなどは、かつてここでも、西日本新聞の『激変するインド』でも記した。また、品質管理主任として、日本人女性が活躍していることも。
■メトロ工事:日本人女性が安全を管理 (←Click!)
乗車にあたっては、まずはトークンを購入。これは自動販売機ではなく。チケット売り場で購入する仕組みだ。
トークンのほかにも、まとめ買いをして割安になるスマートカードも売られている。往復分を購入できないので、取り敢えずは片道分、終点までを購入。
15ルピー。23円ほどだ。オートリクショーよりも遥かに安い。
トークン購入にあたっての注意事項や料金などが記された図表。カンナダ語、英語、ヒンディー語の3本立てだ。
さて、自動改札機を経て、プラットホームへ向かう。自動改札とはいえ、スタッフが待機しており、慣れない人のために手助けをしてくれる。
駅全体の雰囲気は、真新しいせいもあるが、非常に清潔で、いい感じ。先進国の駅と変わらぬ風情だ。
20日の開通以来、昨日の日曜日までは、連日大勢の「観光客」で賑わい、あたりは渋滞が軽減するどころか、大変な混雑ぶりだったらしい。
アミューズメントパークのアトラクション状態だったことがうかがえる。しかし今日は月曜日。さすがに観光客は少ないと思われた。
あっちこっちに待機している警備員が、「写真を撮っちゃダメだ!」と警笛を鳴らしつつ指示しているが、周囲は撮影する人でいっぱい。わたしも邪魔をせぬよう撮影するのだが……。
被写体が、近寄って来る。撮って撮ってと近寄って来る。一緒に写って、という人もいる。インドだもの。
そら、警備員の人たちも、撮影を厳しく取り締まりたくもなるだろう。なにしろ、いちいち、渋滞だもの。
彼らはこれから、親戚の結婚式に行くらしい。それでみなさん、おめかしだ。
と誘われたが、丁寧にお断りした。インドの結婚式。見知らぬ人でも気軽に参席できる世界もあるからね。うっかりついていくことも可能なのだ。
車両は韓国の現代ロテム社が製造、車両用電機品は三菱電機が製造しているというメトロ。改札に入って来るときに、「ホワ〜〜〜ン」という「音」からして、日本的。
車内はこざっぱりと清潔。バンガロールの中空に、東京の欠片が舞い降りてきた感じだ。
なお、バンガロールメトロとは、メトロとはいえ、地下鉄部分は約8キロ程度。それ以外はすべて高架を走る。今回開通したのも高架部分のみ。
普段、見慣れた町並みを、高い場所から見下ろすのは、なかなかに楽しい。
緑が激減しているとはいえ、それでも樹木が豊かに生い茂る、ここはガーデンシティなのだということを、再認識させられる。
この短い区間が通勤ルートに該当する幸運なお兄さん。今まではバイク通勤だったが、こうしてメトロ通勤が実現して、非常に幸せそうだ。
左上のお兄さん。写真を撮らせてもらおうとしたら、急いでサングラスをかけてポーズを撮る。老けて見えるが、みな20歳前後とみた。
一方、右上のおじさんたちは、すでに「慣れた感じ」で通勤している。
高層ビルディングは少なく、まだまだ空が広いバンガロール。見下ろせば、スラムの意外なほどの広さに驚く。
車内の路線図(開通していない所も記されている)は、英語とカンナダ語のみ。
普段は渋滞でもみくちゃになりながらの道路の上を、すいすいと走るのは何とも気持ちがいい。普段、どれほど短い距離の移動に、どれほど時間がかかっているかが、よくわかる。
わたしの家の近くにメトロ駅があれば、ぜひとも利用するのだが、あいにく、全線が開通しても、外れているのが残念。
目をくれる人はほとんどいなかったが、各駅のプラットホームで翻っていた、このバナー。日本人として、うれしくもあり。
印日共同プロジェクトの文字が記されている。
なお、列車は時間帯にもよるが、10分から15分おきに発車しており、非常に便利。年々、恐るべき速度で自動車、バイクが増え、路上は混沌を極めているバンガロール。
少しでも早く、他の路線も開通して、道路交通渋滞の緩和と、各種公害が軽減してくれることを願わずにはいられない。
メトロ試乗。なかなかに、いい経験でありました。