●バター不足?
日本の情報はインターネットのニュースサイトを通して知る限りだが、このごろ目にとまった記事に「バター不足」がある。インドに住んでいると「バター不足」という事態がとても奇異なことに感じてしまう。乳製品が豊かなインドでは、風味の強い、こくのあるバターやギー(精製バター)が潤沢にあり、安価で購入できる。
バターやギーは食品として体内に取り込むばかりではない。聖なるものにもつながっている。寺院などではギーを燃やして場を清めたりする。そう、わたしたちの結婚式の儀礼の際にも、香木を焼く際、ギーをふりかけた。真夏のデリーで、暑かったのなんの。ギーに関する詳しい説明はこちらを参照されたい。
ところで、日本がバターを緊急輸入するとの記事も見た。どこから輸入するのだろう。インドからだったら安くていいのに。と思った途端に思い出した。多分多くの日本人の口に、インドのバターは合わないだろうことを。かつてクッキングクラスをやっていた折、駐在員マダムの多くが、インドのバターは臭くて苦手といっていたのを思い出す。
歯ごたえのある硬い野菜、風味の強い牛乳やバター、肉の匂いが強い鶏肉や豚肉、風味豊かなパンや菓子が焼き上がる小麦粉類(ATTA: 全粒小麦粉、MAIDA: 精製小麦粉)……。どれも安くておいしい。うまくアレンジすれば、美味なる料理が出来上がる。
更に言えば、インドの主要な主食であるところのチャパティ(ロティ)に使うATTAに至っては驚くほど安いし、しかもヘルシーだ。
しかし、インド食材を喜んで、積極的に使っている日本人は、わたしの知る限りにおいて実に少ない。わたしが知らないだけかもしれないが、いずれにしても少数派である。もったいないものだとつくづく思う。……と、話がそれた。
やっぱりいつか、インドの食材についてをじっくりと書きたいものだと思いながらかれこれ2年余り。
●DEVDAS画像
先日DVDで見たDEVDASのことを書きたいのだが、じっくりと書いている場合でもないので、せめて写真だけでもその美しさの断片を。ボリウッド映画の人気俳優、シャールク・カーンが好きだったはずの我だが、この映画では、彼はダメダメな男。やたら泣くのが鬱陶しい。その分、女性陣の美しさに目が奪われた。
上の大きな写真の女性が、例のミス・ワールドなアイシュワリア・ラーイである。本当に、美しい。下の写真は、アイシュワリア・ラーイと、踊り子役のマドゥーリ・ディクシット。二人とも、それぞれに、美しい。
アイシュワリアは、実際はかなり「おしゃべり」で「声が大きい」らしく、夫であるところのアビシェク・バッチャン(やはり有名なボリウッド俳優)は、手を焼いているらしいとの噂である。でも、これだけ美しければ、それくらい軽く許されそうである。
●バンガロール自宅恋し
バターやらDEVDASなど、どうでもいいようなことを書いて気を紛らわしている。今日はまた、怒濤な一日であった。あまりにも予想通りに、面倒が発生するからやれやれだ。詳細を綴るも虚し。人間としての力量を試されているのだと思おうではないか。
家電の配送手違い。水道管の不具合。冷蔵庫の異常。浄水器取り付けの問題。電話番号誤記による連絡ミス。あれこれあれこれあれこれ、どうしてこんなにも、物事が速やかに進まないのだろう。
「几帳面」という我が生来の性格をなかったことにして、その概念さえを忘れて、ネジをゆるゆるに緩めて、迫り来るプロブレムだらけのノープロブレムな事態に、対応することによって育まれる忍耐力と寛容の心。
そもそも、「物事をとっとと片付けてしまいたい」という、人一倍せっかちピンちゃんな性格であるにもかかわらず、インドの常識とあまりにかけ離れた性分にも関わらず、どうしてわたしはここにいるのだろう。
どうしてこうも、自らの性格の対極にある人々が多いこの国に、好き好んで住んでいるのだろう。徒労の苦みに甘んじているのだろう。自分で自分が疑わしい。
去年の「プチ家作り」の怒濤に比べれば、これくらい大したことはないではないか。それにしたってわたしは、どうしてこんなことばかり繰り返しているんだろうか。いったい何度、引っ越したりなんだかんだをやっているだろうか。これではまるで、年中行事ではないか。
苦心の果てに快適な場所となったバンガロール自宅が恋しい。庭でゆっくりと空を仰ぎたい。
ウォ〜ッ!!
と吠えたい気分を抑えて、ぼちぼちいこうと思う。ちょっぴり弱音を吐く夕べ。